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教えるものは、知識ではない 「数学教育学」渡邊ゼミ

ゼミ紹介

教えるものは、知識ではない 「数学教育学」渡邊ゼミ

公開日:2009/04/01

このゼミのテーマは「数学教育学」。小学校から高等学校までの、数学教育をどう構築するかを学ぶ。ゼミでは算数・数学をどう教えるかというテクニックにとどまらず、「数学を教えるとはどういうことか」「どんな大人に育ってほしいか」「今の学校教育の問題はどこにあるか」といった、教育にかかわるさまざまな視点から数学教育にアプローチしている。

研究室DATA

渡邊 公夫 教授
渡邊ゼミナール(教育学研究科 数学教育専攻)
所在地:早稲田キャンパス14号館

数学と数学教育学は違う!

 この日のゼミは、修士1年の櫻井佑樹さんがプロジェクタに図形問題を映し、「まず小学生になったつもりで、この問題を解いてください」と言ってスタートしました。

 数学の教育を小学校から中・高へどのようにつないでいくかがデーマという櫻井さん。「小さい頃から教師に興味があって、中学時代は先生たちの教え方を観察して比較するような、生意気な生徒でした(笑)」。大学に入り、数学を学んだものの、自分の中に何かモヤモヤしたものがあったのだそうです。そんなとき「渡邊先生の『数学と数学教育学は違うもの』という言葉を聞いて、あっ、これだ!と、イナズマが走ったような気がしました」。

 そのイナズマの訳は? 「数学を教えるとは、単に知識を与えればいいことではない。計算ができるようにさせるだけなら簡単です。でも、教育とは子どもを自立した人間にするのが目標。どんな大人になってほしいかという視点を、常に持っていなくては」と渡邊先生は言います。数学の先にある「教育」に興味があった櫻井さんには、そんな先生のポリシーがイナズマのように響いたのでしょうか。

 ほとんどのゼミ生は数学の教師志望です。「学部のゼミでは純粋数学をやったけど、教育に関しては素人だった。教師になるにはこれでは足りないと思った」と言うのは高久吹雪さん。ここは「教える」ことの本質を知りたいという学生が集まるゼミなのです。

修士1年・櫻井 佑樹さん

修士1年・高久 吹雪さん

学問をしながら、学問でないものを学んでほしい

 渡邊先生は、ゼミの学生によく問いかけます。「満員電車に乗っていて、これは非人間的だと思わないか?」「電力を安定供給するためには、どうしたらいいと思う?」。そう聞かれると、一見数学とは関係のなさそうな身近な問題も、つきつめて考えていけば数学とかかわらずにはいられないことに気付きます。

 「ゼミではいつも、今まで考えたこともなかった視点が発見できる」と声をそろえる学生たち。「ずっと教科書の中だけで数学を勉強してきたけど、ここではそれが社会にどう活かされているかといった、今まで自分が立ち入ったことのない分野があった(斎藤孝弘さん)」「先生はよく、ニュースで話題になったことなど、身近な問題をわかりやすく解きほぐしてくれる。ゼミでも雑談でも(笑)いつも新たな視点、違う視点に気付かされます(中邨雅嗣さん)」。

 「大学生は、勉強という箱にはいってきた箱入りムスコなんだ。特に数学というのは(社会や人間とのつながりが)見えない学問だから、積極的に『考える』ことをしなくては。だからいつも、これを不思議と思わないか、疑問に思わないか、と聞いている」と渡邊先生。人を育てるのは人、ということにもこだわります。「学びの基本は、師にあこがれて、その生活スタイルを真似ることじゃないか? 私は、学問をしながら、実は学問ではなく、学び方・考え方を体得してほしいと思っている。これは本の情報だけでは伝えられないことだね」。
 人が人を教えるからこその『教育』。渡邊先生のゼミで育った学生たちは、やがて教師となり、またたくさんの生徒に「学問以上のもの」を伝えていくのでしょう。

修士1年・中邨 雅嗣さん

修士1年・斎藤 孝弘さん

ゼミは、毎週1人が自分のテーマについて研究発表し、それについて全員で検討していくスタイル。

先生からのメッセージ

 ジャンクフードという言葉があるが、ジャンクスタディというのもある。ジャンクでない本当の勉強とは何か、考えてほしい。ただし、悩めということではない。「悩む」と「考える」は違う。勉強しないで悩んでいる人がいたら、悩んでないでやるべきことをやれ、と言いたい。時と場合にもよるが悩むのは時間の無駄だよ。

先輩からのメッセージ

 大学には、自分の人生での4年間で何をしようかという夢を持って入ってきてほしいと思います。私の夢は先生になること。小学校・中学校のときに出会った先生の影響でした。自分も子どもたちにいい影響を与えられる先生になりたいと思っています!

修士1年・渡邉 友以さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

 数学の知識が 欲しいと思ったら、先生や先輩に聞いてみるといい。どの本がいいかは、人によるものだから、誰にでも推薦できる本はない。まず、先生や先輩にあたってみよう!