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アジア経済と日本とのよりよい関係と、可能性を考える トランゼミ

ゼミ紹介

アジア経済と日本とのよりよい関係と、可能性を考える トランゼミ

公開日:2015/01/23

発展途上国が豊かになるための戦略や政策を取り上げる「開発経済学」と、二国以上の国家間での経済関係を考える「国際経済学」。 2つの経済学の視点から、アジア経済の発展や日本とアジアの関係を研究しています。 教室内での研究に加え、 国内の他大学やベトナムのハノイ大学などと合同で討論を行う機会も設けていて、研究をより深めることが可能です。また、さまざまな活動を行う中で、プレゼン能力やコミュニケーション能力、さらに社会人として必要なマナーや社会常識などを身に着けることにも重きを置いています。

研究室DATA

トラン・ヴァン・トゥ 教授(社会科学部)
ゼミナールIII(アジア経済と日本)
所在地:早稲田キャンパス14号館

アジア経済の今を現地で感じられる、ベトナム合宿を毎年実施

トランゼミのテーマは「アジア経済と日本」。 アジア各国と日本との関係を、主に経済面から研究しています。アジアは日本にとって、地理的にも文化的にも馴染み深い国が多いですよね。 また、日本との経済的な関わりも非常に強いということは、みなさんなんとなくは理解しているのではないでしょうか。

「といっても、アジアの国がすべて同じではありません。発展段階は国ごとに異なり、国によってはすでに大きく成長していますが、まだ貧困に苦しんでいる国もあります。具体的には、日本とタイやマレーシアの関係と、日本とラオスやミャンマーとの関係は同じではないでしょう。 それぞれの国の状況を理解した上で、アジア各国の経済に対して日本がどのような役割を果たせるのか、またアジア経済の可能性などを考えていきます」(トラン・ヴァン・トゥ先生)

このゼミの担当教授であるトラン先生は、1968年に国費留学生としてベトナムから来日。 早稲田で教えるようになってから、すでに15年が経っています。授業は日本語で行われていますので、まずはご安心を!

さて、ゼミは2年生の前期からスタートします。最初は、開発経済学と国際経済学の基本を専門書で学びます。後期になると、英語で書かれた専門書にもトライ。いずれも、ただ読むだけではなく、内容を深く理解するために2~3人でひとつの章を担当し、重要なポイントをまとめた上で、ゼミで発表するそうです。

「3年生になるとベトナムでの討論会もあり、これは英語で行いますから、その意味でも英語の本で学ぶ機会はあったほうがいいと思っています」。専門書の原書を読むのは大変そうですが、トランゼミの学生たちはみんな頑張っているのだとか。もちろん、理解が難しい部分については、トラン先生がしっかり補足説明をしてくれます。

2年生と3年生の後期には、国内討論会も開催。東大や一橋大などの開発経済学のゼミと、専門書で学んだ内容やそれぞれテーマを決めて研究した内容を発表し合います。さらに、3年の後期には、前述の先生の言葉にもあるように毎年ベトナム合宿を実施していて、ハノイ大学やハノイ国際貿易大学との討論会や共同研究も行います。

「ベトナムでは、駐ベトナムの日本大使を訪問したり、 JICA(国際協力機構)やJETRO(日本貿易振興機構)などの日本機関を見学します。実際に現地に行って、自分の目で見ることで『世界の中の日本』という立場や、その中での日本の役割などをよく理解できるようになるんですよ」(トラン先生)

ベトナム合宿でハノイ大学生と研究報告会。

緊張の研究報告会終了後はベトナム人学生と交流。早大生もハノイ大生も達成感に満ちています。

同じくベトナム合宿では、在越日本大使館訪問も行いました。

卒論では自主性重視、興味のあるテーマを幅広く選択できる

4年生になると、卒業論文の作成にとりかかります。卒論では、これまで勉強したことを踏まえた上で、ゼミ生一人ひとりが興味のあることを研究していけばよいと、トラン先生。その理由は、「大学生が勉強をする上で重要なポイントのひとつは、自学自習。つまり、自らテーマを決めて主体的に勉強することにあると考えているからです」。

もちろん、 アジアにも経済にもまったく関係のないテーマではいけませんが、「アジア経済と日本」とは異なる方向であっても、何かの形でゼミのテーマに関わっていれば、ゼミ生の関心のほうを尊重するそうです。

ある日のゼミでは、ゼミ生3名による卒論の中間発表が行われていました。3人が選んだ卒論のテーマは、それぞれ「メガFTA(多国間の巨大な貿易自由協定)時代における日本の展望」「日本の消費税と経済の動向」「アジア地域統合時代における持続可能性」と、確かに三者三様です。

