Waseda Law School早稲田大学 大学院法務研究科

News

ニュース

早稲田ロースクール稲門会奨励賞 2017年度受賞者が決定

2017年度早稲田ロースクール稲門会奨励賞受賞者

  • 遠藤 克 氏
    活動内容:複数の活動に積極的に参加し、後進に課外活動の意義を伝えた
  • 國府田 豊 氏
    活動内容:学外に積極的に交流を求め、在学生に交流機会を広めた
  • 高橋 歩 氏
    活動内容:刑事模擬裁判を企画・運営し、「刑事裁判の“楽しさ”」を周囲や後進に伝えた
総論(選考委員所感)

2009年度から表彰のはじまった、早稲田ロースクール稲門会奨励賞であるが、本年度は3名を表彰する。本年度の受賞者もそれぞれ、ロースクール生活において、各々の特徴を活かした、様々な活動に取り組み、いずれも「挑戦する法曹」を目指し試行錯誤を行ってきた者たちである。
中でも、法科大学院制度創設10年を超えながら、未だ新しい取組みへの挑戦が生まれてくることは、早稲田大学大学院法務研究科の根幹をなす「挑戦する法曹」がしっかりと育まれている証左でもある。
一方、本年の応募者は、既存の法務研究科における活動への従事、継続に寄与した者が多く見られた。昨今の法科大学院を取り巻く状況、すなわち合格率の低迷と、それに伴う学生の課外活動への敬遠傾向に鑑みれば、そもそも、自らの意思でなんらかの活動に参加すること自体、一つの評価に値すると考えられるが、同時にこのような表彰者の傾向の変化に、時代の変化を感じずにはいられない。

もとより、伝統的な活動であっても当該活動それ自体に高い意義が認められるのであれば、その活動を継続させ更なる発展に寄与したことは、新規性・独自性のある取組みを実践したことに比べ勝るとも劣らない評価を得られる事績である。
加えて、法科大学院の設立から10年が経過し新規性・独自性のある取組みの選択の幅が狭まっている現状では、斯様な取組みばかりを評価し続けることには自ずから限界が生じるのであって、「挑戦する法曹」を評価せんとする本賞の趣旨からみて合理的な理由があるものとは感じられない。
このような環境変化を踏まえ、本年度の奨励賞選考委員会としては、従来から継続する価値ある活動に、周囲を巻き込み、その活動の継続と拡大に寄与することも、一つの実績として他の実績と共に評価の対象となることを改めて確認し、表彰者の選定を行った。

もちろん、このような姿勢は、従来と異なり継続的な活動への関与のみで奨励賞の評価の対象とすることを表明したわけではない。
引き続き本学法務研究科の学生たちには、「挑戦する法曹」の体現者として、自らの独自の問題意識を形成し、その解決を自らの手で生み出し実践していく、そういった姿勢を追い求めていっていただきたい。
次年度以降の学生の更なる奮起を期待して止まない。

 遠藤 克 氏 受賞理由

遠藤氏の活動の特徴は、「Welcome Law school」や「法学教室Street Law」など、複数の活動に積極的に参加していたことであるが、そのいずれもが課外の活動を敬遠しがちな同輩・後輩に対して、課外活動の意義を伝え「後進のために活動を遺す」ことに軸足をおいた活動内容であったことが評価の対象となった。また、氏の「法学教室Street Law」での活動は、その活動の意義をプレゼンテーションし、継続的な受入れ校を獲得する活動の中心的役割を担ったというものであるが、法教育のような、高い公益性が認められ実務家も強い関心を持っている分野について、活動の継続性に具体的な道筋をつけた事は、社会的に意義深い活動を後進に遺したという意味で、高い評価に値すると考えられる。
その他、氏の活動のうち、選考委員内で高い評価を得たものの一つに、法務研究科主催の「Global Forum」などへも積極的に参加していたことがあげられる。こういった、既存の法務研究科の取組みへの参加は、それのみで高く評価されるわけではないが、氏は当該イベントを経験して改めて「法曹・法科大学院生が外へ出ていくことの必要性」を感じ、その発信をしていこうとする姿勢を実践しようとしていた。このような氏の姿勢は、ともすれば内向的になりがちな近年の法科大学院においては、大変貴重なものであり、その姿勢と、同時にその価値観を周囲に発信しようとする姿勢は、共に奨励賞で評価されるに値すべきものと考えられる。

 國府田 豊 氏 受賞理由

國府田氏は、つなぐ企画の代表として、事務所や企業等の訪問や講演会の企画運営に携わったことが、評価の対象となった。これら活動は、総体として見れば必ずしも顕著な新規性は認められないが、内向きになりがちな学生が多い中で、学外に積極的に交流を求め、広く在学生に交流機会を広めた功績は賞賛に値すると考える。また、それぞれの企画においては、自己の志望にとらわれるのではなく、参加者である法務研究科の在学生が“何を求めているか”を懸命に考え、実践に移していたことがみとめられる。この結実として、留学生など従来こういった活動への参加がほとんどなかった層からの参加者も増加しており、このような実績を鑑みれば、氏の活動の公益性・社会的意義は高く評価されるべきものである。
また、國府田氏も「Law & Practice」の副編集長や、ロースクールキャラバンへの関与など、様々な活動に参加に参加をしていた者であるが、氏のこのような活動も、内に閉じるのではなく、学外に向けて、広く発信・交流を求める活動の一環としてその社会的意義は評価に値する。
もとより、既存の活動であってもその活動そのものに、価値があるのであれば、その維持発展に寄与したことは他の実績と合わせて評価の対象とすべきものである。その意味で、氏は多岐にわたる既存の価値ある活動の維持発展に、自己の時間を多く費やしたことがみとめられ、そのことと上記「つなぐ企画」での実績を踏まえれば、氏は奨励賞の評価に値するものと考えられる。

 高橋 歩 氏 受賞理由

高橋氏の活動で、最も特筆すべき内容は、「刑事模擬裁判」イベントの企画・運営である。同イベントは、氏の高校時代からの問題意識をもとに実現に至ったものであるとのことであるが、斯様な問題意識を一貫して持ち続けたまま、法科大学院に入学し、法科大学院で解決に向けた具体的な行動を見つけ実践した氏の自主性は高い評価に値する。
また、取組みの中身をみても、「刑事裁判」という司法作用における最も重要な役割の一端について、模擬裁判という形で周囲の理解を促進するという取組みに高い公益性が認められるのみならず、慶應義塾大学の法科大学院も巻き込むなど、従来本学のこういった取組みに乏しかったインターカレッジの要素も含まれており、新規性・独自性の面においても群を抜いた取組みであったと思う。
なにより、氏が刑事裁判において、被疑者・被告人と面と向かって向き合うことに強い関心を抱いていることは、将来の法曹としての高い素養を期待させ、そのような問題意識を、「若草プロジェクト」などの学外の活動への参加にも活かしていることも、一貫した問題意識に基づいた活動として評価した。
余談ではあるが、選考委員一同の意見として、氏が同イベントの企画に至った理由として「刑事裁判の“楽しさ”」を周囲や後進に伝えたいと話していたことを高く評価する声が多かった。こういった新規性の高い取組みを実現させるには、相応の負担がつきものである。その負担を、「”楽しい”と思うことを周囲に広げたい」というエネルギーで押しのけていく、その姿勢はまさしく「挑戦する法曹」の一つの極致と感じる。
今後のさらなる活躍を期待してやまない。

 

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/folaw/gwls/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる