教育理念・方針

人間科学部eスクールの3つの方針

ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与に関する方針)

早稲田大学の総合性・独創性を生かし、体系的な教育課程と、全学的な教育環境と学生生活環境のもとに、多様な学問・文化・言語・価値観の交流を育み、地球社会に主体的に貢献できる人材を育成する。人間科学部は、創設当初から、現代社会がかかえる諸問題の解決、あるいは持続可能な社会の構築に向けて、総合性および学際性を重視する教育研究を目指してきた。人間がより良く生きること(Well-being)を追求するために必要な人間に関わる諸問題に対し、総合的・学際的にアプローチでき、それらを研究・教育・開発・実践のかかわりの中で深く取り組むことができる人材の育成を目標としている。

取り組むべき問題の対象は、「環境」「健康・福祉」「情報」の学科ごとに異なるが、問題への取り組み方や問題の捉え方には共通する部分があり、学科横断的な取り組み方も必要となってくる。このような諸問題を解決する能力を獲得し、実社会で実践できることが、卒業認定・学位授与の条件であり、その能力の獲得によって、卒業後の活躍の場は、国の内外や業種を問わず多様な領域で拓けて行くことになろう。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)

人間科学部eスクールの教育課程の編成・実施(カリキュラム)の基本は演習科目を軸に、少人数での学びの場を提供していることである。講義科目においてもクラス定員を約30名程度とし、1クラスに対し1人の教育コーチを配置していることも特長である。教育コーチは教員と一体となり授業期間中、学生との双方向性を保つべく電子掲示板システム(BBS)や電子メールでの質疑応答の受付窓口となる役割を担う他、学習支援(指導・助言)といったメンターの役割も受け持つ。また、各学科の講義科目として設置された数多くの専門科目は、文理融合の考えから社会科学、人文科学、自然科学などの文系、理系の枠を越え受講することができ、各人の興味や進路にしたがって多角的な視点で自由に履修計画を立てられる。

人間科学部eスクールでは様々なバックグラウンドを持つ多種多様な受講生を想定し、その為に4年間でほとんどの学生が卒業する通学制とは異なる履修ステップを考える必要があり、通学制の年次に代わる概念として「レベル」を設けることにした。レベルは2年次編入に相当するαコースではA、B、Cの3つ、βコースでは1、2、3、4の4つに分かれ、上位のレベルに進むためには下位のレベルで指定された科目区分の指定単位数を取得する必要がある。

αコースのレベルB、βコースのレベル3からは全員が卒業研究に直結する少人数制の「専門ゼミ」を履修することになるが、この「専門ゼミ」に先立って、質的・量的データの理解と処理の基礎を学ぶ「データリテラシー」を必修科目として設置した。

「専門ゼミ」では最終レベルでの「卒業研究ゼミ」「卒業研究指導」と合わせ、指導教員の下で2年間にわたり、専門領域別の研究のための調査と、自ら計画して行動する特別の学修としての研究の推進を目指す。

アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)

早稲田大学では、『学問の独立』の教育理念のもとで、一定の高い基礎学力を持ち、かつ知的好奇心が旺盛で、本学の理念である進取の精神に富む、勉学意欲の高い学生を、わが国をはじめ世界から多数迎え入れている。

とくに人間科学部eスクールでは、「環境」「健康・福祉」「情報」に関わる高い問題意識を有する社会人に、問題解決のための学術的、技術的手段の学習の場をインターネットを通じて提供している。高い学習意欲と計画性を確認する為に、3,000字の志望動機書と1,000字の学習計画書をもって一次選考した上、二次選考として個別に面接を行い、合否を決めている。

人間科学部への入学者は、多様な学問分野を横断しつつ世界を探求する複眼的な方法によって自然・人間・社会を包括的に理解し、問題の核心へと接近する手がかりを発見し、これまでの歴史とこれからの未来への展望の中で問題解決の手段を提案・実行できるようになることが求められる。人間科学という学問には、新しい分野にチャレンジしようとする精神が欠かせない。人間を尊重する心と人間への興味・関心、また、あらゆる知識を吸収しようという純粋で素直な気持ちとそれを客観視する批判的精神を併せ持ち、自らの主体性をもって現代の人間が直面する問題を解決しようという逞しさをもつ学生の入学を期待する。



