“Advanced Study of Nonlinear Mechanics”の集中講義は「ポアソン幾何、モジュライ空間とそれらの応用」という題で2019年6月24日から28日に行われた。ポアソン幾何はシンプレクティック幾何の一般化であり、どちらも現代の力学理論において重要な役割を果たしている。ポアソン幾何はフランスの数学者サイモン・デニス・ポアソン(1781-1840)に因んで名付けられたが、ポアソン幾何が機能し始めたのは、1980年代に入ってからである。
主な講義はKosmann-Schwarzbach教授(formerly of the Ecole Polythechnique, フランス)とNan-Kou Ho教授(National Tsing-Hua University, 台湾)によって行われた。Kosmann-Schwarzbach教授は現代のポアソン幾何の創始者であり、彼女による「ポアソン幾何入門」の講義は簡単なポアソン幾何の歴史から現代の研究状況まで触れられた感銘を受ける講義であった。Nan-Kou Ho教授による「ポアソン幾何の応用と他との関連」では、彼女が主な専門としている平坦接続のモジュライ空間への応用の分野に集中した講義であった。その他に5人ほどの専門家による講演が行われた。彼らはさらなるポアソン幾何を行っており、この分野に広い視点を与えている。
この講義には多くの早稲田や他大の学生、研究者が参加した。ポアソン自身は教育者であり研究者であるが、「数学をすること、そして教えることこそが人生によいものである」と述べたと言われている。このSuper Globalコースがまさにポアソンの哲学を表したものとなった。