この研究の目的は、「イメージとは何か」、「イメージはどのように機能するか」という問いに対し、多様で豊かな答えを与えていくことである。
いわゆる美術作品とは必ずしも一致しないイメージを扱う研究には、二〇世紀後半のある時期以降、視覚文化論、表象文化論、イメージ人類学等、多くの名称が与えられてきた。ここでの研究も、当然そうした流れを意識したものになるだろうし、マス・メディアや電子メディアにおけるイメージの様態、芸術的な意図とは離れたヴァナキュラーなイメージの使用法といった問題は、大きく扱われることになるだろう。ただし、かつての美術史においては扱いにくかった対象領域を扱うということ自体よりも、対象領域の拡大によって生み出された問題意識や研究方法を前提として、絵画作品や(いわゆる)芸術写真、映画などをも含む多くのイメージを見つめなおし、イメージという現象をめぐる原理的な問いを問いなおすことにポイントを置きたいと考える。
「イメージとは何か」という問いに対する範例的な答えとして、それを何らかの不在に結びつけて定義する発想の系譜があるとすれば、我々は今日、あるいはもしかするとずっと以前から、そのような定義をはみ出す形でイメージと向き合っているのではないか。歴史上のさまざまな場面で、人がイメージとどのように関わりあい、イメージをどのように用いてきたか、その多様な様態を探ってみたい。
メンバー紹介
部門代表者
橋本 一径
研究所員
- 石岡 良治
- 岡室 美奈子
- 児嶋 由枝
- 小林 信之
- 坂上 桂子
- 坂庭 淳史
- 鈴木 雅雄
- 関 直子
- チェン ドミニク
- 成澤 勝嗣
- 長谷 正人
- 肥田 路美
- 藤井 慎太郎
- 藤本 一勇
- 益田 朋幸
- 溝口 彰子
- 八木 君人
- 山本 聡美
招聘研究員
- 岡添 瑠子
- 木原 圭翔
- 久後 香純
- 椋橋 彩香
- 馬場 靖人
- 安田 和弘
- 吉田 隼人
研究報告
2019年度の活動
- 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2019.4.20)
「マンガの体験、メディアの体験」第3回の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2019.5.31)
「マンガの体験、メディアの経験」第4回の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催 連続ワークショップ(2019.7.13)
「アニメーションのイメージとはなにか」イントロダクション
「2020年代におけるアニメーション論の出発地点」の報告書(公開準備中) - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2019.11.9)
「マンガの体験、メディアの体験」第5回の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2019.12.14)
「マンガの体験、メディアの体験」第6回の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2019.12.21)
「アニメーションのイメージとはなにか」第1回の報告書(公開準備中) - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2020.1.12)
「アニメーションのイメージとはなにか」第2回
「2020年代のアニメーションへ向けて」の報告書(公開準備中) - 研究部門「イメージ文化史」主催講演会
「詩的なイメージは存在するか?」の報告書
2018年度の活動
- 研究部門「イメージ文化史」主催講演会(2018.09.22)
「芸術と政治社会のダイナミズム」の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2018.10.19)
「マンガの体験、メディアの体験」第1回の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催ワークショップ(2018.12.1)
「マンガの体験、メディアの体験」第2回の報告書
2017年度の活動
- 研究部門「イメージ文化史」主催講演会(2017.09.27)
「フェミニズムの時代:カルラ・ロンツィを読む」の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催講演会(2017.10.24)
「ロドルフ・テプフェールからウィンザー・マッケイへ――ストーリーマンガの誕生」の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催国際シンポジウム(2017.12.05)
「写真とフェティシズム」の報告書 - 研究部門「イメージ文化史」主催シンポジウム
「もしシュルレアリスムが美術だとしたら」(2017.12.16)
→Waseda Rilas Journal No.6 特集3
RILAS研究部門「イメージ文化史」主催シンポジウム開催報告
2015年度の活動
- 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2015年5月22日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第4回「フキダシと時間」 - 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2015年7月25日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第6回「ストーリーマンガにおける「ナレーション」」1
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第6回「ストーリーマンガにおける「ナレーション」」2 - 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2015年10月23日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第7回「漫画を「見る」という現象」
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第7回・参考資料
2014年度の活動
- 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2014年10月28日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第1回「意味と無意味-マンガを「読む」ことは何を「見る」ことか」 - 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2014年11月25日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第2回「マンガと見なす」ことについて― 少女マンガ様式をめぐる考察 - 「イメージ文化史」主催ワークショップ(2015年3月6日開催)
「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第3回「速度と重力、名前と音声-大正末から昭和戦前・戦中期の子供向け物語漫画におけるキャラと空間-」
2013年度の活動
- 「イメージ文化史」主催 公開講座(2013年5月28日開催)
ナムジュン・パイクと電子の亡霊(ゴースト) 阿部修也さんとパイク・アベ・シンセサイザーの夕べ - 「イメージ文化史」主催 連続ワークショップ(2013年6月28日開催)
マンガ的視覚体験をめぐって―フレーム、フィギュール、シュルレアリスム」第1回「マンガ的時間、シュルレアリスム的時間
ワークショップ開催報告 - 「イメージ文化史」主催 連続ワークショップ(2013年10月24日開催)
マンガ的視覚体験をめぐって―フレーム、フィギュール、シュルレアリスム―」第2回「マンガ的空間、シュルレアリスム的空間」ワークショップ開催報告 - 「イメージ文化史」主催 連続ワークショップ(2013年12月6日開催)
「マンガ的視覚体験をめぐって――フレーム、フィギュール、シュルレアリスム―」第3回「マンガをめぐる言説、シュルレアリスムをめぐる言説」ワークショップ開催報告
2012年度の活動
- 「イメージ文化史」後援 高等研究所セミナーシリーズ【研究エリア<比較文明史>】(2012年12月14日開催)
第2回シンポジウム 西洋中世写本の世界―西欧とビザンティン - 「イメージ文化史」後援 エル・グレコ没後400年記念 公開シンポジウム(2013年1月21日開催)
エル・グレコ再考 1541-2014年:研究の現状と諸問題