HOME > 早大生ライフをのぞいてみよう > キャンパスライフ紹介 > ヨミモノ編 > 日本の伝統文化に飛び込んだ『アジア』からの留学生

日本の伝統文化に飛び込んだ『アジア』からの留学生

コン・ランさん(政治経済学部)2010年度取材

政治経済学部・国際政治経済学科で勉強するかたわら、茶道、華道、相撲など、日本独特の世界に飛び込んだ留学生、コン・ランさん。
大学内での1日と、日本文化を学ぶ休日、そして相撲部の「ちゃんこ鍋の日」を追いかけながら、ランさんのキャンパスライフ・イン・ワセダを紹介します。

image_1-2

Kong Lam

1988年、香港で生まれる。小学校から高校まではシンガポールで過ごし、2009年早稲田大学政治経済学部に入学。入学前から茶道と華道を習い、現在は早稲田大学相撲部のマネージャーも務めている。

私は、アジア人です

 コン・ランさんは香港で生まれ、小学校2年から高校卒業まではシンガポールで過ごしました。高校卒業後に来日し、ご両親の友人のお宅にホームステイしながら、2年間日本語学校に通って日本語を習得。その後早稲田大学へ入学し、現在は政治経済学部国際政治経済学科の2年生です。ご両親は今、上海にお住まいです。

 そんな経歴から、北京語・広東語・英語・日本語が話せるというランさん。いったいどこの国の人なんですか、と聞かれることはありませんか?
「私の国籍はシンガポールです。でも、何人ですかって聞かれたときは『私はアジア人です』と答えます。アジア人というのが一番、あっていると思います」

 在籍している国際政治経済学科は、国際的な視野から政治経済を学び、グローバルな人材を育てることを目指している、『アジア人』のランさんにぴったりと言えそうな学科。留学生や帰国生も多く、学科の中では日本語と英語の混じったおしゃべりが飛び交っています。

 キャンパス内で一緒にお昼を食べていたお友達に、ランさんってどんな人? と聞くと、「自分の主張を持っている、とてもしっかりした人」という答えが返ってきました。
「自分の意見をちゃんと持っていて、日本の学生が遠慮して言わないことを、私たちの代わりに言ってくれます。いい意味で本当に正直(笑)」
日本の学生なら言わないこととは?
「先生の話に、自分はそうは思わないってちゃんと反論するとか」
「それに授業中に先生のファッションを批評したり(笑)」
ランさんは「そう、私はすぐ先生のアピアランスのことを言ってしまう。カッコいいとか、今日はどうしてジーンズなのとか(笑)。でも、留学生どうしではよく、日本では授業中寝ている学生がいるって話で盛り上がるんです。あれは不思議、他の国にはないです。授業がアクティブでないからかな」

 3年になったら国際労働のゼミにはいり、将来は金融か広告の仕事がしたいと、しっかりしたビジョンを持って勉強しているランさん。その存在は、授業をアクティブに盛り上げるのにも一役買っていそうです。

image_2-1
大隈講堂の前の階段でランチ中

image_3-1
左:新倉 恒和さん「ランは明るくて、芯のある人。尊敬しています」
右:山光 瑛美さん「彼女はいつも自分の意見をちゃんと持っている。でもジョークはちょっと、日本人にはわかりにくいこともあります(笑)」

数か月の滞在のつもりが・・・

 ランさんが日本に来たのは「シンガポールの高校は12月に卒業で、香港の大学は9月入学。その間に日本に行って、少し日本語を勉強しようと思って」。つまり数カ月の短期語学留学のつもりだったのです。

 それがどうして香港の大学進学をやめ、早稲田大学に入学することになったのでしょう。
「日本に来てみて、ここにずっと住みたくなったから。そのために、日本の大学で勉強して、日本で就職したいと思いました。早稲田大学はシンガポールでも有名だったので名前は知っていましたけど、受けようと決めたのは日本に来てからでした」

 軽い気持ちでやってきた日本に、すっかりはまってしまったランさん。日本の何に魅力を感じたのでしょうか。
「ペースが早くて、みんながんばっているところ。朝のラッシュとか見ても活気があって(笑)、私もここでがんばりたいと思いました」

