1月25日、イスラエルのヘブライ大学 (The Hebrew University) より、コーポレート・ガバナンスなどを専門とする経済学者のYishay Yafeh教授をお招きし、“The Great Pyramids of America: A Revised History of US Business Groups, Corporate Ownership and Regulation, 1930-1950” と題された研究報告会が開催されました。この研究報告会は、早稲田大学SGU実証政治経済学拠点が主催、産業経営研究所、高等研究所との共催にて行われ、早稲田大学高等研究所所長/商学学術院の宮島英昭教授が司会を務めました。
研究報告会では、Yafeh教授は、ヘブライ大学のEugene Kandel氏、イスラエル中央銀行のKonstantin Kosenko氏、アルバータ大学のRandall Morck氏との共同研究の成果を発表しました。新しくかつ広範囲におよぶ手作業で収集した企業レベルのデータを用いて、どのようにして現在の米国の所有構造が生まれたのかについて報告されました。1930年代までは、米国も今日の新興国と同じように、50以上のピラミッド型の企業グループが製造業、鉄道、公共事業を支配し運営していました。しかしながら、1930年代の終わりから1940年代にかけて、それらの企業グループは急速に規模を縮小し、消滅していきました。現在の米国企業のように、他の企業を支配し、または、他の企業から支配されない独立した構造をもつ企業となり、諸外国と比べて例外的な構造を持つ企業が成立しました。報告では、企業グループが急速に縮小したのはなぜかを主題とし、その要因として、単一の法規制に起因するものではなく、1930年代から施行された複数の法律によって企業グループの崩壊が始まったことを示唆しました。
研究報告会中には、Yafef教授と本学教員(商学学術院 宮島英昭教授、広田真一教授、樋原伸彦准教授ら)による熱気を帯びた意見交換が行われ、その様子を学生達が熱心にメモを取りながら耳を傾ける姿が見られました。会場は満席となり、白熱した空気に包まれていました。この研究報告会以外にも、Yafef教授には、大学院生を対象に全4回の特別講義(テーマ:Business Groups and Family Firms)と計3回の個別の研究指導を行っていただきました。セミナー終了時間を過ぎても、Yafef教授は熱心に学生を指導する様子が見られ、学生にとって充実した研究報告会となりました。