Organization for Islamic Area Studies早稲田大学 イスラーム地域研究機構

Research Activities

研究活動

The Japan Society for the Promotion of Science (JSPS) Core-to-Core Program, B.Asia-Africa Science Platforms

日本学術振興会拠点形成事業(B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)

多文化環境下における価値の交渉 —イスラームとの共生に向けた発展的研究

早稲田大学イスラーム地域研究機構を拠点とする研究交流課題「多文化環境下における価値の交渉―イスラームとの共生に向けた発展的研究」が、日本学術振興会研究拠点形成事業 (B. アジア・アフリカ学術基盤形成型)に採択されました。本研究は、平成23年度から25年度までの日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業「イスラームと多元文化主義―イスラームとの共生に向けた基礎的研究」を基礎とした発展的研究です。

早稲田大学イスラーム地域研究機構を拠点とする研究交流課題「イスラームと多元文化主義―イスラームとの共生に向けた基礎的研究」が、日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業に採択されました。

平成23年度より、次の通り実施する計画です。

拠点機関
日本側拠点機関 早稲田大学イスラーム地域研究機構
マレーシア側拠点機関 マラヤ大学アジア・ヨーロッパ研究院

研究課題

「イスラームと多元文化主義―イスラームとの共生に向けた基礎的研究」という課題を遂行するために、以下3点の目標を掲げた。

  1. イスラームと多元文化主義の背景と現状
  2. 現代科学技術とイスラームとの架橋
  3. イスラームとの共生モデル構築の基盤整備

第一の「イスラームと多元文化主義の背景と現状」においては、相手国として選択したマレーシアに注目する。マレーシアでは、多元文化主義が国是として掲げられる一方、イスラームが国民文化政策の中核を占め、多民族の共生が実践されている。相手国拠点機関であるマラヤ大学アジア・ヨーロッパ研究院には、マレーシアの多元文化主義に関する研究蓄積が厚い。これを核として研究を進める。

マレーシアは、土着の人びとに加え、歴史的な海のネットワークにより、南インドからのインド人、中国沿岸部からの華僑が暮らす。さらに、マレー半島から離れた、文化伝統の異なるサバ、サラワク州の人びとをも抱える。また、イギリス植民地時代を経て、西欧との関係も強固となった。このような歴史的宗教的多様性の中で、それぞれのアイデンティティーを維持しつつ、調和を目指す知恵が蓄積されている。多元文化主義に基づくイスラームのあり方が具体化されつつあるこの状況は、湾岸など中東を含むイスラーム地域全体の中でも特筆すべきものである。

一方、こうした多元文化主義をとりながら、マレーシアという国家のもとで国際化を成し遂げ、東南アジアをリードする経済的発展を培った。国際社会の一員としてグローバリズムを牽引してきたこともマレーシアの顕著な特色である。

今日、イスラームとの共生は、マレーシアや日本のみならず国際社会全体の課題である。イスラーム「原理主義」をはじめとしイスラームとの衝突が取り沙汰される中、グローバルな視座からイスラームとの共生を考えるためには、東南アジアや中東を含めたイスラーム地域全体と国際社会との歴史的な関係を理解することが不可欠である。特に湾岸諸国は、世界各地から異民族、異宗教の動労者を迎え入れており、多様なる文化伝統とどのように共存させていくかという問題に直面している。ジョージタウン大学カタール分校は、湾岸諸国の中でも屈指の国際政治学の研究機関であり、ここの研究者の協力を得てイスラーム地域全体と国際社会の関係を検討する。

マレーシアにおける多元文化主義の背景と現状を学術的に研究し、カタールを足掛かりに湾岸諸国などを含むより広いイスラーム地域と国際社会の関係を検討することは、イスラームとの共生モデル構築へのヒントへとつながる。この第一の目標を、2011年度の主たるテーマとして、着手する。ただし、全体テーマ「イスラームと多元文化主義―イスラームとの共生に向けた基礎的研究」を考える上で必要不可欠であるので、2012年度以降も継続するものとする。

第二の「現代科学技術とイスラームとの架橋」に関しては、日食品・薬品に関わる化学工業の問題に加え、遺伝子工学、先端的医療技術、環境問題への対応など、現代科学技術に対する、イスラームの法や倫理の対応は、イスラーム世界においてもさまざまな議論を巻き起こしている。これらの問題は同時に私たちを含む国際社会全体の問題でもある。

日本ではムスリムがマイノリティであるが、イスラーム諸国と輸出入、観光等を通じて深い関連をもつ。一方、多民族国家マレーシアにおいては、イスラームが国民文化政策の中核を占め、しかも東南アジアの中でも特筆すべき経済発展を成し遂げた。これらを考え合わせると、現代科学技術に関するイスラームの姿勢を問うことは、日本と、マレーシアとの交流意義を見出すものの一つとして位置づけられる。

東南アジアにおける先進イスラーム国であるマレーシアと共同研究・交流することによって、現代科学技術とイスラームとの間の学術的架橋の方策を考察する。この第二の目標を、2012年度の主たるテーマとするために、2011年度に共同研究の準備を進め、2012年度から共同研究を始める。  第三の「イスラームとの共生モデル構築の基盤整備」に関しては、早稲田大学イスラーム地域研究機構は、日本におけるイスラーム地域研究の拠点として、イスラーム法に基づく思想から地域特有の生活まで、多層的な研究を推進している。

この利点を生かし、さらに本事業での蓄積、すなわち2011年度から始めるマレーシアにおける多元文化主義の背景、現状、国際社会での位置づけに関する多層的分析、2012年度から始める現代科学技術に対するイスラームの対応という視点からの分析とその成果の上に、最終年度たる2013年度には、イスラームとの共生モデル構築のための基盤を整備する。

これを基に、さらなる研究を続け、最終的にはイスラーム理解のための日本における国際的センターの確立を目指すものである。

平成26年度より、次の通り実施する計画です。

拠点機関
日本側拠点機関 早稲田大学イスラーム地域研究機構
マレーシア側拠点機関 マラヤ大学アジア・ヨーロッパ研究院
アラブ首長国連邦側拠点機関 ニューヨーク大学アブダビ校人文学部

研究課題

本研究は、平成23年度から25年度までの日本学術振興会アジア・アフリカ学術基盤形成事業「イスラームと多元文化主義―イスラームとの共生に向けた基礎的研究」を基礎としたイスラームとの共生に向けた発展的研究である。イスラームとの共生に向けて、多文化環境下における価値の交渉を明らかにするために、平成26年度から28年度までの各年度の目標を以下のように設定する。

平成26年度 「イスラームと多元文化主義」を基盤とした多文化研究の環境整備
平成27年度 イスラームに見るグローバリゼーション
平成28年度 価値交渉モデルの提案

(1)「イスラームと多元文化主義」を基盤とした多文化研究の環境整備(東南アジア、湾岸、東アジア):

3年間のアジア・アフリカ学術形成基盤事業を通し、マレーシアの多元文化主義からイスラームとの共生を考察した結果、イデオロギーとしての多文化主義の限界、多文化環境下に培われた共存の知恵という相反する側面が明らかとなった。これを基盤に、歴史的にイスラームを含む多文化環境を継続する東南アジア、20世紀末からオイルマネーによりイスラームの環境の中に外国人が加わり多文化環境に突入した湾岸、今後より多くのムスリムを迎え多文化環境が加速する東アジアという3つの多文化環境を射程とする。発展的研究に臨むにあたり、ムスリムと共生するための仮説として、1.価値判断における曖昧性の担保、2.価値観の多元化、3.寛容性に基づいたお互いの容認を提示する。この仮説を検証するために、価値の交渉の場として、ハラール(イスラームの行動規範)、国際移動、多国間対話、居住環境という4つの研究グループを組織する。それぞれのグループが、既往研究の総括を行い、多文化環境の多様性を把握し、仮説検証に向けた研究環境の整備を行う。

(2)イスラームに見るグローバリゼーション:

ハラール、国際移動、多国間対話、居住環境の研究グループそれぞれにおいて、イスラームに関するグローバリゼーションを明らかにする。東アジア、東南アジア、湾岸の3地域の異なる多文化環境下にみられるグローバリゼーションと標準化の推移を検討する。ハラールについては、産業界を巻き込み、教義や科学分析による規格化が進む中、世界各地で多様な基準が成立するとともに国際間の連携やグローバル基準の模索が進行している。ハラールの規格化とその多様性を焦点として、グローバリゼーションの在り方をとらえる。国際移動に関しては、マイノリティとしての文化や独自の価値が、マジョリティの中に消失しつつある。特に東アジアにおけるムスリム・マイノリティや湾岸ムスリム国における労働者たちのライフスタイルに注目したい。多国間対話に関しては、いくつかの国際的ネットワークが試行されてはいるが、主権国家によるパワーポリティクスから踏み出せない。湾岸、東南アジア、東アジアにおける対話や環境資源の歴史的推移について検討することから、現代の問題点をあぶりだす。居住環境に関しては、人々のレベルで多文化が接触する場である。世界遺産や球環境などグローバリゼーションの拡大と、宗教や民族、言語の差異による多文化の推進が同時に起こっている。人々の生活を焦点としてグローバリゼーションをとらえ直す。

(3)価値交渉モデル:

ムスリムと共生するための仮説、1.価値判断における曖昧性の担保、2.価値観の多元化、3.寛容性に基づいたお互いの容認を、ハラール、国際移動、多国間対話、居住環境という4つの側面から実証的に検証する。さらには、3つの仮説に基づいて、異文化間における価値観の交渉をモデル化した価値交渉モデルを提案し、イスラームとの共生に向けた発展的研究を遂行することを最終目標とする。

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