Organization for Islamic Area Studies早稲田大学 イスラーム地域研究機構

Research Activities

研究活動

Public Participation

公募研究

早稲田大学イスラーム地域研究機構は、2008年度から2012年度にかけて、文部科学省による「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」(2008年度-2009年度)、「特色ある共同研究拠点の整備の推進事業」(2010年度-2012年度)を実施し、共同研究課題の公募を実施してきました。
また2013年度には、2018年度までをその期間とする共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣により再認定されたことにともない、引き続き共同研究課題の公募を実施しています。

本事業の目的は、国内の研究機関と研究者をつなぐ学際的なネットワークを形成し、イスラーム地域研究の拠点としての機能を整備・強化することで、共同研究課題による活動はその中心に位置づけられています。
早稲田大学イスラーム地域研究機構は、研究テーマとして「イスラームの知と文明」を掲げており、本事業においてもこのテーマに結びつくような課題、あるいはこれらを補うような課題設定をもつ共同研究を定期的に募集しています。
なお、課題に対するアプローチの仕方(方法論・ディシプリン)は、学際性を広げるという観点から幅広い設定のものも可能です。

また、共同研究の質的向上と共同研究への参加機会の拡大を図るため、国公私立大学等に所属する幅広い分野を対象とする研究者の方々の参加を求めます。

共同研究課題一覧

本研究は、中東諸国と日本の多層的関係を明らかにする。現代において、中東と日本の関係は、花開いている。中東諸国と日本の関係は、戦後日本が再独立を果たした後に紆余曲折を経ながら再構築された。現在までに両者は、それぞれの文明への相互の敬意を基調としながら、友好、政治的協調、経済的相互依存に基づく互恵的関係を築いてきている。

だが、これまで中東諸国と日本の関係に関する研究は、エネルギーや安全保障の分野を例外として数少ないままである。近年、中東諸国と日本政府は、戦略的パートナーシップを結び、二国間関係の将来的な多層化を謳っている。ここで注視するべきなのは、中東諸国と日本の多層的関係は、政府間関係のみによって成立したのではなく、特に今後は、ますます非政府関係者の役割が拡大すると予想できる点である。なぜなら、多層的関係の構築過程は、政府による旗振りのみではなく、企業人、援助活動家、芸術家、宗教家、研究者などの様々な分野の専門家、交流協会、NGOs、ジャーナリストなどが文化的境界を超えて活躍する「市民外交」により深化されるからである。

そこで中東諸国と日本の多層的関係に関しては、従来の意味での外交のみではなく、「市民外交」、さらに皇室「外交」に視野を拡げることで、全体像を明らかにする成果をあげることができる。以下のように、中東諸国と日本の多層性という新しい研究テーマを研究するためには、データ収集、概念化、説明のための研究手法を組み合わせる工夫を試みたい。

グループ構成

  • 代表者
    中村覚(神戸大学・教授)
  • 構成員
    横田貴之(明治大学・准教授)
    須藤繁(帝京平成大学・教授)
    齋藤純(JETRO アジア経済研究所・副主任研究員)
    Bahadir Pehlivantürk(Associate Professor, TOBB University of Economics and Technology, Ankara)
    武藤弘次(一般財団法人中東協力センター・参事)

本研究の目的は、2011年の「アラブの春」を契機に顕在化した、中東イスラーム地域における君主制国家間の互助的な体制支援ネットワークの実態と、政治体制の安定性への影響を明らかにすることである。

1950年代まで中東において支配的な政治体制であった君主制国家は、軍のクーデタ等により急速に数を減らしていった。しかし、1979年のイラン革命を最後に、中東イスラーム地域では、いずれの君主制国家も打倒されておらず、かつての各地のイスラーム王朝と同様に、君主に政治的な実権が強く残されている国家が未だ多く存在する。これらの君主制国家は、イスラーム的な正統性を統治の根拠としながらも、実際には体制への脅威に対して相互の政治的、経済的、軍事的な支援という世俗的な手段で体制を維持しようとしてきた。ペルシア湾岸諸国による地域機構である湾岸協力会議(GCC)にモロッコとヨルダンを加えた「拡大GCC」の枠組みである。特に「アラブの春」以降、協力関係の制度化が進んでおり、閣僚級会合の定例開催、5年間の共同行動計画の策定など、一つの政治勢力と見なしうるような動きも顕在化してきた。本研究は、 拡大GCCという君主制国家間の互助的な体制支援ネットワークが実態としてどのようなものになっているのか、またネットワークの形成が体制の安定性にどれだけ寄与しているかについて、学際的な観点から明らかにすることを目指している 。

