WIAPS研究会

第9回アジア太平洋研究センター(WIAPS)研究会

開催日時 2012年7月9日(月)16:00 - 18:00
場所早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713会議室
参加資格WIAPS専任教員・助手, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1

報告者:牧野 冬生 氏(早大アジア太平洋研究科助教)

報告テーマ:
「住民を排出することで都市化する」という視点

要旨:
 本研究では、メキシコから米国への国際労働に経済的に依存してきた地方都市のハロス市を対象として、伝統的な酪農社会の中心地区の都市化と、住宅建設、住宅の使用の仕方、意匠の変容といったプロセスが、いかに国際労働移動とトランスナショナルなコネクションと人・物・お金・シンボルなどの循環といったグローバライゼーションの特徴的な現象と密接につながっているかを説明する。グローバリゼーション理論では、国際移民労働者を集約する受け入れ社会が、移民現象を通じて、大都市へと変貌を遂げるプロセスについては、いくつかのモデルによって説明されてきた。しかし、送り出し社会の変化について、都市論とのかかわりからではなく、あくまで農村社会という設定から、移民現象のインパクトが検証されてきた。今日、国際労働移動は発展途上国の農村社会から、先進国の大都市への移動という、ケースだけではなく、発展途上国の地方都市、大都市から先進国へ都市への移動というケースも出てきている。本研究は、こうした都市から都市への移動という現象が起こる中で、移民現象と送り出し社会における都市化のかかわりについての検証を試みる。移民受け入れ社会の大都市に特徴的な「外部から人を受け入れることで都市化する」という現象ではなく、住民を外部へと排出し、彼らとの受け入れ社会とのつながりを構築し、維持し、強化するなかで都市化してきた送り出し社会の都市論、すなわちトランスナショナルなコネクションにおける地方都市論なるものの構築をこの事例研究を通じて試みる。

報告2

報告者:李 鍾元 氏(早大アジア太平洋研究科教授)

報告テーマ:
韓国の地域外交と「東アジア」

要旨:
 韓国では1990年代初めから東アジア論が盛んになり、いまでも「東アジア共同体」への知的・政策的関心が最も高い国といえる。活発な学界の論 議に加え、金大中大統領自らASEAN+3など外交の場で、東アジア共同体に向けた枠組みづくりに力を注いだ。米ソ冷戦の終結とグローバル化の進 展などで、「地域」の経済的相互依存が一つの実体として意識されるとともに、新たな地政学的な対立を回避したいという戦略的な発想も背景にある。
 しかし、戦後韓国の外交における地域構想では、「アジア太平洋」「東アジア」「北東アジア」など様々な枠組みが併存し、時には競合してきた。それぞれ韓国が置かれた状況や課題を反映している。本報告では、戦後韓国の地域外交の歴史的変遷を踏まえ、その文脈の中に「東アジア」や「北東アジア」を位置づけることで、外交史と政策研究の接合を試みる。また、戦後ヨーロッパの経験との対比を通して、「ポスト国民国家」と「脱冷戦」という 二重のマクロ歴史的課題との関連で、「地域形成」の持つ意味を考えてみたい。

報告3

報告者:白石 昌也 氏(早大アジア太平洋研究科教授)

報告テーマ:
メコン地域協力と中国、日本、アメリカ

要旨:
 アジア太平洋地域で影響力を持つ中国、日本、米国が、こぞってメコン地域を対象とする協力に関心を向けている。それぞれが深くかかわるGMS開 発協力、日本・メコン協力、メコン下流域イニシアティヴなどに焦点を絞って、それぞれの協力枠組みや、中、米、日の対応に関して、とりわけ最近の動向を中心に紹介する。
1.ミャンマーへの熱い視線、
2.メコン地域をめぐる様々な協力枠組み、
3.中国とメコン地域(1):GMS協力、
4.中国とメコン地域(2):その他の協力、
5.日本とメコン地域(1):カンボジア和平以降、
6.日本とメコン地域(2):日本・メコン協力、
6.米国とメコン地域:LMI、
7.競合か? 協調か?、
8.(とりあえずの)結論として なお、昨年度サバティカル期間中の活動報告については、当日、紙ベースで紹介する。

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