Waseda Law School早稲田大学 大学院法務研究科

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早稲田ロースクール稲門会奨励賞 2013年度受賞者が決定

早稲田ロースクール稲門会奨励賞 2013年度受賞者

長谷川 翼 氏

2013年度 選考理由

2013年度総評

本年のロースクール稲門会奨励賞にも、例年と同じく多様な応募者があった。受賞者である長谷川翼氏以外の応募者に対しても、司法試験受験対策に傾倒しつつある風潮の中で、課外活動に積極的に取り組み、社会貢献に尽力したという点では、選考委員一同敬意を表する。 まず全体として、早稲田ロースクールの提供する実務系科目や学内承認サークルを積極的に活用した点をアピールした応募者が多かった。このことは、理論と実務の架橋という法科大学院の目的が果たされていることや、受験勉強のみに囚われない多彩な活動が実践されていることの現れであり、大変好ましいことである。しかし、早稲田ロースクールの標榜する「挑戦する法曹」を体現する積極的な姿勢を持つ学生を顕彰するという本賞の趣旨からすれば、早稲田ロースクールが設立されてから10年が経過しようという現時点においては、既存の枠組みを手がかりとしつつも、自分自身の問題意識や創意工夫に基づき、その枠組みから少しでも飛び出すことが求められている。在学生においては、一歩飛び出す原動力となる問題意識や創意工夫をさらに高めることが期待される。 また、本年度の新しい傾向として、優れた論文執筆活動を行った応募者が複数存在した。司法試験に向けた勉強に加えて、自分なりの問題意識に基づき、多大な労力を伴う論文執筆活動に挑戦することは評価に値する。ただし、本賞は論文内容の優劣を審査するものではないため、論文執筆活動が社会貢献の1つの方法としての意義を有する場合に評価の対象となりうる。今後も、本賞の趣旨に則り、論文執筆活動が、自己研鑽にとどまることなく、公益的な目的の下で社会へ働きかける方法として活かされ、たとえば執筆した論文に基づいて講演会を行ったり、NGO等の政策提言活動に協力する等社会の中での活動と結び付くことを期待する。

受賞者 長谷川 翼 氏 選考理由:

小中学生を対象とした学習支援のボランティア活動に継続的かつ主体的に取り組み、貧困が端緒となって生じ得る法的問題の発生を防ぐべく尽力したことが主な選考理由である。長谷川氏は、「貧困の連鎖を断ち切る」ことを目標として弁護士を中心に結成された豊島区池袋のボランティア団体「クローバー」において、解決困難な問題に悩みながらも果敢に立ち向かい、貧困世帯を中心とした小中学生に対する学習支援を行った。 長谷川氏は、ロースクール生として日々の授業や司法試験対策に取り組むとともに、学外の団体に所属し、ボランティア活動を継続的かつ主体的に行っており、それ自体が評価に値する。特に長谷川氏は、早稲田大学大学院法務研究科の特色の一つでもある充実したエクスターンシッププログラムの中から、自らも目標とする「依頼者にとって敷居の低い法曹像」を掲げ体現する弁護士が所属する受入先を選択し、積極的にエクスターンシップを履修するにとどまらず、貧困により法的問題を抱えてしまう多数の依頼者との出会いを契機として、どうすれば貧困の連鎖を断つことができるかという問題意識を育み、エクスターンシップ終了後もクローバーのボランティア活動に挑戦した。さらに、長谷川氏は、1年半という長期間にわたり主体的にクローバーの活動を継続した。その中で、長谷川氏は、貧困世帯の子どもの現状を踏まえ、問題が発生した後に法的支援をすることに加えて、困難な状態に陥る前に支援することはできないかと問題意識を深化させ、自らの経験や問題意識を講演会等で社会に発信するとともに、法曹となった暁には、クローバーの活動にとどまらず、弁護士や他の専門家と連携して、生活保護受給者に対する差別にも取り組むことのできるセーフティーネットを作るという構想を持つに至った。このように、長谷川氏は、自己研鑽にとどまることなく、社会との関わりの中で自らの専門性を発揮し、社会に変化の兆しをもたらしたといえ、理論と実務の架け橋を目指すロースクールで学ぶ者として模範となるべきものである。 多くの学生がエクスターンシッププログラムにおける経験を当該期間内の活動のみにとどめてしまう傾向にある中、既存の制度を端緒としながらも、さらに発展的な活動に挑戦し、貧困と法的問題との連関や法曹の果たすべき役割について模索する姿勢は、既存の法曹像にとらわれることなく、新しい形での法曹の活躍の可能性について示唆を与えるものであり、その主体性・新規性、ロースクール内外への社会的影響力において特筆すべきものがあり、表彰に値する。

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