Organization for Regional and Inter-regional Studies早稲田大学 地域・地域間研究機構

その他

長江流域文化研究所

所長

工藤 元男  [ くどう もとお ]
文学学術院  教授

概要

長江流域の地域文化と中国文明

詳細

本研究は“長江流域文化研究所”が2007年度~2011年度の期間において実施した研究テーマ「巴蜀、楚、呉越の地域文化研究――東アジア地域文化論の構築――」を継承し、さらにこれを発展させるものである。その研究内容は以下の如くである。

  1. 「日本における秦簡研究の現状の研究」
    1975年末に中国湖北省雲夢県睡虎地で発見された睡虎地11号秦墓から大量の秦簡(秦の竹簡)が出土し、これを機に中国古代史研究は大きな高まりを形成し、国際的な学術交流をもたらした。本研究所は武漢大学簡帛研究中心と連携し、同中心(センター)が中国教育部に採択された「秦簡牘の綜合整理と研究」項目(日本のグローバル COE に相当)に正式にそのメンバーとして参加し、日本における秦簡研究の現状を調査し報告してきたが、引き続きその調査研究を進める。
  2. 「楚簡よりみた楚王故事と“史実”の探求」
    近年、中国古典学の分野で国際的な注目を集めている“上博楚簡”(1994年、中国の上海博物館が香港の骨董市場で購入した大量の戦国竹簡)を主たる資料として用い、それが儒家・道家系の資料として狭い分野で利用されている現状を克服するため、その中の『史記』などの史籍に編入されていない“楚王故事”に関する詩篇を分析対象として、“故事資料はいかなるプロセスをへて“史実”となるのか”という問題を考察する。これは“史実”という歴史学の基本概念に対する根本的な批判を提起するものである。なお、ここでいう“資料”とは、簡牘・帛書のような物質的文字媒体を指し、これに対して“史料”とはそのような資料を歴史研究のテクストとしたものを指している。
  3. 「四川からみた中国古代文明の研究」
    本研究所が四川大学芸術学院内に設置している“中日合作研究中心”を基盤として遂行してきた日中共同の四川の地域史研究を継続し、“四川という地域から中国古代文明がどのように見えてくるか”(地域からみる世界)を検証する。

研究報告

2017年度の主な活動実績

秦簡研究

本研究所は中国武漢大学簡帛研究中心の陳偉教授が中国教育部に採択された「教育部哲学社会科学研究重大課題攻関項目」のプログラム「秦簡牘整理与研究」に参加し、その共同研究の報告書『秦簡牘整理与研究』(共著、経済科学出版社、2017年7月)を刊行し、教育部に提出した。その中で本研究所が担当した成果報告論文は、工藤元男編「日本的秦簡牘研究」(pp.321-374)である。
この共同研究の一環として、秦簡研究の出発点となった睡虎地秦簡に関して、工藤元男編『睡虎地秦簡訳注-秦律十八種・效律・秦律雑抄-』(汲古書院、総頁432、2018年5月)を刊行した。
湖北省雲夢県睡虎地で発見された十一号秦墓から出土した睡虎地秦簡には、戦国末の秦の法制資料(秦律等)と占書の「日書」が含まれている。後者の「日書」はその後、戦国後期の楚墓やその後の秦漢墓からも発見されるようになった。これらの墓葬の墓主の多くは、郡県の少吏である。“Local Government Officials and Shu-shu-A View from Daybooks(Jih-shu)- ”,ACTA ASIATICA NO.113,pp.47-68,THE TOHO GAKKAI(August 2017)は、「日書」と郡県少吏の関係を論じたもので、それを東方学会の海外向けの専門雑誌ACTA ASIATICA NO.113に掲載した。
総じて、秦簡研究の分野において、大きな成果を獲得したといえる。

その他

中国上代の伝説の禹に関して、「禹 犯罪者を庇護する伝説上の帝王」(鶴間和幸編著『悪の歴史 東アジア編(上)』所収、清水書院、pp.14-26、2017年9月)を発表した。

2016年度の主な活動実績

出版

〇早稲田大学長江流域文化研究所編『中国古代史論集-政治・民族・術数-』(雄山閣、2016年)
論文集は、プロジェクト研究所「長江流域文化研究所」が、若手研究者育成のために設置している「簡帛研究会」の研究成果の一部である。本研究所は本学でプロジェクト研究所を発足させた2000年度第一期から立ち上げ、以後五年ごとに更新し、その間、四川大学芸術学院や武漢大学簡帛研究中心と学術連携し、日中共同研究を行ってきた。
本論文集は、これまでの日中共同研究に協力してくれた若手研究者の論文を編んだものである。取り上げられているテーマは、必ずしも四川や簡牘資料に限定されたものではないが、各人が現在もっとも関心をもって展開している内容となっている。

論文

〇工藤元男「清華簡「繋年」第八章覚書」(『史滴』第38号、2016年)
本論文は楚簡研究の一環で、史上名高い「殽之役」に関する清華簡「繋年」の記事を、『左伝』・『史記』などの伝世文献によって検証したものである。
〇工藤元男「「郡県少吏と術数-「日書」からみえてきたもの-」(池田知久他編『中国伝統社会における術数と思想』所収、汲古書院、2016年)
本論文は、近年学界で注目を集め出した中国古代の術数文化について、これを「日書」の観点から検討し、中国古代の郡県少吏の墓葬からなぜ「日書」が出土するのかという問題を、「日書」研究の研究史を通じて総括したものである。

研究所員

工藤 元男(文学学術院教授)
高橋 龍三郎(文学学術院教授)
李 成市(文学学術院教授)
小林 岳(高等学院教諭)

研究者一覧を見る

招聘研究員

閻 瑜(早稲田大学高等学院非常勤講師/工学院大学孔子学院非常勤講師)
馬 彪(山口大学人文学部教授)
盧 丁(四川大学芸術学院教授)
谷口 満(東北学院大学教授)
小澤 正人(成城大学文芸学部教授)
松村 一徳(古河市市民学習部文化課課長補佐)
大西 克也(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
謝 茘(法政大学社会学部教授)
藤田 勝久(愛媛大学名誉教授)
大脇 潔
桐本 東太(慶應義塾大学文学部教授)
鈴木 稔(財団法人山梨文化財研究所保存科学研究室長)
横田 恭三(跡見学園女子大学文学部教授)
森 和(成城大学民俗学研究所・研究員)
楯身 智志(早稲田大学本庄高等学院非常勤講師)
渡邉 将智(就実大学人文科学部総合歴史学科講師)
柿沼 陽平(帝京大学文学部史学科講師)
水間 大輔(中央学院大学法学部准教授)
小林 文治(北京新東方学校(日本語教師))
張 勝蘭
川手 翔生
小倉 聖

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