enpaku 早稲田大学演劇博物館

企画・特別展

六世中村歌右衛門展―花と夢をわすれぬこと

2014-utaemon
『京鹿子娘道成寺』(昭和26年4月歌舞伎座)
会期:2014年3月25日(火)- 4月25日(金)
会場:六世中村歌右衛門記念特別展示室
入館無料

演劇博物館では、年度末の恒例として「六世中村歌右衛門展」を、2005年以来、開催してまいりました。10回目を迎える今回をひとまずのシリーズ最終回として、今回はこれまでの展示を振り返りつつ、改めて名品揃いの展観といたします。また、このたび新たに中村梅玉丈からご寄贈いただいたアルバムを初めとする新収品の展示もございます。
申すまでもなく、六世中村歌右衛門(1917~2001)は、戦後歌舞伎の頂点に君臨する名優でありました。女形ひとすじの人生を貫き、日本の芸の道を守り通し、かつ新しい道を拓きつつ、その芸の力は国内外の幅広い芸術分野に大きな刺激を与えてきました。
これまでも展観してまいりましたように、数多い当たり役、年々歳々その時々での上演、歌右衛門代々のなかでの六世の位置、父五世から継承した役々、新作と復活狂言、歌舞伎座を頂点とする劇界のなかでの立場、多くの観客に愛されてきた歳月、じつに多彩で多様な観点から六世歌右衛門は見ることができます。これまでの各回を、多くのみなさまが楽しみに、待ちかねてご来館下さったのも、歌右衛門と共にあった時代へ寄せる思いの重さと、受け止めてまいりました。そうした、時間を積み重ねて後の世に伝えてゆく現場の空気を伝える展示品の数々から、新たに歌舞伎の世界、日本の芸の道に出会うことができれば、この上の喜びはありません。
2001年3月31日、万朶の桜に雪の舞った日に歌右衛門をおくって以来13年、昨年度の歌舞伎座新開場を大きな節目として、歌舞伎界はさらに新たな世代を迎えようとしています。大いなる歌右衛門の時代をふりかえることが、未来の歌舞伎の糧ともなるよう、これからも機会を設けてまいります。

六世中村歌右衛門(1917-2001)は、二十世紀後半を代表する歌舞伎俳優として、国内外の芸術界に広範な影響を与えました。父五世歌右衛門が、坪内逍遙の「桐一葉」などを得意とした因みにより、演劇博物館とも深いご縁がありました。1998年の演博七十周年に際して六世中村歌右衛門記念特別展示室を開設、2005年からは記念室での「六世中村歌右衛門展」を、卒業・入学のシーズンの恒例としてきました。連続十回目となる今回は、ひとまずの中仕切りとして、十回の集大成として名品揃いで名女方の足跡をしのびます。

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