研究課題
筋力トレーニング効果の評価指標の確立
研究組織
研究代表者
川上泰雄(スポーツ科学学術院教授、プロジェクト統括責任者)
研究分担者
- 村田浩一郎(スポーツ科学学術院助手、腱特性測定)
- 太田めぐみ(スポーツ科学学術院助手、筋活動部位測定)
- 宮本直和(スポーツ科学学術院助手、筋力・筋パワー測定)
- 栗原俊之(スポーツ科学学術院客員研究助手、筋形状測定究)
- 池川繁樹(スポーツ科学研究センター客員研究助手、筋形状測定究)
- 下田学(スポーツ科学研究センター客員研究助手、筋力・筋パワー測定)
研究計画
筋力トレーニングは主に筋力や筋パワーの向上を目的として、スポーツ選手の体力向上のみならず一般人の健康の維持・増進を目的として広く行われている。筋力や筋パワーは骨格筋の生理的特性を反映したものであるが、その規定因子としてさまざまなものがある。これまでの研究を通じて、筋力については骨格筋の横断面積が密接に関係していることがわかっているが、それに加えて、筋内の筋束の配列様相(筋形状)も発揮筋力に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている。また、関節を回転させるトルクやパワーには骨格筋の体積や筋線維組成、筋線維と連なる腱組織の力学的特性、筋線維の活動状態などが影響を及ぼすことも示されている。
筋力トレーニングに対する上記の因子の個別的な変化については先行研究でも検討されているが、筋力トレーニングの効果としてそれらの因子を系統的に検討したものはみられない。一方、筋力トレーニングの指導の現場では多様な方法論が存在する。これは、トレーニング効果には特異性が存在するためであり、例えば、ジャンプ力を高めるためにはジャンプ動作のトレーニングが最も有効であるとされる。しかし、トレーニングの効果を最大限に得るためには、まずその効果を規定因子のレベルで見極め、各人の不足している因子を集中的に鍛えることが必要であろう。トレーニングの特異性はこの点をふまえたうえで理解するべきである。そのためにも、筋力・筋パワーの規定因子を総合的に評価するためのシステムが必要であろう。
そこで本研究プロジェクトでは、筋力や筋パワーの規定因子として、上述の筋腱複合体の特性を総合的に評価することのできるような指標の確立を目指す。
測定項目
- 筋力、筋パワー:筋力計を用いて測定(等尺性、等速性最大筋力、単関節・多関節パワー)
- 筋量、筋形状:超音波法、MRI法を用いて測定(生理学的筋横断面積、筋体積、筋束長・羽状角の筋内分布)
- 腱特性:超音波法、MRI法を用いて測定(腱の長さ、硬さなど)
- 筋活動部位:MRI法、筋電図、筋音図を用いて測定(活動部位の3次元評価)
- 筋線維組成:電気刺激による誘発収縮から推定(単収縮の時間特性及び収縮後増強の程度)
トレーニング効果の評価方法を確立することを当面の課題とするが、将来的には目的別の効果的なトレーニングプログラムの作成を目指す。