人材養成その他の教育研究上の目的

人間環境科学科

20世紀後半以降の経済成長は、科学技術の発達に支えられ、資源・エネルギーを未曾有の規模で消費する先進諸国に豊かさをもたらした。その反面、半世紀の間に75億人を超えるまでに急増した世界人口は、人間活動による環境問題を地域から地球規模へと拡大するとともに、地域・民族・国家間の格差や対立を増幅させた。

このような問題の解決には、人間の日常生活の場面から、地域社会・国家・地域規模といった様々なスケールで生じている環境の問題を的確に把握し、正しい対処の方策を構想することが必要である。それを実現するためには、なによりも、従来の環境科学の枠を超えて、人間と自然環境、社会・文化的な環境との相互関係を広く理解し、その知見を環境政策にフィードバックできる人材が不可欠である。

このような観点から教育研究を行うのが人間環境科学科であり、座学に留まらず、実験や社会調査やフィールドワークを通しての人間活動の環境影響評価、地域環境・建築環境・社会的環境における人間行動と発達の理解、持続的で内発的な地域創生や共生社会構築のあり方、格差社会や人の移動に伴う地域社会における文化的アイデンティティの維持や変化などを教育研究のテーマとしている。以上を通じて、人間環境に関する総合的な知識と課題解決能力をもつグローバルな人材を育成することを目指している。

健康福祉科学科

少子高齢化が急速に進行し、超高齢社会となったわが国社会において、生涯を通じて心身ともに健康で豊かな生活を実現するための課題を明らかにし、解決方法を提案していくことは極めて重要である。この学科では、さまざまな角度から人間の健康福祉を考え、身体的、心理的、社会的に、健やかで、安心して、豊かに暮らしていくための、科学技術、支援の方法、社会システムなどを、総合的、多角的に学び、研究する。医学や健康科学、健康福祉に関する理工学、臨床心理学、社会的な支援を必要とする人たちのための相談援助、医療・福祉のシステムや産業など、幅広い知識の習得が可能である。また、実験や制作、ニーズや効果を測定するための調査、カウンセリングや相談援助の実技など、実践的な教育と、理論の構築能力や科学的合理的な説明能力を高めるための教育の両方が用意されている。それぞれの目標や興味にしたがって特定の分野を選び、そこを中心として、関連する分野も学ぶというように、幅広く重層的な学びを実現することができる。それによって、専門性を持ちながらも、応用範囲の広い知識、能力を身につけることができ、企業、行政などで活躍する途が拓けるとともに、専門職や研究者としても、広い視野を持って活躍することが可能となる。

人間情報科学科

人間情報科学は、コンピュータ科学に限定されることなく、人が人やモノと関わる際に生まれる接面(インタフェース)を行き来するものを情報として捉え、それが生まれるプロセスの分析からそれを作り出すシステムのデザインまでを、人とその成長を中心に置きながら科学的に追究する学問分野である。人間情報科学科では、コミュニケーション、教育、心理、認知等の基本的な活動や、ヒューマン・インタフェース、AI(人工知能)、VR(仮想現実)/ AR(拡張現実)やIoT(モノのインターネット)等の先端技術において、人間が利用する情報─人間情報─に焦点をあて、情報科学、認知科学、コミュニケーション学、人間工学、教育工学の視座から学融合的に学び、研究する。現代社会における情報技術の高度化は、生活の利便性を高めただけでなく、人間の認知や学習、行動やコミュニケーションのスタイルにも著しい変化をもたらしつつある。人間と情報の真の共生を可能にする高度な問題解決能力を備え、国際社会に貢献する人材を育成することが、本学科の目的である。