SPECIAL INTERVIEW 羽生結弦さん

YUZURU
HANYU

羽生結弦さん

原動力は、学びを無駄にしないという思い

フィギュアスケートで2度のオリンピックを制し、数々の快挙を成し遂げ、世界のトップを走り続ける羽生結弦選手が、2020年9月に早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)を卒業した。

写真提供:能登直/㈱集英社 スポルティーバ編集部

「目まぐるしく進化する情報という分野から、フィギュアスケートだけでなく、人間というものを見つめてみたい。そんな思いから、人間情報科学科を専攻しました」

そもそもコンピュータ・プログラムに触れるのが大好きだったという羽生選手。
フィギュアスケートの演技要素を入力すると、獲得できる最高得点が自動で計算されるプログラムを、自ら構築したという。

「フィギュアスケートの世界で歩み続けてきましたが、数値やデータで表された自分を見てみたいという思いがありました。数値は感覚の裏付けなので、競技にも役立っています。採点方法が更新されるたびに、プログラムをアップデートしながら、現在も活用しているんですよ」

羽生選手は卒業研究では「フィギュアスケートにおけるモーションキャプチャ技術(人や物の動きを取り込んで3Dデータに反映させる技術)の活用と将来展望」について追究した。
3Dモーションキャプチャを自身の体に装着してジャンプし、その動作をデジタルデータ化するという手法は、羽生選手ならではのアプローチだ。

「競技だけでなく、研究という領域でも突破口を開きたかったんです。新たな研究の可能性があることを証明するために、自分にしかできないテーマを選びました。将来的には、選手の技術向上やAIによる自動採点など、フィギュアスケート界の発展に役立てたいです」

多忙な選手生活の中で輝かしい功績を残しつつ、学業の時間を捻出することは容易なことではない。
在学中、羽生選手は、勉強するときは勉強だけに集中したいということから、オフの日にまとめて授業をオンデマンド受講し、遠征の移動中の飛行機でレポートを書き、到着した空港で提出するという日々を繰り返してきたという。

「eスクールでの学修は、自分で時間のやりくりや、気持ちの切り替えを学ぶ機会になりました。学びの場を作るのは自分次第だなって。学びきる気持ちがあれば、自分の価値観や知識に影響を与えてくれる場になります。せっかくの学びを無駄なものにだけはしたくない。その思いは強かったです」

羽生選手は大学生活を「大変でしたけど、多くのことを学べました」と振り返る。

「研究を重ねた日々は、あらゆることを多面的に見ながら、分析・検証する力を与えてくれました。この引き出しはフィギュアスケートだけでなく、この先人生を歩んでいく上でも、必ず役に立つと思います」

PROFILE

1994年宮城県生まれ。2020年9月早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)卒業。全日本空輸株式会社所属。2014年ソチオリンピック金メダル。2018年平昌オリンピック金メダル。同年国民栄誉賞を受賞。2020年2月四大陸フィギュアスケート選手権の優勝で男子史上初の「スーパースラム」を達成。同年7月、国際スケート連盟が新設した「ISUスケーティング・アワード」で初代最優秀選手賞に輝いた。

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