グループ構成

  • 代表者
    白谷望(愛知県立大学・講師)
  • 構成員
    村上拓哉(公益財団法人中東調査会・協力研究員)
    近藤重人(日本エネルギー経済研究所中東研究センター・研究員)
    渡邊駿(京都大学大学院・特任研究員)

本研究の目的は、現代ムスリム社会における「風紀」の通念、これに関連して生じる「暴力」、こうした「暴力」を正当化する「統治」のあり方について検討することである。

現代ムスリム社会の道徳観や行動規範についての実証的研究においては、実践されるべき教義と現実の地域性を照らし合わせた「相対的理想」を考察する方法を採るのが通常である。反面、道徳観や行動規範に基づいていても、暴力やこれを伴う統治を通じて現実を破壊する「絶対的理想」は、現象として批判されることで研究対象とはなりづらい。

これに対して本研究は、風紀取り締まりへの多面的評価、「過激派」組織における暴力と統治の関係、また女性観・家族観・貞操観の変化について、異なる地域の事例を通じて分析する。そしてこれらの知見を「公共善」や「正義論」といった西洋思想にも照らし合わせ、現代ムスリム社会に見られる風紀・暴力・統治をめぐる諸問題を、思想・社会・制度面から多角的かつ両価値的に検討する。

グループ構成

  • 代表者
    高尾賢一郎(日本学術振興会・特別研究員PD)
  • 分担者
    髙岡豊(中東調査会・上席研究員)
    後藤絵美(東京大学・特任准教授)
    辻上奈美江(東京大学・特任准教授)
    和崎聖日(中部大学・講師)
    上原潔(大阪産業大学・非常勤講師)

本研究は、前近代イスラーム社会の知識人を、知の多様性とローカル性という二つの観点から再考することを目的としている。

前近代イスラーム社会における知識人(ウラマー)は、イスラーム社会の知と文明を理解するうえで鍵といえる存在である。そのため、これまでにも多くの研究が積み重ねられてきた。しかし、宗教諸学以外の学問との関わりや、ウラマーの活動の地域性については、なお検討すべき課題が残されている。

そこで本研究では、『歴史序説』で有名なイブン・ハルドゥーン(1406年没)を題材に、こうした問題を検討する。彼は、マグリブとマシュリクを渡り歩き、宗教系の知に限定されない多様な知を修め、それを活用して各地の権力者に仕えていた。限られた研究期間のなかで一定の成果をあげるためにも、著名なイブン・ハルドゥーンに焦点をあてることは、有効な手法たりうるであろう。具体的には、彼の『自伝』の形成過程を検討することによって、上記の諸問題を考察したい。

グループ構成

  • 代表者
    佐藤健太郎(北海道大学)
  • 分担者
    中町信孝(甲南大学)
    五十嵐大介(中京大学)

本共同研究の目的は、パレスチナないしイスラエル研究を専門とし、日本国内外で個別に研究していた社会科学分野の研究者間にネットワーク形成を促進することである。このネットワーク化により、パレスチナ・イスラエル研究に関する社会科学的な学際的研究を力強く推進する。本共同研究は、多文化主義、平和主義、相互依存(国際政治経済)、国際協調の観点に基づいて、イスラエル/パレスチナをフィールドとする政治学・経済学・国際関係学等の研究協力体制を確立する。

これまでイスラエル/パレスチナの研究者は個別に成果を挙げてきたものの、研究拠点とする都市や各々の職業の差異によって、有機的かつ学際的な研究協力関係は見出されなかった。紛争地であるイスラエル/パレスチナの共同研究は、これまでイスラエルとパレスチナに関する研究が分断されるという特有の困難を抱えてきた。また政治、経済、外交、平和・安全分野の間の研究協力の方法が課題となってきた。そこで本共同研究は、学際的な研究協力を推進するために必要な視点の確立を目指す。

グループ構成

  • 代表者
    濱中新吾(龍谷大学)
  • 分担者
    中村覚(神戸大学)
    ニシム・オトマズギン(ヘブライ大学/京都大学)
    錦田愛子(東京外国語大学)
    田中香織(株式会社パデコ経済社会開発部)
    鈴木啓之(日本学術振興会)
    林真由美(独立研究者)
    江崎智絵(防衛大学校)
    辻田俊哉(大阪大学)
    佐藤千景(関西外国語大学)

