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軍師を目指して~「強い現場」と「強い本社」づくり【経営管理研究科】

「現場と経営をつなぐことができる軍師」を目指す

大学院経営管理研究科 修士課程 2年 田尻 恵海(たじり・めぐみ)

私は現在、自動車メーカーでフルタイム勤務をしながら、早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科、WBS)に在籍しています。

新卒で入社した鉄道会社で駅、2社目の自動車メーカーでは工場と、まさに「現場の第一線」で業務と向き合ってきました。そこで感じたのは現場と経営の分かりあえなさ、そして物理的・心理的な距離の遠さです。

「会社は現場を知らなすぎる」「実態にそぐわない方針ばかり」といった声を何度も耳にした他、トップのメッセージや会社方針が従業員に浸透しきらず、一人一人が腹落ちできていないことに危機感を募らせる経営層の姿も目の当たりにしてきました。どうすればコンフリクトは解消されるのか? そもそも自社だけの問題なのか? とモヤモヤしたとき、ふと手に取った経営学の書籍に、驚くほど的確な「考え方のヒント」が示されていたのです。

それまでの自分の視野の狭さを痛感すると同時に、企業としての在り方や経営者の視点を意識するようになり、「理論も現場も分かるビジネスパーソンとして社会に貢献したい」と考えたのが、MBA取得を目指したきっかけでした。

私が所属する技術・生産モジュールゼミでは、技術・生産管理研究の大家である藤本隆宏先生(ビジネス・ファイナンス研究センター研究院教授)から日々情報のシャワーを浴び、多様なバックグラウンドを持つ仲間と共に実務・学術両側面からの学びを深めています。

写真左:営業から研究者、既にMBAや他の修士号を持つ方、年齢も20~50代とダイバーシティに富むゼミの同期生と入学式で。さまざまな学びを共有できる素晴らしいラーニング・コミュニティーです(左端が筆者)
写真右:先生や学生の横のつながりを生かした合同ゼミが開催されることもあります

ゼミでは技術・生産、イノベーションといったテーマの文献を輪読する他、合同ゼミでの多様な切り口でのディスカッションや企業の現場見学を行っています。これらの活動を通し、広義のものづくりについて、付加価値の「流れ」を管理し改善する、進化学的な枠組みについて学んでいます。

修士論文は、「現場」における組織学習に着目し、製造DX(デジタルトランスフォーメーション)と現場改善を対象に「現場サイエンティストの育成による科学的改善マインドの醸成と労働生産性の向上」をテーマにする予定です。高次学習や科学的思考法の見地から企業のデジタル化とものづくり改善の連動に関する理論的・実証研究に基づき、先進的生産現場の改善マインドを現場サイエンティストとしての心的特性と特徴付けて、新たな知見を得たいと考えています。

写真左:偶然ですが、同じ会社の先輩が大学院の同期生です。自社と商用車のプレゼンス向上を目指し、まい進中!
写真右:ゼミの忘年会兼送別会(同期生が交換留学でフランスへ!)。驚くほどの知識量と教育への情熱を持つ藤本先生(左列手前から2人目)ですが、実はとてもユーモアがあり、ゼミ生は厚い信頼を寄せています

優良なものづくり現場の強みとは「多能工(一人で複数の役割を担う)によるチームワーク」です。変化の激しい時代においても日本企業の擦り合わせ能力の高さを生かし、競争力を維持・向上し続ける組織についての示唆を得たいです。

また、いわゆるブルーカラーとホワイトカラー(※)の業務軸での垣根は、年々低くなってきています。デジタル化時代において、現場の継続的生産性向上のために、デジタル技術やデータサイエンティストはどのように関わるのが有効か? という観点からも研究を進めます。

(※)直接職場での肉体労働をブルーカラー、間接職場での知的労働をホワイトカラーとするケースが多い。

1年前の自分が聞いたら驚くほど、視野と知見が広がったと感じています。実は在学中に転職したのですが、これもWBSで多くの学びに触れ、仲間から刺激を受け、あらためて自己のキャリアビジョンを整理したことが大きく影響しています。3社目となる現在の自動車メーカーでは長期戦略の策定に携わっていますが、これまでの業務経験やWBSでの学びを生かし、「運ぶ」の未来を創造していくことに大きなやりがいを感じています。引き続き今後も、かねての目標である「現場と経営をつなぐことができる軍師」を目指し、自己研鑽(けんさん)を続けていきます。

土曜の空きコマでお世話になっている国際文学館内カフェ「橙子猫―Orange Cat―」のランチ。静かで雰囲気も良く、穴場です。こちらはおすすめの「季節野菜のドライカレー」

ある日のスケジュール
  • 07:00 起床(授業や課題の翌日はとてもしんどい)、出社
  • 08:45 始業(職場の理解があり、フレックスも活用)
  • 11:30 昼食(社食がおいしい! 余暇はiPadで授業の予習)
  • 18:00 退勤(早く上がった分は授業が無い日に調整…)
  • 19:10 授業開始(この4月から授業開始時刻が変更になりました)
  • 22:00 授業終了(学友と飲みに行くこともしばしば)
  • 23:30 帰宅(授業の予習・復習など、夜食を食べることも)
  • 25:00 就寝

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