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工学的アプローチとシミュレーションで、企業が抱える問題を改善! 実践力が強みの吉本研究室

ゼミ紹介

工学的アプローチとシミュレーションで、企業が抱える問題を改善! 実践力が強みの吉本研究室

公開日:2014/09/12

経営システム工学分野のうち、「物流の効率化」「施設計画の効率化」「サービスの効率化」という3テーマを研究しています。たとえば、「物流の効率化」では、小売店に適切なタイミングかつ最小限のコストで、必要十分なモノを届けるための技法を開発。「施設計画」なら、工場のどこに何をどう配置すれば生産性が上がるのか施設の設計を検討します。実際の企業との共同研究が多く、また国内外の企業でのインターンシップが豊富なことも特徴です。

研究室DATA

吉本 一穗 教授(創造理工学部 経営システム工学科)
所在地:西早稲田キャンパス51号館

http://www.yoshi.mgmt.waseda.ac.jp/

机上の論ではなく、実際に使える研究結果を提示する学問

 「経営学科」といったら一般的に文系ですが、「経営システム工学科」は理系の学科です。文系の「経営」や「経済」とは何が違うんですか? 吉本先生は、オープン・キャンパスなどで高校生からそんな質問をよく受けるそうです。その答えは、「経営システム工学科なら、経営上の課題に対して数学をベースにした工学的な分析とシミュレーションから、具体的で最適な改善案を提案できますよ」。・・・と聞いてもピンと来ないかもしれませんね。では、実際の研究例で見てみましょう。

 たとえば、吉本研究室が航空会社と共同で行った「空港の待ち行列解消」の研究。空港の手荷物検査の行列を短くするにはどうしたらよいか。さまざまなデータを取ってシミュレーションを行い、効率のよい検査方法を検討したり現状の作業分担の問題を洗い出したり。その結果、検査員の数を減らしたにもかかわらず待ち時間をこれまでより短くすることが実現できたそうです。

 「工学なので、机上の論ではなく実際に使えることが大切です。問題の改善につながる具体的なアウトプットを出すというのが、この学科・この分野の大きな特色です」(吉本先生)。単にデータ上の結論ではなく、研究の成果が実際の企業で活用されるというのはワクワクしますね。

 吉本研究室の4年生が、今まさに取り組んでいる卒業論文のテーマも、企業や社会が抱える現実的な課題に向き合ったものばかりです。例を挙げると、重田優樹さんの研究テーマは「ホーム上の混雑防止を目的とした最適昇降設備のレイアウト」。駅のホームのどこに階段やエスカレーターを配置すれば、ホームの混雑が防止可能なのか。さまざまなシミュレーションから、最適なレイアウトを見つけようとしています。

 白松妹佳さんは「共同配送に関する研究」。コスト重視とドライバー不足という現状があるトラック業界で、共同配送が問題解決に役立つのではないか? では、どんなルートや方法なら共同配送が有効なのか、共同配送にも課題があるのではないかなど、企業の人へのヒアリングなども実施して、研究を深めていこうとしているところです。

 ほかにも、「ネットショッピングも考慮した最適な在庫配置計画」や「ソーシャルゲームで課金ユーザーの顧客満足度を高めるための方法」など、タイトルを見るだけでも私たちの暮らしに関わる事柄が研究テーマとして挙がっていることがわかります。

7月第2週のゼミ風景。この日は、卒論の研究テーマについて4年生が1人ずつ、進行状況や現時点での問題点などを発表しました。順調に研究を進めている人もいれば、研究手法などで悩み中の人もいるようです・・・。

発表が終わるごとに、鋭い質問や適切なアドバイスを投げかける吉本先生。悩んでいる学生には、「この内容なら、来週院生が企業に行くから、一緒に話を聞いてきたらどうだろう?」と助け舟を出してくれることも。

企業との強い結びつきで、実務がどんどん学べる!