本研究は、科学技術史の観点から、初期イスラーム文明の解明をめざすものである。イスラームの知のなかでも解明の遅れている実践知の領域につき、エジプトの窯業分野(イスラーム陶器研究)の技術革新プロセスを対象とし、同地域では前身の文明との継続性から技術革新が登場した後に、広域圏の中での交流からイスラーム文化が形成されたという、独自性の高い道筋を提示する。

本研究で分析の対象とする資料には、早稲田大学・出光美術館が1970-80年代にエジプトのフスタートで発掘したファイユーム陶器(早稲田大学本庄校地下倉庫所蔵)を用いる。窯業分野においては、美術史的な観点からの研究が先行してきたが、本研究ではその成果を踏まえたうえで、ファイユーム陶器の発展的段階の仮説をベースとし、陶土・釉双方に対する科学分析による具体的な検証により、幅広い討議を行う。さらに、ファーティマ朝期(969-1171年)における地中海~インド洋への広域経済圏の形成の中で、中国陶器、各種イスラーム陶器が生活文化に根付いていく前夜の様相をも明らかにしていく。

グループ構成

  • 代表者
    長谷川奏(早稲田大学)
  • 分担者
    二宮修治(東京学芸大学)
    村上夏希(東京藝術大学)

本研究では、観光を、政策・産業(ホスト)・ムスリム観光客(ゲスト)の三者による相互作用の場として捉える。そして、日本・東南アジア・中東における、①イスラームへの対応の類型、②観光政策、③観光の経済活動、④観光客のニーズとホスト社会の取り組みについて調査する。これに基づき、①ハラールブームを生み出す力学、②観光客誘致によるホスト社会への影響、③観光により生み出される新たな文化について考察する。

本研究は、日本におけるイスラーム理解およびハラール理解を深めるために不可欠なものであり、企業関係者や一般の人々のニーズに対応したものである。そのため、実践的な社会貢献という点においても大きな成果が期待される。 このような意義を有する本研究は、異なる機関に所属し、異なる地域を専門とする様々な分野の研究者の協働により遂行される。また、関連する研究会とも連携する予定である。

グループ構成

  • 代表者
    福島康博(東京外国語大学)
  • 分担者
    舛谷鋭(立教大学)
    安田愼(帝京大学)
    佐藤尚平(金沢大学)
    砂井紫里(早稲田大学)

image_01初期イスラーム時代には、イスタフリー(10世紀)やイブン・ファドラーン(10世紀初頭)、『世界の諸境域』(982年)など、数多くの地理書や旅行記がアラビア語やペルシア語で著されており、この時期のムスリムたちの世界観や世界認識については、比較的多くの研究が供されている。
一方、13世紀のモンゴルの到来やアッバース朝崩壊以降のイスラーム世界は、その統一性や一体性が失われ、「異なる世界」への関心が急速に萎む時代となり、西アジア(中央アジアや北インドを含む)では現に、新しく記された旅行記や地理書はほとんど確認されていない。

image_02このような中、サファヴィー朝やムガル朝、オスマン朝など安定した政権が鼎立した16~17世紀の西アジアでは「ヨーロッパ諸勢力の到来」とともに、新たな世界観・価値観がぶつかり合う時代へと突入する。
そのような状況を体現する17世紀末のペルシア語史料『スレイマーンの船』は、インド洋海域世界から東南アジア地域を丸3年近くかけて実際に見聞した記録であり、近世期の一ムスリムの世界観を如実に示す稀有な史料である。すなわち、ヒンドゥー教徒や仏教徒を、ムスリムとしての自覚を有した一個人がどのように見たか、ということが詳細に描かれているのである。

本研究は、この『スレイマーンの船』に主たる焦点をあて、近世期におけるムスリムによるイスラーム世界内の多彩なムスリム像、ならびにその外の世界に関する地理学的知識の体系化・構築化について検討する。同時に、旅中での他者との「邂逅」により自らをムスリムとして認識し、さらには自己と他者を宗教や宗派、言語によって区別する世界観の把握を通じて、近世期におけるイスラーム世界の「知」の構造とその特徴を、通時代的なイスラーム世界の「知」の変容及び同世界内での地域偏差を視野に入れつつ考察する。

グループ構成

  • 代表者
    守川知子(北海道大学)
  • 分担者
    島田竜登 (東京大学)
    間野英二(京都大学)
    長島弘(長崎県立大学)

image_01 (1)人口一千万人を超えるメガシティは、1950年代のニューヨーク、1970年代の東京に続き、現在世界に17都市を数える。世界の都市人口は増加の傾向にあり、とくにアジア・アフリカ地域には今後メガシティになると考えられている大都市が多数存在し、ムスリム人口の増加とこれらの大都市は不可分の関係性をもつ。申請者らは、都市問題は地球環境問題に結びつくものと仮定し、ジャカルタを中心としてメガシティの研究を続けてきた。

本研究の目的は、メガシティの中からムスリム人口が大半を占めるジャカルタとカイロを取り上げて、1.環境意識と宗教、2.インフォーマル住宅地における居住生活、3.多文化共存、4.都市への人口流入と都市の形成といったメガシティに特有の都市問題を、イスラームを切り口としてよりミクロにとらえ、現代都市にみられる「イスラームの知と文明」を検証することである。

image_02 (1)本研究では、ジャカルタ(ジャボデタベック)とカイロ(グレーターカイロ)において、1.歴史的な居住類型の変容、2.人口動態と都市形成の比較、3.フォーマルな都市計画によって開発が進められている居住地とその問題点、4.インフォーマルな居住地とその問題点、5.環境に対する意識を調査する。

人口センサスデータを使って定量的に分析し比較することに加え、工学的手法による都市史分析、建築史分析、文化人類学的手法による聞き取り調査を行い、量的・質的分析を試みる。

具体的には、モスクの位置や運営、あるいはコーラン学校、聖者廟のような宗教施設の位置や運営が、フォーマルな住宅地とインフォーマルな住宅地でどのように異なるのかなど、住宅地における公共施設や宗教施設に注目する。また、両都市における異教徒の居住に関する施策や宗教ごとの環境意識の差異を調べ、共存のあり方を比較する。

本研究は、以下の特色を備えている。

  1. それぞれ異なる機関に属するさまざまな分野の研究者の協働をつうじてメガ都市を多角的に捉える。
  2. 地球研におけるメガシティプロジェクトと連動しながらも、イスラームという視点から現代都市を見直すという新たな知見を提供し、ジャカルタ、カイロというメガシティに加え、湾岸アラブにおけるドバイやドーハなどの新都市、また湾岸資本によるイスラーム都市の開発をも視野にいれる。
  3. 未来への提言を模索するという、工学的手法を地域研究において試みる。

プロジェクト特設サイト

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グループ構成

  • 代表者
    村松伸(総合地球環境学研究所)
  • 分担者
    岩崎えり奈 (上智大学)
    青木武信(千葉大学)
    林玲子(国立社会保障・人口問題研究所)
    山田協太(京都大学)
    深見奈緒子(早稲田大学)

image_01 (2)中東地域の政治・経済は、2011年のいわゆる「アラブの春」によってもたらされた大きな構造変動の渦中にある。

本研究では、現在の中東の政治・経済の構造変動の中でGCC諸国がどのような影響を受けて、今後どのように変化していく可能性があるか、GCC諸国での変化が他の国にどのような影響を与えるかについて、イスラームとアラブの役割に注目しながら検討する。中東地域ではイスラームとアラブの要素は長い歴史を持つ。歴史的・文明的視点を加えながら、現在の変動の意味とその向かうところを、大きな構造的変動の流れの中に位置づけながら明らかにしたい。

image_02 (2)本研究では3つの点に留意しつつ研究を進める。

  1. イスラームとのかかわり
    「アラブの春」後には中東の政治経済でイスラームが大きな役割を果たすようになっている。一方で、中東はポスト・イスラーム時代への転換期にあるとの指摘もある。イスラームの役割とその変化も考慮しながら、中東・GCC諸国における政治経済の動きを検討する。
  2. アラブの視点
    GCC諸国やエジプトはアラブの基層文化でつながっており、アラブ諸国の政治や文化は相互に影響しあいながら動いている。アラブ諸国の動きはGCC諸国に大きな影響を与えてきたし、今後も与え続けるであろう。とりわけエジプトはアラブの中心的な国として重要であり、その影響のメカニズムにも検討を加えながら、GCC諸国の研究を進める。
  3. 歴史的な視点
    中東の政治経済におけるイスラームとアラブの役割は歴史的に形成されてきたものであり、現代の政治経済の理解のためには歴史的な視角が欠かせないからである。

グループ構成

  • 代表者
    辻上奈美江(東京大学)
  • 分担者
    長岡慎介(京都大学)
    松尾昌樹(宇都宮大学)
    福田安志(早稲田大学)
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