Research Institute for Letters, Arts and Sciences早稲田大学 総合人文科学研究センター

その他

グローバル化社会における多元文化学の構築

グローバル化(グローバリゼイション)の波は、政治、経済、文化は言うに及ばず、社会のあらゆる局面に押し寄せている。世界の国々の牆壁が相対的に低くなって、交流や融合が容易になり、相互理解が進むことは、人類の進歩に大いに寄与することであり、歓迎すべきことである。そうした潮流は、実のところは、今日に始まったものではなく、有史以来絶えることなく有り続けてきたことであるものの、21世紀に入ってからの交通と通信の飛躍的な進展によって、これまでに人類が経験したことのない速度と規模において全世界的に起こっている事実は否定できない。それが、今日、人びとがこぞってグローバル化を口にする所以である。

この世を挙げてのグローバル化という趨勢の中で、それぞれの地域で育まれてきた特色ある伝統文化やいわゆる固有の文化が、大幅な変容や消滅の危機にあることも憂慮すべき事態として指摘されている。文化の面におけるグローバル化が単一の価値観による画一化、平準化だけをもたらすものであるとすれば、多種多様であることによって豊饒な世界を築いてきた人類社会を極めて味気ないものにしてしまう恐れがないでもない。文化は単一であっては死滅しかなく、多元であることによって発展の可能性があることは、あらゆる文明の消長が物語っている。

私たちは、これまで世界各地で育まれてきた文化がどのようなものであり、また時代とともにどのように変異しきて今にあるのか、固有の文化とされるものは果たして独自に育まれたものなのか、そのような問題意識を持って、グローバル社会のなかでの多元文化の有り様とその価値を理解するために、多元文化論系の教員が集まって、この研究部門を立ち上げることとした。

幸いにして、多元文化論系は、世界各地域の古今にわたる多種多様な文化を研究する優秀なスタッフに恵まれており、従来は文学、言語、歴史、哲学、宗教、芸術などに区分けされることが多かったコンテンツについて、それらを人類の「文化」活動としての所産として捉え、世界各地に残る伝統文化はいうまでもなく、全世界で享受されているグローバルな今日的文化についても、またいわゆるハイカルチャーからポップカルチャーまで、文化事象のありとあらゆる局面について、その変質や交渉、融合の過程を研究することで、私たちの置かれている現在の文化状況を明らかにし、将来に向けた多元文化社会の価値がどこにあるのかを研究することとした。「東西古今の文化の潮」のあり方を研究する部門を文学学術院に立ち上げることは、早稲田大学にとってもふさわしいものであると自負する。

多元論系には、すでに教員と学生で組織された「多元文化学会」が発足しており、毎年の成果報告は主としてその学会誌『多元文化』に掲載してゆくとともに、シンポジウムや講演会を定期的に開催によってより広く学生や社会にも還元していくこととする。また一定の成果がもたらされた時点で、資金の調達が出来れば、各国からゲストスピーカーを招いて、国際シンポジウムを開催することも予定している。その年次ごとの具体的な計画案は、この研究部門の設置が認められるのを待って早急に策定することとする。

メンバー紹介

部門代表者

吉原 浩人

研究所員

  • 伊川 健二
  • 井上 文則
  • 大稔 哲也
  • 小田島 恒志
  • 垣内 景子
  • 河野 貴美子
  • 佐藤 尚平
  • 高井 詩穂
  • 高屋 亜希
  • チャン エドワード ケイ
  • 中澤 達哉
  • ピタルク パウ
  • ホサイン タニア
  • 森 由利亜
  • 柳澤 明
  • 由尾 瞳
  • ライアン スティーブン
  • リーブズ クリストファー
  • 渡辺 愛子
  • 渡邉 義浩
  • 長谷川 隆一
  • 櫻本 香織
  • 三浦 領哉
  • 山吉 頌平

招聘研究員

  • 梅宮 悠
  • 柿谷 浩一
  • 川 浩二
  • 金 孝珍
  • 小二田 章
  • 崔 鵬偉
  • 佐藤 晃
  • 菅野 素子
  • 杉田 貴瑞
  • 高木 小苗
  • 高津 秀之
  • 滝澤 みか
  • 張 勝蘭
  • 寺嶋 雅彦
  • 似鳥 雄一
  • 日尾野 裕一
  • 藤本 庸裕
  • 松本 隆志
  • 柳下 惠美
  • 山崎 薫

研究報告

2020年度の活動

2018年度の活動

  • グローバル化社会における多元文化学の構築部門主催
    2018年度年次フォーラム「国際シンポジウム 東アジア文化交流―呉越・高麗と平安文化―」(18.12.8.~9.)の
    開催報告

2017年度の活動

2015年度の活動

2014年度の活動

2013年度の活動

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