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【W杯開催!】『note』が大反響の早大ア式マネージャー 「やっぱり、私はJリーグで働きたい」

「サッカーの虜(とりこ)になって19年。いつかサッカーの舞台を作る一員に」

政治経済学部  4年 菊地 彩花(きくち・あやか)

東伏見グラウンドにて、ア式蹴球部同期の仲間たちと

3歳からサッカーを始め、高校時代まで女子サッカー選手として活躍していた菊地彩花さん。現在は政治経済学部に所属し、強豪ア式蹴球部(以下ア式)で、4年生ではただ1人のマネージャーとしてチームを支えています。そんな菊地さんが、これまでのサッカーに対する熱意やJリーグで働きたい気持ちをつづった『note』が大反響。彼女の熱いサッカー愛に感銘を受けた鹿島アントラーズの社長からホーム戦に招待され、その様子がメディアで取り上げられるなど、広く世間から注目を集めました。今回は、菊地さんにマネージャーになるまでの道のりや、大学生活最後のシーズンを迎えて思うこと、『note』の反響のその後、今後の展望などについて聞きました。

――大学でマネージャーになる前は、選手として活躍していたそうですね。サッカーを始めたきっかけを教えてください。

兄がサッカーをしていた影響で、3歳から始めました。根っからの負けず嫌いな性格がサッカーに向いていたみたいで、小学校の高学年になって男子と体格の差が出てきても私のサッカー熱は増すばかり。中学校では部活は陸上部に所属しつつ、クラブチームに入り、本格的に女子サッカーを始めました。週4、5日の練習をこなし、オフの日には趣味で1日に3試合観戦するほどサッカー漬けの毎日でしたね。

高校時代に米国に語学留学したときも、地元のサッカークラブに参加しました。言語が完璧に伝わらなくても、一度一緒にボールを追いかければあっという間に現地の人と友達になれてしまう、世界共通のコミュニケーションツールにもなるサッカーというスポーツの奥深さを、身をもって感じました。

写真左:サッカーを始めたころの一枚。サッカー選手になることを夢見ていたという。左端が菊地さん
写真右:高校時代に米国に留学していたときの写真。菊地さんは左から4人目

――大学では選手から一転し、マネージャーとしてサッカーに関わろうと思った理由はなんですか?

中学生の頃からぼんやりとですが、サッカーチームの営業や企画、広報などを担当する、フロントスタッフの仕事もいいな、と考えていました。その後、所属していたクラブチームでチームの運営やマネジメントに携わる機会があり、日本代表のパブリックビューイングイベントの運営を間近で見たのですが、そこで試合を支えるために働く多くの人の努力に気付き、やっぱり将来はフロントスタッフになりたいと思ったんです。その布石として、まず大学ではマネージャーとしてサッカーに関わろうと決心しました。当時はどの大学かまでは考えていませんでしたけどね。

写真左:高校まではボランチの選手として活躍していた菊地さん
写真右:鹿島アントラーズでエスコートキッズを務めたことも。このときに感じた熱狂的なスタジアムの雰囲気が忘れられず、後にサッカー界で働くことを志すきっかけの一つとなった

――早稲田大学に進学し、ア式のマネージャーに。なぜ早稲田を選んだのですか?

いくつかの大学サッカー部を調べてみて、早稲田のア式マネージャーの「選手と一緒にグラウンドに立つ仕事が多い」という特徴に魅力を感じました。他の大学ではグラウンド上での練習に関することは、コーチが全てやるケースが多いのですが、早稲田ア式ではコーチが練習メニューを作り、そのセッティングはマネージャーが担当しています。そのような運営に関することから、水汲みやボール拾い、ビブスの用意まで、グラウンド上での仕事は多岐にわたります。ここでなら、選手だった自分の経験が最大限に生かせると思いました。入部してからは、このメニューのときはこの用具を使った方がいいんじゃないか、といったトレーニングに関わる話をコーチとしたり、選手がメニューの意味を理解して狙い通りトレーニングできるようにサポートしたりと、選手のパフォーマンス向上のためのサポートを直接的にできるところにやりがいを感じています。

また、もともと経済などビジネスの分野に興味があり、政治経済学部に魅力を感じていたのも理由の一つです。人の行動を数値化して可視化した状態で分析してみたい、人は無意識に合理的に行動するのか確かめたいという問いを持っていたので、学んでみたいと思っていました。それに、校舎がきれいだというのも決め手でしたね(笑)。

写真左:大隈記念講堂を背景に入学式で母親との一枚。「一つのことに熱中し続けられる性格に育ててくれた両親には、感謝の気持ちでいっぱいです」
写真右:練習のときはグラウンドでやかんを持ってあちこちを走り回り、選手たちにドリンクを配る

