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学生渡航レポート:ピッツバーグ大学へ

2019年05月25日から09月02日まで、数物系科学コース渡邊圭市さん(博士後期課程)がスーパーグローバル大学創成支援事業奨学金を利用し、ナビエ・ストークス方程式の研究を世界的にリードしている Giovanni Paolo Galdi 教授の下、アメリカ合衆国のピッツバーグ(ペンシルベニア州)にあるピッツバーグ大学に3ヵ月滞在いたしました。

渡邊圭市さんによるレポート

1.海外渡航の目的

私は2019年05月25日から09月02日までの101日間 アメリカ合衆国のピッツバーグ(ペンシルベニア州)にあるピッツバーグ大学に滞在しました。この滞在は早稲田大学スーパーグローバル大学創生支援数物系科学拠点における学生派遣事業によって実現しました。この訪問の目的は、自身の研究題目の一つであるナビエ・ストークス方程式の研究を世界的にリードしている Giovanni Paolo Galdi 教授を訪問し、自身の研究をより深化させることです。ここでは,101日間の渡航について簡単に述べようと思います。

 

2.渡航時における研究

ピッツバーグ大学に渡航中、私は全空間におけるナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式系の時間大域適切性の研究に取り組みました。この方程式系は従来の圧縮性ナビエ・ストークス方程式に表面張力の効果を加味した数理モデルであり、水と水蒸気の(一次)相転移を解析するために、20世紀の初頭にコルトベーグ教授により導入されたものです。また,この方程式系は応力テンソルに密度の勾配項が含まれている点が特徴的であり,拡散界面モデルや浅水波,量子流体の研究に応用できる方程式系の一つとして,近年注目が集まっています。この方程式系の適切を証明することは,この方程式の「妥当性」を理解し、その結果を工学へ応用する上で重要です。実際にこの方程式系の解がもつ数学的性質を明らかにし、この方程式系に関する数学的基礎を整備することで、例えば数値シミュレーションの最適な設計などに役立てることが可能になります。この研究に関し、私は表面張力の効果が粘性よりも弱い場合に、ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式系の時間大域性を証明しました。そして,この内容を単著論文としてまとめ、国際学術誌に投稿しました。一方で,表面張力の効果が粘性よりも強い場合は、解が持つ数学的性質がそうでない場合に比べて悪くなるため、私が導出した結果とは異なる議論が必要になり、今後の研究課題として挙げられます。ただし、一般に表面張力の効果は粘性の効果よりも弱いことが知られているので、工学などに応用する上では、私の結果は十分であると考えています。

上記に関連する研究課題として、Galdi 教授より,接触角を伴うナビエ・ストークス方程式の自由境界問題の適切性の問題を提示されました。定常流の研究に関しては、Solonnikov 教授をはじめとする重要な研究結果が多く知られていますが非定常流の研究に関しては全く結果が知られていません。この研究があまり進んでいない理由の一つに,異なる境界条件をもつ境界が「接触」することにより境界に特異点(線)が生じる点が挙げられます。このような困難を避けるために、数値解析や数値シミュレーションでは、ナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式系のような拡散界面モデルを用いた研究が進められています。しかしナビエ・ストークス・コルトベーグ方程式系では一般に非圧縮条件が成立しません。よく知られているように,液体の密度変化は定数と見做せるほど十分小さいため、通常の(非圧縮性)ナビエ・ストークス方程式に対して研究を行うことは重要である考えられます。ピッツバーグ滞在期間中,私はこの研究課題に関連する文献の理解に務めました。今後の課題は方程式系の適切性の証明に取り組むことです。

 

3.ピッツバーグにおける研究

ピッツバーグはピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学をはじめとする多くの大学が集まる文教地区として知られています。また,ピッツバーグは全米の『住みたい都市ランキング』で毎年上位にランクインするほど住みやすく、治安の良い街として知られています。特に私が滞在していたオークランド地区は学生が多く、私と同年代もしくはそれよりも若い世代方々を多く見かけました。学生を意識しているためか大学周辺の飲食店の料金設定は他のアメリカの都市に比べると安価であったような気がします。数年前,プライベートでアメリカ合衆国のロサンゼルスに旅行した私にとっては、東京とそれほど変わらないピッツバーグの物価に驚きました。

Galdi 教授 ダルムシュタット工科大学 学生 渡邊

ピッツバーグ大学周辺

 

私が滞在していたオークランド地区は、アメリカ合衆国の国民食ともいえるハンバーガーやピザをいただける飲食店が多くありましたが、残念ながら野菜や肉類を扱っているスーパーがほとんどありませんでした。そのため私は二週に一度、バスに乗ってオークランド地区の隣の地区にあるスーパーまで買出しに行っていました。スーパーでは、肉類をはじめとする生鮮食品は大人数向けの量で売っているものが多かったため、保存の利くソーセージやパスタ・野菜などを中心とした食生活を送っていました。日本のスーパーで売っているお惣菜とは違い、一人暮らしを想定しているようなものは売っていなかったので食材を腐らせないようやりくりするのに少々苦労しました。ピッツバーグは、フィラデルフィアに次ぐペンシルベニア州第二の都市であるものの多くの自然に囲まれています。そのため私が在籍している早稲田大学が所在する東京の新宿とは違い、大変静かな街である印象を受けました。それゆえピッツバーグは研究に集中できる街だと実感しました。

 

Galdi 教授 ダルムシュタットから派遣された学生 本人

 

4.最後に

最後に 今回の海外派遣に際して、派遣を受け入れてくださった Paolo Giovanni Galdi 教授および派遣の手筈を整えてくださった指導教員である柴田良弘教授には大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

 

 

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