所長
東出 浩教 [ ひがしで ひろのり ]
商学学術院 教授
概要
人間性を中心に据えた経営と「個」の内発的発展に関する理論の確立
詳細
経営学において、時に組織は機械に例えられる一方で、21世紀のグローバル社会においては、むしろ組織は「生きもの」であるというメタファーが主流になっている。
早稲田大学 人間性中心の経営学研究所は、「生きもの」としての組織の存在意識を前提として、組織の開発、成長そして発展の目的は、組織を率いる人間また組織に属する人間の開発、成長、発展にこそあると想定する。その上で、組織と「個」の相互作用をデザインするにあたっては、「個としての人間を中心に捉えることによって、最も効果的かつ効率的に、不確実性に対処できる組織を開発することができる」という命題を、通常の経営学のファンクショナルな学問領域の枠を超え、学際的な色彩の強いアプローチで検索していく。
当研究所は、実験経営学研究所を前身としている。実験経営学研究所では、起業・ファミリービジネスの分野で世界をリードしているバブソンカレッジ(ボストン)等との連携を活かし、Quasi-experimental Designを基にした研究を進め、結果として、これまでの経営学では重視されていない、経営者また従業員の「個」が思い描く社会での役割に焦点を当てる必要性が浮き彫りにされた。これを踏まえ、人間性中心の経営学研究所では、その研究成果として
(1) 経営学における「内発的発展」の理論という新規性の高い領域での早稲田大学の地歩が築かれること、
(2) 物質的富の増大という枠を超えた、企業そして企業人の幸福や満足への科学的道筋が開発されること、
(3) 研究成果の発信により、日本固有の寺領環境の中で育った内発的発展に関連するコンセプトの、きたるグローバルな「シェアリング」社会への貢献をはかること、
を期待している。
具体的には、ベンチャー企業(マイクロソフト社などに代表されるような、既に相当な規模に成長しているベンチャー企業も研究対象に含む)とグローバル・ファミリー企業という、経営者が事業責任をも引き受けながら決断を繰り返し、結果として「個」としての従業員やステークホールダーの内発的創造力と主観的幸福感を引き出し、ビジネスを成功裏に成長させた事例を中心に研究を進めていくことが予定されている。
研究所員
東出 浩教(商学学術院教授)
大滝 令嗣(商学学術院教授)
永井 猛(商学学術院教授)
西山 茂(商学学術院教授)