Waseda Law School早稲田大学 大学院法務研究科

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早稲田ロースクール稲門会奨励賞 2010年度受賞者が決定

早稲田ロースクール稲門会奨励賞 2010年度受賞者

渡辺 玲子 氏
安井 智起 氏
狭間 巨勝 氏
小川 隆太郎 氏

2010年度 選考理由

渡辺 玲子 氏 選考理由

ロースクール生として、児童に対する学修指導や心理相談の活動を継続的に行ったことが選考理由である。 渡辺氏は、児童福祉法人青少年福祉センターが経営する児童養護施設で学修指導や心理相談の活動をロースクール在籍中の2年3か月にわたって行った。また、無料で学ぶことができるサイト作りを目的としたボランティア団体の設立やその法務業務に携わった。大学院における日々の学修のみならず、社会の問題に正面から向き合い、それを自らの手で解決すべく学外において様々な活動を継続的かつ積極的に行うことは、法と正義を実現するという法曹のあるべき一つの理想像として、学生の模範となるべきものである。 渡辺氏が、ロースクール生として、学外において様々な活動にチャレンジしたことは表彰に値する。なお、渡辺氏の表彰については、選考委員の水橋孝徳(2期未修、弁護士)の補足意見がある。

【水橋 孝徳 補足意見】 私は、渡辺氏の活動の中でも、特に児童養護施設「あけの星学園」における活動を高く評価した。 法律家は、その職種を問わず、人の人生を生の手で扱う職業である。わずかな失敗で人生を台無しにしてしまうことも少なくない。常に慎重に、しかも限られた時間で最大の成果を出さなければいけない。法律家として感謝されることがいかに難しいか、全ての実務家が痛感しているところである。 渡辺氏は、「あけの星学園」における活動で、出会った学生達と心を通じ合い、彼女達に深い感銘を与えている。渡辺氏がこの活動を通して作り上げたものは、多くの法律家が目指して、それでも容易には辿り着けない場所にあるものだと思う。 法律家はプロフェッショナルである。法律を知らない法律家には価値がない。しかし、法律しか知らない法律家もまた価値がない。渡辺氏がプロフェッショナルとして今後どれだけの人の人生に足跡を残していくのか、少しだけ先に同じ道を歩む者の一人として心から期待している。

安井 智起 氏 選考理由

ロースクール生として、学内において多岐にわたる活動に携わったことが選考理由である。 安井氏は、学生団体「Welcome-LS」の代表を務めた他、エクスターンシップ参加、パソコンテイク等の障害者支援活動、研究論文の執筆、留学生との交流等々、数多くの課外活動をそれぞれ積極的に行った。 大学院における日々の学修のみならず、学内において様々な活動を行うことは、時間的・精神的な負担を強いられるものではあるが、自身の充実した大学院生活をもたらすものである。そして、そうした活動を積極的に行うことは大学院全体を活性化し、他の学生が様々な活動を積極的に行う模範となるものである。特に「Welcome-LS」は、在学生有志が新入生に対してロースクールにおける学修や生活を指南するもので、継続性もありその意義が大きい。 安井氏が、ロースクール生として、学内において様々な活動に積極的にチャレンジしたことは表彰に値する。なお、安井氏の表彰については、選考委員の丸林絵梨(4期未修、新第64期司法修習生)の補足意見がある。

【丸林 絵梨 補足意見】 法曹には、人の苦しみや悲しみを理解し、これに寄り添える豊かな人間性、そしてその痛みを取り除き社会をより良くしていく実力が求められる。そのため、様々な活動を通じて多くの人の人生に触れ、自らの人間性を磨いていくことは、優れた法曹になるための第一歩であると考える。 安井氏は、多種多様な活動を献身的に行っており、それは法曹に求められる活動そのものである。また、安井氏は、活動の幅広さだけでなく、自分なりに問題点を見出し、深める努力を惜しんでいない。 限られた時間の中で、幅広くかつより深く活動していくことの難しさは、ロースクール生であれば皆、熟知していることである。そのような中、司法試験には直結しない活動にも積極的に取り組み、法曹としての素養を磨いた安井氏の実績は、後輩に優れた法曹への道を照らすものと考える。

