Aizu Museum早稲田大学 會津八一記念博物館

About Aizu Museum

會津八一記念博物館について

From the Director

館長挨拶

 

図書館が、書物と出会い、読むことを通して先人たちと対話する場であるように、博物館は、モノと出会い、じっくり見ることを通して作り手や守り伝えた人たちと時空を超えて対話をする場です。この世界や人間精神への理解と共感、知恵の探究の入口が、そこにあります。早稲田大学會津(あいづ)八一(やいち)記念博物館(通称、會津博物館)は、そうしたモノを現在約2万点収蔵し、毎年4、5回開催する企画展示や、常設展示(コレクション展示)を通して、学内外に広く公開しています。

ここで出会えるモノは多種多様な造形作品や学術資料です。そしてこれらのすべては、早稲田大学の長い歴史の中で本学に関わった多くの人たち――教職員や校友、本学に心を寄せて下さる方々の尽力や篤志によって集積されてきたものです。

当博物館の収蔵品の柱の一つである東洋の古美術は、当館に名前を冠する會津八一(1881~1956)の蒐集品を核としています。中国の秦漢時代の建築や墓室を飾った瓦当・画像塼54点、後漢~唐時代の墓に副葬された武人・侍女・馬などの陶俑や、竈や井戸を模した明器395点、多様な図案や銘文を背面にあしらった銅鏡208点、金石資料の拓本532点などが挙げられます。高名な書家であり歌人であるとともに早稲田大学で東洋美術史を講ずる美術史家であった會津は、学生たちの教材とするために乏しい給料を割き、自身の書作品を売り、揮毫の料を充て、時には恩師である坪内逍遥らの援助も得てこれらを集めたといいます。大正から昭和のはじめ頃のことでした。

會津八一はまた、同時に大学博物館の設立を熱く訴えました。昭和2年(1927)に大隈記念大講堂が竣工すると、その記念講演会で学問の討究や教育における実物資料の重要性を力説し、早稲田大学に総合博物館が必要だと主張したのです。この會津の志がようやく実現したのはそれから70年の後。今井兼次設計の旧図書館(2号館)がリニューアルされて、1998年5月に当館が開館しました。

會津八一コレクションを中核とする東洋美術関係の収蔵品は、會津の門弟である加藤諄や安藤更生らのコレクション、會津と親交が深かった仏像写真家の草分け小川晴暘による雲岡石窟の拓本、清朝末期から民国時代にかけて外交官として中国に駐在した池部政次の蒐集になる明清書画や歴史資料、銅鏡や小金銅仏など多彩な内容の服部和彦コレクションなど、多くの方々からの寄贈によって厚みを加えています。

なかでも、東京大田区山王にあった旧富岡美術館の900余点の美術作品を一括ご寄贈いただいたのは、破格のことでした。この富岡重憲コレクションは、東洋陶磁の精華である明清時代の陶磁器と、白隠慧鶴ら日本近世の禅僧たちの書画を二つの柱とし、そのほかにも重要文化財の埴輪、奈良時代以来の古筆を集めた手鑑、茶道具や漆工芸品などいずれも優品揃いです。また、コレクションの中には本学の初代図書館長であった市島謙吉(春城)蒐集の印章約700顆が含まれており、それが旧図書館であるこの場所に再び還ってきたことに、学問・芸術が結んでくれた縁を感じます。これら一連の富岡コレクションは、当館1階の富岡重憲コレクション展示室において、年に5回テーマを立てて順次公開しています。

当館の収蔵品のもう一つの主要ジャンルに、考古・民族資料があります。古代エジプトや縄文貝塚遺跡、益子天王塚古墳、大学校地などからの出土遺物は、昭和初期以来早稲田の考古学がおこなってきた発掘成果であり、加えて縄文土器の編年で知られる山内清男のコレクション、東アジア・東南アジアの青銅製遺物を蒐集した穴澤咊光コレクションなどの寄贈資料も含まれます。また、アイヌ民族の衣装や道具を蒐集した土佐林コレクションは、国内有数の質・量を誇るアイヌ資料として看過できません。そのほか、探検家・登山家であった理工学部名誉教授関根吉郎によるアフリカや中米の民族資料コレクション、東南アジアやイスラームの出土陶器を主とする小野義一郎コレクションなど、多彩な内容を有します。

さらに三つ目の主要ジャンルが、日本の近世・近現代絵画です。なかでも、小林克弘氏蒐集の荻泉堂コレクションは、上方や長崎、中京などで活躍した江戸時代の文人の書画作品で、伝世の稀な作家も含まれます。長崎版画や古地図、輸出用陶磁器資料などからなる富田万里子コレクションは、歴史資料としても貴重であり、石を描いた絵画や石に対する感興を吐露した書作品80数点を集めた日比義也コレクションは、愛石趣味を通して中国と日本の文人文化の深層がうかがえるきわめてユニークなコレクションです。

近現代絵画については、当館の開設を機に学内各箇所から移管された作品群が、まず挙げられます。昭和2年の図書館建設当初から正面ホールの大階段上に据えられた横山大観・下村観山合作の《明暗》と、昭和4年に図書館が受贈し現在2階グランド ギャラリーの中央にある前田青邨の《羅馬使節》は、博物館となった今も本館の顔と称すべき雄作です。また、黒田清輝による《大隈重信》、岡田三郎助の《大隈綾子》などの肖像画、本学創立70周年に際して美術史の教授だった坂崎坦が、また、100周年に政経学部教授の坂崎乙郎が画家たちに寄贈を呼びかけて形成された近現代絵画のコレクションなどがあります。さらにこの坂崎父子の事績に倣って、125周年の折には、当館の第3代館長・大橋一章と第4代館長・藪野健が精力的に働きかけ、第一線で活躍する現代作家の方々からいずれも大作をお寄せいただきました。

これらに加えて、大正から戦後まで少女文化を牽引した雑誌『少女の友』関係資料、特に表紙や挿絵を描いた中原淳一の原画を中心とする内山基コレクションや、南画の山口八九子、戦争画の花岡萬舟や北蓮蔵、本学に学んだ難波田龍起・難波田史男といった個性豊かな作家の作品や関係資料が、それぞれのご関係者からまとまって寄贈されたことは、画業の再評価や社会史・文化史的研究に大きく寄与するものです。

開館から20年、會津博物館は展示室を大幅にリニューアルして新しい令和の年を迎えました。2号館1階には、富岡重憲コレクション展示室に加え、新たに上述の東洋美術や會津の書画作品を展示する會津八一コレクション展示室と、大社コレクションなど近現代作家の絵画・彫刻作品を展示する近代美術展示室が開室しました。2階のグランド ギャラリーでは、大空間を活用して常設展示や企画展示を幅広くおこなっていきます。また、考古・民族部門は今秋から新しく大隈記念タワー(26号館)10階に専用の展示室を開き、コレクション展示を展開します。

博物館は、貴重な作品や学術資料を収蔵保管し、展示公開して広く活用に供することが使命ですが、単にギャラリーのように作品を美しく飾っておくだけの場所ではないことは、言うまでもありません。個々の作品やコレクションを調査・研究し、その歴史的位置づけや意義を掬い取り、展示のコンセプトのなかで新たな価値を付加していくこと。そうした積み重ねを通して、早稲田大学における学芸の道を磨くこと。それが會津八一をはじめとする先人たちの志であり、ご寄贈くださった方々の思いに応える方途であると考えます。

館員一同精進いたしますので、いっそうのご理解ご支援をお願い申し上げますとともに、皆さまのご来館を心よりお待ちしております。

歴代館長はこちらをご覧ください。

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