日本中世史では「封建制」概念の放棄が現在語られている。だがそれは、歴史の発展の見取り図や西洋史との比較の視座を失わせ、中世史は混迷の状況にあるといってもよい。一方、過去の歴史学を振り返れば、朝河貫一が成し遂げた日欧比較の視点からの日本封建制論のように、日本史を世界史の発展のなかで位置づけ、日本社会の特徴を的確に分析した稀有の研究がある。歴史研究者が史料の海に埋没し、歴史を構築する力を失いかけている現在ほど、朝河史学を再評価する意義があろう。第一報告(甚野)では朝河が西洋中世史との比較のなかで比較封建制論をどのように理論化していったのかを問い、第二報告(矢吹)では朝河が行った日本封建制研究の全体像を提示し、それがいかに日本中世史研究にとり重要な着眼点に満ちているかを述べる。
【日時】2018年11月10日(土)14:00~17:00
14:00-14:15 司会・趣旨説明 浅野豊美(早稲田大学政治経済学部教授)
14:15-15:15 講演(1) 甚野尚志(早稲田大学文学学術院教授)「朝河貫一の比較封建制論の再評価」
15:15-15:30 (休憩)
15:30-16:30 講演(2) 矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)「甦える朝河史学-その現代的意義」
16:30-17:00 質疑応答
【会場】早稲田大学戸山キャンパス39号館6階第7会議室
【対象】学生・大学院生・教職員・一般
【参加方法】入場無料・事前登録なし
【問い合わせ先】早稲田大学文学学術院・甚野尚志研究室 [email protected]