狭間 巨勝 氏 選考理由

当学の交換留学制度によりアメリカのロースクールに留学したことに止まらず、国際機関で自主的なインターシップを行ったことが選考理由である。 狭間氏は、ペンシルバニア大学ロースクール(LL.Mコース)に留学し、卒業後ニューヨーク州司法試験に合格した。さらに、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(International Criminal Tribunal for the Former Yugoslavia)や国際刑事裁判所(International Criminal Court)において1年にわたり研修を行った。日本国内での法律の学習にとどまらず、海外のロースクールや国際機関において自主的かつ積極的に勉強や研修を行うことは、法律問題をより広い視野で、より高い視点から分析判断することを可能にする。そして何より、自らの勉学に相応しい場所を自らの手で開拓する姿勢は、他の学生に新たな可能性を示すものであり、ロースクール生の目指すべきロールモデルの一つとなりうる。 狭間氏が、ロースクール生として、開拓者として積極的にチャレンジしたことは表彰に値する。なお、狭間氏の表彰については、選考委員の横井傑(3期未修、弁護士)の補足意見がある。

【横井 傑 補足意見】 ロースクール生、ひいては法曹の多様性が重要だと叫ばれて久しい。しかしながら、全国のロースクールを見渡しても年々状況は厳しくなり、多様性を育みにくい雰囲気になっている。そのように縷々考えて選考に臨んだところ、私は狭間氏の姿勢に感銘を受けた。 狭間氏は、ペンシルバニア大学ロースクールに留学し、ニューヨーク州司法試験に合格後、当学を休学して旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)の弁護団研修生に応募した。在学中に留学することも重要であるが、留学中に感じた自らの問題意識のもと、さらに国際刑事裁判所(ICC)にまで飛び込んでいく挑戦・開拓の精神は素晴らしい。日本の現役ロースクール生で国際刑事裁判所(ICC)の研修生になったのは、これまで狭間氏ただ一人である。 多様性は、その人のそれまでの経歴・背景によっても生まれるが、何よりも好奇心に基づいた挑戦・開拓によって育まれていくものである。問題点を感じて、考えて、実践した狭間氏の挑戦・開拓の精神は、資格を得るという目標だけに目を奪われがちなロースクールにとって、まさに模範とすべき姿勢である。 私は、後輩に対して先駆者としての背中を見せたという点で、狭間氏を高く評価した。

小川 隆太郎 氏 選考理由

ロースクール生として、国際人権分野を中心とした活動に積極的に携わったことが選考理由である。 小川氏は法律雑誌「Law & Practice」の編集作業、学生団体「Waseda International Team Human rights」による講演会開催、特定非営利活動法人「ヒューマンライツ・ナウ」でのインターンシップやシンポジウム開催などの活動を行った。 大学院での学習を行う中で、具体的な問題意識を涵養し、それを机上の学問として修めるだけでなく自主的な論文記事作成や講演会の開催などの活動に結びつけることは、法曹として自らの問題意識を世の中に問いかけるために極めて有効な手段たり得る。そして、そうした活動は、他の学生がロースクールにおいて学びを深める際にも、模範とすべき姿勢である。 小川氏が、ロースクール生として、問題意識を持って様々な活動にチャレンジしたことは表彰に値する。なお、小川氏の表彰については、選考委員の松本常広(4期未修、新第64期司法修習生)の補足意見がある。

【松本 常広 補足意見】 ロースクール生とはどうあるべきか。選考委員の心を打ったのは、小川隆太郎氏のこの問いに対する真摯な苦悩であった。 選考理由記載の通り、小川氏の活動は多様なフィールドに及ぶ。結果だけを見るならば、それは華やかなロースクール生活である。しかし、一つ一つの活動に、彼の熟考に基づく問題意識を見て取ることができる。結果を生み出す過程で、彼は多くの葛藤や挫折を経験している。それにもかかわらず、また次の行動を起こしている。彼が考える、あるべきロースクール生像を体現するためであろう。 苦悩は、苦痛である。流れに身を委ね、一つの考え方に従う方が楽だ。だが、苦悩は他者への想像力を育み得る。そして、他者への想像力は、法曹にとって欠くことのできない大切な素養であろう。 若々しい悩みに真摯に向き合い、それに基づいて行動し、社会貢献を続けてきた彼の姿勢は、一つのあるべきロースクール生像だと評価できる。

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