 そしてもうひとつ、伝統文化との出会いがありました。
「テレビで茶道を見て、美しいと思って、たまたまホストファミリーの親戚の方がお茶とお花の先生だったので習うことにしました。そこで礼儀作法を教わることができて、とても勉強になりました。日本語の学校に行っていても、話す相手は留学生なので、敬語を使う機会がないんです。お茶の先生には、何か言われたときは『うん』じゃなくて『はい』と答えるとか(笑)、そんなことから全部教えてもらいました」

 ランさんの土曜日は、お茶のおけいこ、お花のおけいこ、ホストファミリーの家でのだんらん、それから勉強と、どこか古風な日本人のよう。
「香港もシンガポールも元イギリス領なので、西洋文化の国です。それに比べて、日本には特有の文化があります。でも、同級生にお茶の話をしても、知らないとか言われてしまう。日本の学生にもやってほしいと思うんですけど。お茶もお花も、師範(の資格)を取るまで続けて、将来は日本文化を伝える活動をしたいと思っています」

image_4-2
昨年の12月、東京プリンスホテルで行われた「いけばなインターナショナル」でお点前を披露しました。
「普段のおけいこは洋服ですが、お茶会のときは和服も着ます。着付けはまだひとりではできないので、勉強中です」

もうひとつの「和」の文化・相撲部

 ランさんの大学生活で、もうひとつの柱になっているのが、相撲部マネージャーとしての活動です。

 相撲に興味を持ったのは、ホストファミリーの影響なのだとか。
「ホストファミリーのおじさんは、高校時代に相撲部にはいっていたそうです。それで日本に来てすぐ、大相撲の相撲部屋に連れていってもらいました。初めて相撲を見て、おもしろいと思って」
見ただけで終わらずに相撲部の門をたたいてしまうところ、なかなかの行動派ですね。

 毎週日曜日は相撲部でマネージャーの仕事。月に1回は、OBも一緒になってちゃんこ鍋を囲む会が開かれます。そのちゃんこ鍋の日に訪ねてみると・・・部員がけいこをしている間に、マネージャーさんたちは野菜を刻み、スープを取り、ごはんを炊いて、肉を用意していました。とにかく量が多いので大変! 鍋を火にかけたあとは、材料を入れ味付けをするのは部員ですが、その間にも野菜炒めやソーセージ炒めを作り、洗い物をし、ごはんをよそってと、かいがいしく立ち働くランさんです。
「合宿では1週間、毎日料理をします。ちゃんこも作れるようになったし、他の料理も覚えました。料理だけでなくて、マネージャーをしているといろんなことが勉強できます。」

 相撲部でどんなことが勉強できたと思いますか?
「礼儀作法とか、話し方とか。特に先輩後輩の関係やチームのことです。ただ、1年生に『先輩』って呼ばれるのは今でも落ち着かない気分です(笑)。今まで誰にでも『ラン』って呼ばれていたから。でも、私は日本の企業に就職したいと思っているので、日本のチームのことがわかったことは、とても役に立つと思います」

 日本の独特な文化を楽しげに、しなやかに吸収してしまうランさん。日本で働き、日本文化を伝える活動もしたいという夢に、着実に近づいているようです。

image_5-2
早稲田大学の相撲部は大正6年設立という伝統ある部。
※相撲部の紹介動画はこちら

image_6-1
この日は今年度最後の公式戦を控えた激励会でした。

message1
相撲部主将 植田 力康さん
相撲をやりたいっていう男子留学生なら前にもいたんですけど、マネージャーとしてはいってくる留学生は異例でした。でも、一緒に相撲部を盛り上げてくれる人なら、国籍のワクはないですから。マネージャーの仕事をいつもひたむきにやってくれて、助かっています。

message2
相撲部マネージャー 西田 香菜子さん
水が必要だとか、ケガをしたときの氷がないなというとき、一番に走っていってくれるのがランさん。よく気がつくし、部員に対する思いやりもあって、すごくいいマネージャーです!