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テレビ、インターネット、電子書籍――激動の時代のメディアを分析する有馬ゼミ

ゼミ紹介

テレビ、インターネット、電子書籍――激動の時代のメディアを分析する有馬ゼミ

公開日:2010/04/01

広くマスメディアといわれているもの、テレビ、インターネット、新聞、雑誌などを研究します。ほんの一例をあげると、本が紙に印刷されたものではなく、電子書籍としてモニター画面で読むようになったとき、人々の読書のしかたや、本の売れ方や、出版産業がどうかわるのかといったこと考えます。このようなことをメディア理論やコミュニケーション理論やデータ分析や歴史などによってできるだけ多角的に客観的に明らかにしようというのがこのゼミです。

研究室DATA

有馬 哲夫 教授
有馬ゼミナールII マスメディア研究(社会科学部 人文科学分野)
所在地:早稲田キャンパス14号館

http://www.f.waseda.jp/tarima/

原作が同じ各国ドラマの比較から見えてくるもの

 「冬のソナタの件、どう?」――集まってくるゼミ生のひとりに、先生が声をかけます。え? 韓国ドラマの? このゼミではいったいどんな研究をしているのでしょうか。
「アンケートを取ったら、この女性キャラクターに共感する人は多いのに、好感度は低いっていう結果になって」。「普通なら共感と好感度は比例するのにね、予想と違う事実が出てくるのはアンケート調査の醍醐味だね」・・・そして、その結果に対する先生の分析とアドバイスが行われ、ゼミ生さんが熱心に聞き入っています。

 「マスメディア研究の総合的実践」がテーマのこのゼミでは、ゼミ生のみんなの関心の高いテレビや広告を中心に研究がなされています。前期はグループに分かれ、日本、台湾、韓国で同じ原作から製作したドラマや、同じジャンルのドラマを比較研究しました。

「日本の昔の恋愛ドラマでは、女性が自己実現よりも恋愛や結婚を選択したけど、現在では逆。中国・韓国でも10年ぐらいのスパンで同様の変化が起こっています。逆に、女性の性格に関する価値観なんかは各国で特徴があるので、役柄の態度や表情などディテールはそれぞれ違ってくる。そんな研究をしてみました」(有馬先生)。日・韓・台3バージョンのドラマ「花より男子」を見たという和佐亨さん(4年)が、「全部見るのは大変でした(笑)。たとえばどういう車が高級とされているかなどにも違いがあって、分析すると本当におもしろいですよ」と研究内容を教えてくれます。同じテーマが、異なる文化のもとでどう形を変えるのか。世界中で同じものを見るハリウッド作品とは異なる文化的意義がありそうですね。

 加えて、ゼミには留学生もいる(前期は中国人とオランダ人、後期は中国人)ため、日本人とは違う見方が提示されて分析がどんどん深まるのだそうです。

テレビや広告から伝えられるものを理論的に分析

 今日はゼミ生の発表はなし、ということで先生秘蔵の(?)ビデオ上映が始まります。内容は、80年代にアメリカで放映されていたトークショーで、「世界のヘンな名前の商品をおもしろおかしく紹介する」というもの。日本からもチョコレート「霧の浮舟(VESSEL IN THE FOG)」、粉末クリーム「クリープ」、練り歯磨き「ソルト」などが俎上に上がり、司会者と観客が大笑いしています。これを見て「どこがおかしいのか?」とみんなで推測し、商品のグローバル化や国によって異なるフィーリングについて議論が開始。

 そこへ中国人留学生の王暁音さん(4年)が、日本のシャンプーが中国では違う名前で販売されている実例を上げるなど、さらに話題が広がります。先生、このビデオは研究にどう関係するのですか?
 「前期のグループワークのような研究を後期は個人でやるのですが、ひとりだと何をどう考えようか、見失いがち。そこで、こんな番組を見ることで新しい視点や方法を見つけるとっかかりにしてもらおうと」。和佐さんによると、「有馬先生は幅広い話題を投げかけてくれるので、いろんなことに気付かされます。それを自分の中で咀嚼してアウトプットするんです」とのこと。研究の節目節目でさりげなくヒントを与えてくれるのが有馬先生流のようです。

 ちなみに和佐さんは就職活動で、テレビ局の内定を見事勝ち取ったそうです! 「ワセダのマスコミ系のゼミ」だけあってマスコミ志望者も多いのですが、先生は「私はあんまり目指さないようにと言ってるんですけど」と笑います。その心は、テレビなどの既存のマスコミのマーケットは縮小してきている、それを追いかけるのではなく先回りをしなさい、ということ。YouTubeなどの動画配信も一般的になった現在、新しいコンテンツビジネスに飛び込んでほしいと語る有馬先生。このゼミでは、「音楽でも読書でも興味が幅広い、秀才タイプじゃなくて清濁合わせ飲んでいろんなことに興味を持って、いろんなところに首突っ込んでというタイプ」が歓迎だそうです!

80年代、インターネット普及前のテレビ番組が紹介する「世界の商品」に釘付けのみなさん。国の違いだけでなく、時代の違いも大きな要素です。

将来の進路を考えるゼミ生に、テレビ局にこだわらないで、事業にお金を出す立場の銀行とかも考えたら?と、柔軟なアドバイスが飛び出す有馬先生です。

先生からのメッセージ

 受験生のみなさんにとって大学入学はとりあえずゴールですが、合格したとたんにスタートラインになります。受験科目以外にも興味を持ち、幅広く勉強をしてください。それは受験には直接関係なくとも、あとで、どこかで、必ず役に立ちます。

先輩からのメッセージ

 中国にいたころからマスコミの仕事をしたくて、「マスコミなら早稲田」ということで留学してきました。将来はジャーナリストになりたいので、卒業後は大学院(政治学研究科ジャーナリズムコース)に進学し、批判的な能力を育てたいと考えています。

4年・王 暁音さん

先輩からのメッセージ

 受験勉強が辛いときには、大学に入ったらやりたいことを紙に書いて貼っておくことをおすすめします。サークルに入りたいとか、彼女を作ってディズニーランドに行きたいとか何でもいいんです。入学したらこれが全部できると思うとがんばれますよ!

4年・和佐 亨さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

世界のしくみが見える「メディア論」』有馬 哲夫著(宝島社新書)

 「メディアが私たちに何かをしている、といったら驚くでしょうか? 電話、メール、手紙、口頭での謝罪がそれぞれ受け手に異なる印象を与えるように、私たちは情報よりもメディア自体から大きな作用を受けているのです。政治、IT、ネット社会、格差・・・。現代社会をメディア理論で読み解く、早稲田大学社会科学部の有馬哲夫教授の講義を書籍化。」
(以上アマゾンの内容紹介から)

 この本は上記の紹介文にあるように、私の授業の内容をわかりやすく解説したもので初心者向けです。書店では手に入らないかもしれませんが、ネット書店、あるいは図書館を利用してください。ただし、入学して私のメディア論1を受講する場合は必要ありません。