 さて、ここからは吉本研究室ならではの特徴に迫ってみましょう。

 まず、吉本研にはユニークな「親子制度」が存在します。「子」である4年生に対して、修士1年生が「親」つまり指導役として付くのだとか。2014年度の4年生は10人、対して修士1年は5人のため、1人の「親」がそれぞれ2人の「子」を受け持っています。

 「『子』にとっては、私と直接やり取りするよりワンクッションあるのでなんでも相談しやすい。発表用のレジュメを見てもらったり、読むべき参考文献の探し方を聞いたり。うまく指導できていないときには、『親』を叱ることもありますよ」(吉本先生)
 指導する「親」の院生にとっても「教えることは学ぶこと」で、この制度は実は一石二鳥。「親子」の信頼関係は、卒業後も長く続くそうです。

 また、学部生と院生だけでなく、学生と先生の距離が近いのも吉本研の魅力のひとつ。「研究室に行くと、いつも何かしら先生と話しますね。それ以外にも先生が育てているジャガイモで料理を作ってパーティを開くなど、研究室全体が本当にアットホームで楽しいんです」(4年:佐藤さん)。

 そして、吉本研の最大の特徴と言えるのが、企業や国との強い結びつきです。最初に紹介した航空会社との共同研究のように、食品、電気、衣料品メーカーなどとのプロジェクトが常に稼働しています。「企業との研究に学生が参画することで、授業で学んだ基本知識を実務として展開できます。学生にとっては、すごく勉強になりますよ」(吉本先生)。

 さらに、国内外の企業でのインターンシップも盛んです。インターンシップは、吉本先生が指導する学科公認の「レイアウト研究会」が主催のため、研究室に所属するほとんどの学生が参加しています。希望すれば、1年生からの参加もOK。行った先では、企業や工場の要望に応じて生産性の改善提案などを行います。たとえば、シカゴのベアリング会社では、1日の生産個数を大幅に増やすために従業員の稼働状況やムダな動きがないかなどを観察・分析して、提案を行ったそうです。「タイやアメリカなど、海外の企業に行った際には現地の学生たちとディスカッションをする機会もありますよ」(吉本先生)。

 経営システム工学の分野で、「物流」と「施設計画」「サービス」の効率化の研究に取り組む吉本研究室――理系が得意だけれど、文系にも興味があるという人は、検討してみる価値が大いにありそうです!

自分の担当する「子」の発表を見守る、修士1年の「親」。しっかり面倒を見ていないと、ゼミ中に吉本先生から「『親』は誰だ? 何してるんだ?」と突っ込まれてしまいます。

院生たちの賑やかな話し声が聞こえてくる研究室。「教員スペースを仕切らないで、院生たちに常に開放しているんですよ」(吉本先生)。この風通しのよさが、吉本研なのです。

先生からのメッセージ

 コンビニの弁当は、何時に何個並べれば最も売れるでしょう? 雨が降れば売れる個数が増減するでしょうし、近くで運動会があればまた変わるはずです。そうした「変動」を考えながら必要個数を予測したり、各店に無駄なく配送する方法を検討する。コンビニの弁当は一例ですが、これが我々の研究室で行っている研究です。数学をベースにシミュレーションをするので数学の知識は必須ですが、理論的な考え方ができれば大丈夫! 理系の知識と技術を活用して、将来マネジメントまでやってみたいという学生には向いていると思いますよ。

先輩からのメッセージ

 高校で進路を決める際、理系だけでなく経営系にも興味があって、オープン・キャンパスなどを回る中でこの学科の存在を知りました。また、昔から鉄道が好きで、鉄道に関わる研究が何かできそうだったというのも選んだ理由です。高校生のイメージでは、理系というと「化学」や「物理」のような科目で考えがちですが、それ以外の学問もいろいろあります。しっかり調べて、自分のいちばん行きたい道を見つけて欲しいですね。

4年・重田 優樹さん

先輩からのメッセージ

 吉本研究室を選んだのは、1年生でインターンシップに参加したことが大きいですね。1年のときはアメリカ・シカゴのベアリング会社に行きましたが、実際の企業で現場の生産性向上に取り組んで(といっても、最初は従業員の方に張り付いてデータを取るだけでしたが・・・)、知識を実践に生かせる学問の面白さを実感しました。また、吉本研の先輩たちがたくさん参加していて、先輩方の指導や雰囲気がよかったのも決め手のひとつになりました。

4年・佐藤 真理子さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

ザ・ゴール -企業の究極の目的とは何か』エリヤフ・ゴールドラット/著(ダイヤモンド社)

 主人公は機械メーカーの工場長で、彼が働く工場の業務改善プロセスをテーマにした小説です。経営が悪化した工場を3カ月で救うために、業務や会計情報のどこに注目して、何を改善していけばよいのか。小説なので読みやすく、楽しみながら経営工学の基礎を学べます。

図解 工場のしくみが面白いほどわかる本』石川和幸/著(中経出版)

 日本の工場でのモノの作り方から情報の流れまで、経営システムの全体像を優しく解説しています。大学に入学後、1年生にすぐ読ませている本なので、高校生でも十分に読めると思いますよ。