WIAPS研究会

第4回アジア太平洋研究センター(WIAPS)研究会

開催日時 2011年7月11日(月)16:00 - 18:00
場所早稲田大学19号館(西早稲田ビル)7階713会議室
参加資格WIAPS専任教員・助手, WIAPS受入の交換研究員・訪問学者・外国人研究員, GSAPS修士課程・博士後期課程在学生
報告1

報告者:三浦 秀之 氏(早大アジア太平洋研究センター助手)

報告テーマ:
農産物貿易自由化交渉における日本の対応

要旨:
 日本の農業はこれまで、国内政策だけでなく貿易の規律においても、他の分野とは異なる扱いを受けてきた。本報告は、日本が、農産物貿易自由化交渉において、いかにして、コメを含む農産物を 保護してきたのかを、ロバート・パットナムが発展させた2レベル・ゲームモデルの枠組みを用いて検討するものである。本報告では、ウルグアイ・ラウンド農業交渉、APECにおけるEVSL協議、日タイEPA交渉において、日本が、どのようにして他国からの外圧に対応し、農産物を保護したのかを検証する。
 本報告の問題意識は、我が国における農林族、農水省、JA全中からなる農政政策ネットワークが、国際交渉および国内政策意思決定過程において、どのように影響力を行使し、いかにコメを含むセンシティブな農産物を保護してきたかである。結論として本報告は、日本は、農産物貿易自由化交渉において、単に、自由化に反対を唱えるだけでなく、農政政策ネットワークが戦略的に対応したことによって、コメを中心とする農産物を保護することに成功したことを主張する

報告2

報告者:牧野 冬生 氏(早大アジア太平洋研究センター助手)

報告テーマ:
「移民労働者を主体とした新たな都市論の可能性」

要旨:
 1970年代以降急速に発展した都市論の学際的な活況は、90年代半ば以降徐々に沈静化し、都市論の焦点は都心から<郊外>へ視点を移していった。
郊外は非-場所的な存在として濃 密な場を持つ都市と対比され、郊外一戸建て住宅における家族関係の危機や、集合住宅におけるコミュニティの喪失といったどちらかというとネガティブなイメージを伴って記述された。
 この流れの中で都市論の主役は、中流階級から大多数を占める一般市民に移ったが、都市化の進行の過程で重要な役割を果たした移民労働者は 都市論の周縁に置かれてきた。
本報告では、都市化における移民労働者の存在に焦点を当てる。
まず現在までの都市論の流れを概観し、特に20世紀初頭から米国へ多くの移民を送り出してきたメキシコ人移民に着目して、ロサンゼルスの都市化の過程と彼らの出身地であるメキシコ地方都市の都市化が表裏一体の関係にあることを指摘したい。
現在顕著に見られる現象である頻繁で継続的な一時帰省はロサンゼルス郊外におけるヒスパニックコミュニティの紐帯をより強固にし、こうした移民労働者の視点から都市を捉えることによって、都市と郊外といった対立軸を相対化できる。
また、非-場所としての<郊外>を意味ある場(トポス)へ変容させるノスタルジックな伝統的儀礼を紹介し、頻繁で継続的な移動を伴う人々から捉える新たな都市論の可能性について検討したい。

報告3

報告者:小林 英夫 氏(早大アジア太平洋研究科教授)

報告テーマ:
社会科学の方法論をめぐって

要旨:
 近年、社会科学の方法論をめぐる論争が少なくなっているようにおもわれる。
ファクト・ファインディングも重要なのだが、それをどう分析すればいいかは、 それ以上に重要な意味をもつ。
 本報告は、(1)民衆の運動をどう描けばいいのか? (2)1910-1990年代までの日韓関係史をどう描けばいいのか?(3)満鉄・満鉄調査部をどう描けばいいのか?をめぐるこれまでの報告者の学会体験を紹介する。
(1)は社会史との係わりあい、(2)は経済成長史との係わり合い、(3)は国策との係わり合い、について言及する。
報告時間が、あまりに少ないので、(1)-(3)に関してはいずれも関連文献の紹介にとどめ、分析の方法論的ポイントのみを指摘することに重点を置く。

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