――ア式蹴球部では自身として最後のシーズンを迎えていますが、マネージャーとして奮闘した4年間はいかがでしたか。

正直、つらいことも多く、辞めたいと思うことも少なからずありました。将来を有望視される有名な選手も多く在籍するチームなので、試合のときなどは華々しい印象を持たれがちですが、準備や日々の練習では大変なことの方が多いので。特に1年生のときは選手を含め同期全員でやる仕事が多くあり、そこでミスをすると、反省会で他の同期たちに「なぜそういうミスをするのか」と冷静にお説教されるんです。同期の中でマネージャーは自分一人ということもあり、とうとうとミスを指摘されるとつらくて…。下級生の頃は、毎日のように「自分はここにいることが正解なのか」と葛藤していましたね。

でもア式のマネージャーになると決心して大学に入ったので、つらいからという理由で辞めてしまったら、自分に何も残らないし、絶対にやり遂げたいなと思って。だからこそ、苦労を乗り越えて試合が終わったときに感じる達成感は何物にも代えがたいです。

1年生のときに早慶戦で見た景色

また、週6日同じ練習環境にいると、それぞれがいろんな悩みや思いを抱えてサッカーに向き合っているのが分かるので、誰かが頑張っているのに自分が頑張らなくてどうするんだという気持ちにもなります。一緒に怒られたり真剣に課題に向き合ったりしてきたからこそ、同期との信頼関係は深いし、4年生になった今では自分にとって家族のような存在です。

家族も同然という同期と

――他にマネージャーとして力を入れたことはありますか?

菊地さんの作成したプレスリリース画像。ア式蹴球部のTwitterで、部員のプロサッカーチームの内定をお知らせするもの

SNSの運用に力を入れていました。以前はスターティングメンバーの写真をそのまま載せているだけ、といった具合で、サッカーに興味を持っている人ならまだしも、他の大学生からすると印象に残らないような感じだったんです。ア式自体が多くの人の支えによって成り立っている部活なので、さらに多くの人に興味を持ってもらえたらいいなと思い、SNSに載せる画像を工夫し始めました。Jリーグやプレミアリーグなどの画像を参考にして、試合情報や選手の名前などの伝えたいことがきちんと伝わり、かつ目に留まるようなデザインを意識してプレスリリース画像を作りました。実際にInstagramのフォロワーも2,000人台から4,000人台と倍増し、他大の部員の方からも反響がありました。

――ア式の部員ブログ『note』では、「やっぱり、私はJリーグで働きたい」という文章を公開し、話題になったそうですが、その反響はいかがでしたか。

ア式の『note』では、部員一人一人が自分の心の内をありのままに明かす記事を投稿しています。私が執筆した回では、いつかJリーグで働きたいという願いと、その夢に向かって努力してきた軌跡を何度も何度も書き直し、思いの丈をぶつけました。

招待されたホーム戦で鹿島アントラーズの社長と

私はあまり自分のことを積極的に話すタイプではないので、留学や高校時代のことを初めて知ったというメンバーも多くて。今の私ができた過程を知ってもらえて、『note』を通じて少し信頼感が高まったなという感じです(笑)。

また、部内にとどまらず多くの人が私のことを知ってくれました。いろいろな企業(Jリーグクラブなど)からインターンのお誘いをいただいたり、鹿島アントラーズの試合に招待していただいたりもしました。恥ずかしがらずに自分のことを発信することで、新しい扉が次々と開いていくような感覚を覚えましたし、人生の選択肢が増えた気がします。今年、私の『note』をきっかけにア式マネージャーとして入部を決めたという人もいて、あらためて影響の大きさを実感しています。

――今後の展望を教えてください。

『note』がきっかけとなり、とても魅力的な企業から声を掛けていただき、就活時はサッカーとは違う業界への就職に気持ちが傾いていました。でも本当にそれで良いのかと思い悩むことが多くなり、やっぱり初志貫徹で「サッカー業界を中から見てみたい」という思いが強くなりました。今後は、サッカーに関する何かをしてみようと計画しています。サッカーというスポーツをきっかけにして、誰かの心を動かしたい。日常の中に新たな楽しみを持ってもらいたい。それが私の本望です!

第821回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 2年 田邊 紗彩

【プロフィール】

東京都出身。渋谷教育学園幕張高等学校卒業。物作りやデザインが好きで、中学・高校時代には文化祭の装飾を6年間担当していた。

おすすめの授業は「アカデミックリテラシー演習(科学技術を考える)」、「行動経済学」(どちらも政治経済学部設置科目)。常識や当たり前だと思っていたことが覆されるような授業で、とても面白かったと話す。2022FIFAワールドカップで注目している選手は相馬勇紀選手と三笘薫選手、上田綺世選手。

Twitter(菊地さん):@i_am_ayaka_K
Twitter(ア式蹴球部):@wasedasoccer
Instagram(ア式蹴球部):@waseda.univ.afc
ア式蹴球部公式noteはこちら

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