3つめの「アジア地域統合時代における持続可能性」は、急速に経済成長を遂げる一方で、大気汚染や水質汚染といった環境問題を抱えているアジア各国について、経済成長と環境保全を両立させるための方法、戦略を考察するという内容です。

このテーマを選んだ奥山直紀さんは、実際にベトナムに行ったときに空気の悪さが非常に気になったことが研究のきっかけになったそうです。「経済の話に留まらないので自分でも難しいテーマかなとは思いますが、自分の専門分野である経済と、ほかの学問からの視点を関連付けて新たな考察を得るというのは、社会科学部ならではの総合的なアプローチではないかと考えています。実はこのテーマ、とても気に入っているんです」と笑顔で話してくれました。

原書講読やゼミ内の研究発表をはじめ、国内そしてベトナムでの他大学との討論会や共同研究、合宿、そして卒論研究...。トランゼミは、他のゼミに比べても忙しいといわれているそうですが、ゼミ生がみんなイキイキと研究を行っている様子が印象的でした。

ところでゼミ生たちは、トラン先生をどう思っているのでしょうか。「先生は研究に対してはとても厳しい方です。でも、行き詰まったときには『この本を読んだらいい』と適切な本を紹介してくれるなど、心強い支えです」(3年・伊東さん)。また、「勉強だけでなく、人としてどうあるべきかも教えてくれます。基本的なところでは、敬語の使い方や挨拶の仕方、メールの書き方なども指導してくれますね」(4年・奥山さん)。

ちなみに、伊東さんはトラン先生の意外な一面を見たこともあるのだとか。「ベトナム合宿のときに先生がピアノを弾いていて、 すごく楽しそうでした(笑)」。 研究は大変でも、厳しく優しいトラン先生のもと、充実したゼミ生活、学生生活を送れそうです。

この日は、3・4年生の合同ゼミ。現段階での卒論の進み具合を中間発表中です。ひとり15~20分程度で発表、その後質疑応答に入ります。聞いているほうも全員真剣!

「消費税の税率アップが、所得の低い人に与える影響には触れないんですか?」。「日本の消費税増税」をテーマに発表する4年生に、教室前方に座る3年生からもどんどん質問が投げかけられます。質疑応答が活発なのも、トランゼミの特徴のひとつ。

発表資料にあったグラフをもっと効果的に活用してわかりやすく見せる方法を、トラン先生が黒板を使って具体的に説明。その上で、「だんだん先が見えてきましたね」とゼミ生に、励ましの声をかけていました。

先生からのメッセージ

大学の4年間を勉強して過ごすかそうではないかで、社会に出てから大きな差が出ると私は考えています。だから、私のゼミでは国内討論会やベトナムでのゼミ合宿などやることがいっぱいあって、とても忙しい(笑)。日本では、いい大学に入ってもその後は勉強しなくなってしまう学生もいますが、着実に勉強をして大学での4年間を有効に使うこと。高校生のみなさんも、「一生懸命勉強するんだ」という覚悟を持って大学に進学して欲しいですね。 今、みなさんに伝えたいことはそれに尽きます。頑張ってください。

先輩からのメッセージ

9月にベトナムで7泊9日の合宿があり、ハノイ大学の学生の前で班ごとに研究した内容を発表、意見交換をしました。やり取りはすべて英語。経済の専門用語も多く、その点ではとても大変でしたね。でも、ハノイ大の学生にとっても英語は外国語ですから、 お互いつたない英語で話すうちに仲良くなれて、すごく楽しい合宿でした。 このゼミに入ったことで、自分の興味の幅や世界が大きく広がりました。本当によかったです。

3年・伊東 香織さん

先輩からのメッセージ

1年生のときには海外未体験で、ベトナムで合宿があることが、このゼミを選んだ理由のひとつでした。あと、あまりいい学生生活を送れていない気がしていて、自分を変えられるようなゼミに入りたいと考えたことも理由です。ゼミに入ってからは、もっといろいろと知りたいと思うようになって、勉強への興味が湧いてきたし、何ごとに対しても意欲が高まりました。実際、成績も上がりました(笑)。今は、ゼミの幹事長も務めています。

4年・奥山 直紀さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

途上国ニッポンの歩み』大野 健一・著(有斐閣)

江戸時代から明治維新、戦前、そして現在まで、日本がどのように発展してきたのかを、わかりやすく解説しています。日本の発展の経緯を知ることは、今まさに発展し続けているアジアについて考える際に大いに参考になるでしょう。

現代語訳 学問のすすめ』福澤 諭吉・著/齋藤 孝・訳(ちくま新書)

学問の重要性を説いた本です。もともとは明治初期に書かれたものですが、この現代語訳なら高校生にも読みやすいでしょう。明治時代の日本人には教養が高く、人間として素晴らしい人が多い。書籍を通して、その考え方などにぜひ触れて欲しいですね。