所長
中村 英俊 [ なかむら ひでとし ]
政治経済学部 教授
概要
国際社会におけるイギリス社会・政治システムの変容の関する総合的研究
詳細
本プロジェクト研究所は、特に欧州研究ユニットにおいてEU研究所等とも協働しながら、「国際社会におけるイギリス社会・政治システムの変容に関する総合的研究」を展開する。研究所員の多くは政治学および国際関係論を専門とするが、学内外のイギリス研究者と連携しながら、可能な限り学際的な研究を試みたい。また、イギリスの研究機関(オックスフォード大学やウォーウィック大学など)との共同研究や人材育成事業にも取り組みたい。より具体的には、以下4つの事業パッケージ(WP: work package)に沿った共同研究を展開する。
WP1: ヨーロッパ統合におけるイギリスの役割に関する研究
WP2: 脱植民地化世界におけるイギリスの研究
WP3: イギリス政治社会の比較政治学的研究:政治リーダーの役割
WP4: イギリス学派の国際社会論に関する理論研究
第1に、第二次世界大戦後に実際に動き始めたヨーロッパ統合の歴史の中でイギリスが果たしてきた役割の研究を試みる。研究対象は、現在のEU(ヨーロッパ連合)におけるイギリスの役割に限定されない。歴史的には、イギリスが当初加盟していなかった石炭鉄鋼共同体(ECSC)や経済共同体(EEC)のみならず、イギリスが原加盟国であったヨーロッパ評議会(CE)や米欧軍事同盟としての北大西洋条約機構(NATO)の研究が重要になる。また、ECSC・CE・NATOなどの設立前、すなわち、20世紀前半までの近代史における「ヨーロッパとイギリス」をテーマにした研究も必要になろう。
第2に、近代史において植民地帝国だったイギリスの歴史研究を踏まえて、現代の脱植民地化世界におけるイギリスの研究を試みたい。モノやヒトが国境を越えて移動するグローバル世界において、イギリスが果たす役割を検討することができるであろう。 比較の視座から、ヨーロッパの他の植民地帝国(フランスなど)やアジアにおける植民地支配の事例研究も試みることになる。
第3に、比較政治学の観点からイギリスの政治リーダーに関する研究の展開を試みる。財政再建や高齢化社会など日本と共通の課題を抱えたイギリスにおける政治リーダーを研究する現代的意義は大きい。 また、2014年9月のスコットランド独立の住民投票に示された「イギリス」からの分離独立の運動なども研究の対象となる。
第4に、国際政治学の理論研究におけるイギリス学派について検討を深めたい。伝統的なイギリス学派は「国際社会」を主権国家から成る社会と理論的に捉えたが、その「国際社会」が変容する中で、イギリスの政治・社会システムがどのように変容してきたかを問うための理論・概念的枠組みを整理したい。
研究所員
- 都丸 潤子 政治経済学術院政治経済学部教授
- 中村 英俊 政治経済学術院政治経済学部教授
- ベーコン ポール・マルティン 国際学術院国際教養学部教授
- 松園 伸 文学学術院文学部教授
招聘研究員
- 池田 明史
- 猪口 孝
- 大嶋 えり子
- 加藤 恵美
- 立山 良司