数物系科学拠点では01月23日から02月08日にかけて、訪問准教授としてお迎えした Elena Frolova 教授（サンクトペテルブルク大学・レニングラード電気工科大学）による集中講義（90分×6回）を開催しました。この集中講義では、二相磁気流体力学（Magneto Hydro Dynamics）方程式の自由境界問題の時間局所・大域一意可解性の証明を解説していただきました。この集中講義で扱ったMHD方程式は水銀などの流体金属やプラズマの運動を記述する方程式であることが知られており、流体と電磁場との相互作用を考えている点が特徴的です。
二相MHD方程式の自由境界問題に対して，Frolova 教授をはじめとするロシア学派による結果が知られていました。自由境界問題の難しい点として、（自由）境界が未知であることが挙げられます。この自由境界問題は非常に難しい非線型微分方程式の一つですが、従来の数理モデルよりも、実際の物理現象に極めて近い数理モデルであることから、近年活発に研究されている研究分野の一つとなっています。
Frolova 教授は、この分野をリードする数学者であり、これまでに興味深い研究結果を多く出しています。集中講義の参加者には数学以外の分野を専攻する学生がいましたが、大変ありがたいことに、彼らにもわかるように基礎から丁寧に解説してくださいました。この集中講義は、世界最先端の数学のテクニックを学べる、とても教育的なものでした。
