2023年3月に早稲田大学を卒業・修了する皆さんへ、各学術院長・学校長からのメッセージを贈ります。これらの言葉を胸に、夢に向かって歩んでください。
偶然性の感覚
政治経済学術院長
齋藤 純一(さいとう・じゅんいち)
「やっぱり I was born なんだね…受身形だよ」。吉野弘の詩の一節である。私たちは受身形で生まれ、偶々(たまたま)ある種の才能を授かる。そしてその後も受身形で育ち、偶々ある種の環境を与えられる。偶々というこの感覚が、「自分は」という気持ちを和らげ、他者を受け容(い)れることにつながるのでは、と思う。
Next One!
法学学術院長
田村 達久(たむら・たつひさ)
喜劇王チャップリンは、あなたの最高傑作は何か、との問い掛けに対して、“Next One!(次回作!)”と答えたといわれる。イノベーションが叫ばれる日本社会に飛び出していく卒業生に、さらなる高みを目指してほしいとの願いを込め、この一言を贈る。
徳は孤ならず、必ず隣有り
文学学術院長
高松 寿夫(たかまつ・ひさお)
「徳」などというと教訓めいていますが、それは切磋琢磨(せっさたくま)によって獲得されるものでもありました。つまり「徳」とは、熱心に取り組む姿勢に置き換えることができるでしょう。仕事であれ趣味であれ、励んでいれば必ずや理解や共感を寄せてくれる人が現れるのだと思います。
時間こそは、最もユニークで乏しい資源
教育・総合科学学術院長
箸本 健二(はしもと・けんじ)
経営学者P.ドラッカーの言葉です。時間は珠玉のもの。とはいえ効率にばかり気を奪われると大切なことを見落とします。時間は人間のためのもので、人間が時間のためにあるわけではありません。寄り道をすることが、しばしば豊かな経験への近道となるものです。
春宵多旅夢
(張喬「荊楚道中」)
商学学術院長
横山 将義 (よこやま・まさのり)
コロナ禍で社会の変革が余儀なくされ、既成概念にとらわれず行動することが求められています。未知の世界に不安を抱いている方が多いと思いますが、これまでに培った知的探求心を活用して自らの可能性に挑戦し、夢を抱いた人生の旅を歩んでください。
進取果敢に前進する
理工学術院長
菅野 重樹(すがの・しげき)
先を見て進むことを常に意識してください。そして、失敗を恐れずに前向きにチャレンジすることが創造につながります。エジソンも“I am not discouraged, because every wrong attempt discarded is another step forward.”と言っています。
教育は人生の準備ではなく、人生そのものである(デューイ)
社会科学総合学術院長
早田 宰(そうだ・おさむ)
アメリカの哲学者、教育者の言葉です。学びは一生です。食べること、寝ることと同じように、学ぶことなしには生きられません。学びが楽しければ人生も楽しく、学びが豊かになれば人生も豊かになります。これからは学校の代わりに社会があなたの学び場です。
人と人、知識と知識をつなぐ
人間科学学術院長
三嶋 博之(みしま・ひろゆき)
人と人の出会いや知識と知識の融合は、それらが単独であったときには見えなかった新しい価値を創発します。早稲田大学での出会いと学びが、皆さんのこれからの出会いと学びにつながり、さらに豊かな未来の価値の創出に結実することを期待します。おめでとう!
自分ができること以上のことに挑戦しなければ、成長はない
スポーツ科学学術院長
松岡 宏高(まつおか・ひろたか)
“Unless you try to do something beyond what you have already mastered, you will never grow.”(Emerson) 小さくても構わないので新たなチャレンジを続け、それを達成したときの喜びを感じ続けてください。皆さんにはまだまだ可能性があります。
The most beautiful thing we can experience is the mysterious.
国際学術院長
稲葉 知士(いなば・さとし)
アインシュタインの言葉です。現在、世界は一瞬たりとも未来を予測することが困難な状況にあります。大学での学びを生かし、自分と仲間の可能性を信じ、その時々で最善の選択をすることができる、世界に貢献するリーダーとしてのご活躍を応援しています。
「まだ半分あるぞ」
芸術学校長
古谷 誠章(ふるや・のぶあき)
吉阪隆正が大学紛争中の1969年7月に理工学部長として発した告示。グラスに半分のワインを手に「まだ半分残っているぞ」とニコニコする男と、「もう半分しかないや」と悲しがる男が描かれている。吉阪はこのニコニコする男の説に従いたいと言っています。