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オーストラリア国立大学 (ANU) オンラインサマースクール (SSPA) 受講レポート

2021年2月、オーストラリア国立大学 School of Politics & International Relations の主催による大学院生向けのオンラインサマースクール (ANU Online Summer School in Political Analysis) が開講しました。このプログラム に本学の政治学研究科、経済学研究科から9名の大学院生(政治学研究科に進学予定の学部生1名を含む)が参加し、統計ソフトRの開発に携わった講師自らが指導するテキスト分析のコースのほか、ベイズ統計学、サーベイデザインなどのコースを受講しました。

受講コース:

Foundations of Statistical Analysis in Political Science(2/1~2/8): 1名
Bayesian Statistics for Politics(2/15~2/18): 4名
Political Survey Design and Analysis(2/15~2/18): 2名
Introduction to Political Text Analysis(2/15~2/18): 2名

 

Introduction to Political Text Analysis/ Prof. Kenneth Benoit

浅野 塁 (ASANO, Rui)
政治学研究科博士後期課程4年
研究分野:国際政治学

4日間にわたり、テキスト分析の方法を学ぶコースを受講しました。コースを担当したKenneth Benoit先生も開発に携わる、統計ソフトウェアRのパッケージQuantedaを用いた実習がコースの大半を占めました。内容は、分析に用いるテキストをデータ化する作業(Pre-processing)から、単語の頻度に関する分析(Frequency analysis)、また各単語がもつ感情を用いた分析(Sentiment analysis)まで、テキスト分析における基本的内容を網羅していました。

これまでテキスト分析について見聞きしたことはあったものの、実際にテキストデータを用いて分析したことがなかったため、今回のコースで(特に最終試験で)実際に分析したことでテキストデータの扱い方を習得することができました。「テキスト分析の手法に答えはない」という先生の言葉もあったように、開発途上のテキスト分析の最前線を感じながら学べたことはとても貴重な経験でした。

Benoit先生が開発に携わっていることもあり、Quantedaに関する質問は即時に回答してもらえるため、その場で疑問を解決できるという点で大変わかりやすかったです。また、学生が使用する予定のテキストデータ(たとえば、金正恩総書記のスピーチ)を題材に実習を進めるなど、学生からのアプローチにはとても協力的でした。

他方で、4日間の短期集中コースということもあり、テキスト分析の理論的背景についてはほとんど解説がありませんでした。すでにテキスト分析について多少でも触れたことがある学生には物足りない内容かもしれません。また、Rをほとんど使用したことがない受講者もおり、かなり基本的な質問に時間を取られていた印象もあります。これらの点から、RやQuantedaについてほとんど知らないが、まずはテキスト分析をやってみたい!という目的の学生に最適なコースであると思います。今年が初のサマースクールとのお話だったので、今後どのような方針でコースを進めていくのかチェックする必要はあると思います。

 

Bayesian Statistics for Politics/ Dr. Shawn Treier

鈴木 淳平 (SUZUKI, Junpei)
政治学研究科博士後期課程3年
研究分野:比較政治学

このコースでは、ベイズ統計の基礎を学んだ。条件付き確率やベイズの定理などの確率論の基礎から始まり、一変数・多変数のモデルに進んだ。また、回帰診断や予測など分析後のトピックもカバーしていた。後半には因子分析、階層モデリング、ロジット・プロビットなどのより高度なトピックを扱った。コース終了後、修了証の獲得のために(主にコンピューターを用いる)4つの課題を提出する必要があった。

このコースは入門レベルではあるが、確率分布や仮説検定、線形代数、線形非線形回帰、最尤推定、因子分析など、既存の頻度主義統計学の広範な知識があることが前提となっているようである。なんとか食らいつくことができたが、将来受講する方には、統計学の知識をあらかたおさらいしておくように勧めたい。また、(Greenberg 2008など)ベイズ統計の教科書に目を通しておいたり、(Stataではなく)Rの勉強も済んでいるとなお良い。

コースは概ね満足のいくものであった。ベイズ統計の基礎を学ぶだけでなく、統計学全体に対する理解を今一度洗い直す良い機会となった。これまで頻度主義統計学しか学んでこなかったので、新しいアプローチであるベイズ統計を学べたのは意義深い。しかし、いくつか問題点もある。第一に、4日間のコースだけでは完全にベイズ統計学を理解できたとは言い難い。理論の解説はかなり高速で進み、担当講師も細部にまでは立ち入る時間がなかったようである。第二に、オンラインで行われたので仕方がない面もあるが、他の受講生とあまり交流できなかった。もし教場で行われていれば、より交流が進んだであろう。

 

Bayesian Statistics for Politics/ Dr. Shawn Treier

成 珂 (CHENG, Ke)
経済学研究科2年
研究分野:実証経済学

受講内容:ベイズ統計学の基礎的な考え方からStanやBugsを用いて実際のモデルの実装まで一通り教わりました。

他の参加者との交流:四日連続の知識の詰め込みなので質問以外ほとんどほかの履修者との交流はなかったです。

ANUサマースクールで得た成果:前からベイズ統計学の重要性を耳にしていたのですが、日本では私の知っている範囲ではなかなかそれに本格的に触れる機会がなかったので今回の機会を大事にしております。実際サマースクールに参加して、とても授業のペースが速くて理解できない部分がまだたくさんありますが、Frequentistと全然違う統計に対する理解が叩き込まれたので、視界が広くなりました。なお、ベイズ統計学の性質上、因子分析等相性のよい使う場面についても教わったので、今後は分析目的によっていろんな方法の使い分けができると思います。

後進へのアドバイス:アドバイスほどではないかもしれませんが、機械学習や生物統計等に興味のある人はこの授業を履修することをお勧めします。しかし四日という極めて短い時間内にこれまで触れたことのない知識をマスターすることは至難の業なので一定の覚悟が必要です。基本的に理解できない前提でこの授業に臨んでください。確率論や基本的な統計知識を事前に固めると理解度がかなり向上すると思います。また、授業が終わっても関連の本を読むなり練習問題を解くなり時間をゆっくりかけてからこの授業のうまみが初めて出るのではないかと思います。

 

 

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