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Matthias Hieber 教授 集中講義開催報告

数物系科学拠点では12月4日から13日にかけて、拠点のJA教員であるMatthias Hieber 教授(ダルムシュタット工科大学)による数物系科学コースの学生向けに集中講義(90分×4回)を開催しました。この集中講義では準線型放物型発展方程式に対応する線型作用素の最大正則性に関する一般論を解説していただきました。さらに、時間局所的な強解の一意存在定理や小さな初期値に対する時間大域的な存在、そして平衡状態における安定性についても解説していただきました。

Matthias Hieber 教授(ダルムシュタット工科大学)

準線型放物型発展方程式は方程式系に現れる係数の線型作用素が未知関数にも依存して変化するため、儀我などによる、よく知られた半線型放物型発展方程式に対する一般論を用いることができません。実際に、デュアメルの原理を用いて方程式系を積分方程式に書き直して逐次近似により解を構成しようとした場合、時刻が初期時刻に近い場合に正則性の損失が生じるという問題点が生じます。これを解決するのが「最大正則性」と呼ばれる概念であり、積分方程式を(陽的に)考えることなく強解を構成できるという利点があります。特に、ナビエ・ストークス方程式の自由境界問題をはじめとする、実際の物理現象に現れる方程式系の強解を構成する上で、作用素の最大正則性は重要な役割を果たします。実際に、講義では、線型作用素の最大正則性に関する抽象論を用いて Ericksen-Leslie モデルと呼ばれる、パソコンやスマートフォンの液晶の挙動を記述する方程式系の時間局所適切性、小さな初期値に対する時間大域適切性および解の平衡状態への収束について解説されました。

Hieber 教授は、この研究分野を数十年に渡って世界的にリードしてきた数学者であり、これまでに数えきれないほどの興味深い研究結果を発表されてきています。今回の集中講義の参加者は、Hieber 教授とは異なる研究分野を専攻する学生もいましたが、大変ありがたいことに、Hieber 教授は初学者にもわかりやすいように、具体例を多く取り入れながら最大正則性の概念を説明してくださいました。このように、Hieber 教授による集中講義は、世界最先端の数学のテクニックをわかりやすく学べるとても教育的なものでした。

 

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