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ベースは「世界」への好奇心! 国際政治理論を学ぶ・中村ゼミ

ゼミ紹介

ベースは「世界」への好奇心! 国際政治理論を学ぶ・中村ゼミ

公開日:2010/04/01

国際政治の理論研究は、第二次世界大戦後、アメリカの学界を舞台に発展してきた。一方イギリスでは、アメリカの学問的流行とは一線を画した、独特な理論研究が積み重ねられてきた。このゼミでは、まず第1段階としてアメリカの国際政治学界で展開されてきた論争について概観し、第2段階として、近年注目を浴びている「英国学派」の国際政治理論について学ぶ。第3段階としては、それまでの理論研究の成果を踏まえ、各自が自分のテーマについての事例研究をしていく。

研究室DATA

中村 英俊 准教授
中村英俊ゼミナール(政治経済学部 政治学科)
所在地:早稲田キャンパス8号館

2年かけ、自分のテーマを「研究」にする

 4年生のゼミにおじゃますると、ゼミ生がひとりずつ自分のテーマについて短いレクチャーをしてくれました。「イラク戦争についてのアメリカの考え方」「EUの教育政策」「北朝鮮の拉致問題について」「パレスチナ問題の和平的解決プロセス」などなど。

 専門的な、というよりは“誰でもニュースとして聞いたことはあるけれど深くは知らない”という問題が多いですね。「そうですね。自分が興味のあることをテーマにします。まず好奇心を持つことが、研究のはじまりです。でも新聞などで調べて発表するだけでは大学(の勉強)じゃない。ゼミではまず、その分野で学者が何をしてきたかを読むところから始めます」と中村先生。

 3年の前期は全員でテキスト(英語の専門書)を読み、夏の合宿でだいたいのテーマを決めます。3年後期にはそれぞれのテーマに関する先行研究(研究者の書いた論文。これも英語)を読んでいきます。4年になるとそれまでの勉強を踏まえて、自分の研究を進めていくのです。

 この日のゼミで、自分の研究についての中間発表をした日沖七瀬さんは「発表の前には1か月くらい、図書館に通いつめて準備しました。だいたい3カ月に1回くらい発表が回ってきますから、けっこう忙しいです」と言います。「でも、困った時は先生が何でも相談にのってくれるし、いつでもメールしていいと言われています。面倒見のいい先生です」。

 ゼミの幹事長、赤塚宏行さんも「中村ゼミにはいってよかったと思うのは、2年間しっかり卒論指導をしてくれること。他のゼミより卒論への取り組みが早く、じっくり勉強できるので充実感があります」。
 ゼミ終了後、教室を出ようとする先生を何人かの学生がすかさずつかまえて、質問をしたり、相談にのってもらう時間を予約したりしていました。なるほど、面倒見のいい先生という表現がぴったり。ゼミ生は先生の助けを借りながら、2年かけて「好奇心」を「研究」に高めていくのですね。

4年・日沖 七瀬さん

4年・赤塚 宏行さん

ゼミの3年生集合!(ページ上は4年生の集合写真)

世界をフィールドにしたい!

 中村先生が国際政治を専門にしたきっかけは、ちょうど高校生の頃にソ連のアフガニスタン侵攻があり、モスクワオリンピックのボイコットなど、身近なニュースにも世界情勢の大きな動きを感じたことだそうです。

 ゼミ生たちも、中学生のときに起きた9.11事件や、自身の海外体験などに刺激を受けて、国際政治を学ぼうと思ったと言います。『途上国の水の衛生問題』を研究テーマに選んだ梶原沙智さんは「大学2年のとき行ったインドで水にあたってひどい目にあった(笑)」のがきっかけとか。
 梶原さんは「海外で働きたくて」商社に就職を決め、赤塚さんは「メーカーですが、海外勤務ができるところ」へ。日沖さんは「放送局に内定してます。いつか国際政治のドキュメンタリーが撮りたいです!」と言います。

 ここ数年、若い人が海外に目を向けず、日本から出たがらないという傾向が問題になっていますが、このゼミに限ってはそんな心配は不要。「ゼミには同じ興味を持った人が集まってくるから、いろんなことを話せて、刺激しあえる。サークルとはまた違った仲間が作れるのが、ゼミのよさだと思う」と赤塚さん。ここでは、ゼミにはいってから留学を決める人も多いのだそうです。国際政治を学ぶことだけではなく、たくさんの仲間と刺激しあえる環境が、世界をフィールドにしたいという人材を育てているようです。

世界を目指す?ゼミ生たち。右端が梶原 沙智さん

ゼミ合宿でのひとコマ(2009年8月 軽井沢セミナーハウスにて)

先生からのメッセージ

 このゼミに入るための選考基準は、知識より「どうして国際政治を学びたいのか」がはっきりしていること。国際政治を学ぶときに必要なのは、世界のことを知りたいという好奇心です。今、世界のニュースを見聞きして、何を感じていますか。何を知りたいと思っていますか。ニュースの大きい小さいではなく、自分がどんな刺激を受けたかを大切にしてください。国際政治の研究者には、中学生・高校生の頃に起きた事件に衝撃を受けて、この道に入ったという人がかなりいます。

先輩からのメッセージ

 高校生の頃、世界史が好きでした。でもその頃の勉強は、歴史をなぞるだけのもの。大学で国際政治を勉強して、歴史をふまえながら「今の世界」を考えるようになり、世界史が立体的に理解できるようになった気がしています。歴史に興味がある人には、国際政治学はおすすめです!

4年・梶原 沙智さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

永遠平和のために』イマヌエル・カント著/池内 紀訳(綜合社・発行、集英社・発売、2007年)

 第二次世界大戦という大きな代償を払った後、ようやく、国際連合(UN)や欧州連合(EU)などの国際機構が創設されました。しかし、それらに繋がる理念・構想は古くからありました。この本は、あの哲学者カントが1795年に公刊した小冊子を平易に翻訳したものです。別の訳書もあります(岩波文庫や光文社古典新訳文庫)が、高校生の皆さんにお勧めするのは上記の本です。
 もちろん、カントの構想だけからUNやEUが創設されたわけでなく、「永遠平和」もまだ私たちの掌中にはありません。18-20世紀の歴史事象や国際政治の現状も念頭に置きながら、カントの古典的名著を過度に理想化することなく、幻想主義と切り捨てるのも避けながらジックリと読んでください。私もまだ繰り返し読んでいます。