※現代中国法研究所は、2016年3月31日をもって終了いたしました。
所長
小口 彦太 [ こぐち ひこた ]
法学学術院 教授
概要
中国法の今を語る
詳細
日中国交回復時には予想もできなかった巨大な中国が出現することとなった。この巨大な中国の在り様を法の面から分析し、その研究成果を社会に発信することが現代中国法研究者の責務であると考える。具体的には、憲法や刑事法、民事法、裁判制度等に即して、権威主義的であると同時に先進的でもある複雑な性格を有する中国法の今を社会に発信していきたい。
敷衍すれば、以下のとおりである。先ず、市民的自由の保障を目的とする立憲主義的性格を中国憲法が有するかどうかが検討されなければならない。また、憲法と同様、国家権力の行使に直接関わる刑事法の検討も、中国社会における市民社会の成熟度を判断するうえで、きわめて重要な領域をなす。他方、経済に目を転ずると、市場経済への転換以降、中国経済は目覚ましい発展を遂げ、その市場経済を媒介する重要な法律として、民事財産法、特に契約法が存在する。この契約法は先進的な契約立法で、ここでは、進んだ中国と遅れた日本という対比さえ可能となる。この、民事財産法、特に益約法の領域での中国法の先進性については、日本国民、特に企業は十分に認識しておらず、重大な問題を有している。
以上のようなきわめて複雑な性格を有する中国法の現状を正確に把握し、それを社会に発信していくことを本研究所の活動の目的とする。