NO.916 Nov.2,2000
STOP!Sexual Harassment


色とりどりのパンフレット、ぜひご一読を!  「早稲田大学セクシュアル・ハラスメント・ガイドライン」が制定され、本学がセクシュアル・ハラスメント防止のための本格的活動を開始してから一年半が過ぎた。ガイドラインに基づき設置された防止・情報・苦情処理の各委員会は、それぞれほぼ男女同数の委員で構成され活発な議論を展開している。早稲田大学でこれほどの女性委員がいる会議は初めてだ。
 この九月、『一九九九年度早稲田大学セクシュアル・ハラスメント情報委員会活動報告書』が出されたので、これを機会に、これまでの取り組み状況を紹介しよう。なお、同報告書を読んでみたい人は、学部・大学院等の事務所カウンターで尋ねてみてほしい。

◆各種パンフレットの発行

 『STOP! Sexual Harassment』と題したパンフレットを手にした人も多いと思う。一般向けの緑(英語版もあり)、教職員向けの赤、昨年度早稲田ウィークリーに連載したQ&Aを基にした黄、とカラフルなシリーズだ。簡潔にわかりやすくセクシュアル・ハラスメントへの理解を促す内容になっている。まだちゃんと読んでいない人は、学部事務所等に置かれているので是非一読を。情報委員会のホームページにも掲載されている。
 また、ガイドラインの外国語訳(英・中・韓)もあるので、留学生などで必要な人は情報委員会へ。

◆講演会等の開催

 教職員向けの研修会は何度か開かれたが、それ以外で実施された大きなイベントは次の二つだ。

内容開催時期参加者数
ひとり芝居「私は生き残った」(高橋りりすさん)上演およびパネルディスカッション1999年12月 約80人
講演会「キャンパス・セクシュアル・ハラスメントについて」(江原由美子さん)2000年5月約100人

 今年五月の講演会では、授業の振り替えとしたクラスもあって男子学生の参加も多かった。参加者からは、大学という場でも深刻なセクシュアル・ハラスメント問題が起きているということに驚くと共に、評価者(教授等)が圧倒的に強い立場にある大学は、企業などに比べて閉鎖的で特殊な環境にあることを初めて認識したという感想が多数寄せられた。
 さらに、「いちいちセクハラだなんだと言っていたら人間関係がうまくいかないと考えていたが、セクハラの一般的な基準(この程度ならセクハラではないという考え)があることの方が大きな間違いであり、恐いことだと思った」「女性(男性)とはこういうものだ、という思い込みからセクハラは起こるという講師の話で、自分の認識の甘さを知った。人は誰も多くの思い込みを抱えて生きている。固定観念を捨て、物事を客観的に見ることが大事なのだと感じた」というように自分として新しい視点を見出したという感想。サークルやゼミの集まり、バイト先などでセクハラまがいの発言等をしていたことに気がついた、という反省を述べたものも数種あった。
 また、セクシュアル・ハラスメントか否かが原則として被害者の主観で決まる、という講師の話には、知らなかったと驚く声が多く、戸惑いや反発の声も少なからずあった。しかし、誰も勉学や仕事の場において不快な性的言動を我慢する必要はない。そして、それこれこそがセクシュアル・ハラスメントの重要なポイントであり、その防止のためには相手の気持ちを気遣う思いやりが基本であることを再認識してほしい。

◆ 相談活動の概要

 本学では、セクシュアル・ハラスメント対策はまず予防が第一というスタンスで活動しているが、実際に問題が起きた場合の相談・苦情処理にも最大限の努力を払っている。下表は、昨年度の相談状況だ。

◎1999年度相談件数
摘要件数/td>
来所外メール2
電話12
小計14
来所インテークで終了(*1)9
苦情処理へ(*2) 22
小計31
合計45
(*1)インテーカー(心理専門相談員)への相談だけで終了したもの。情報委員会の対象外と判断されたケースおよび申立て人がそれ以上の手続きを希望しなかったケース等。(*2)苦情処理へ手続きを進めたもの。

 相談は学生の他、教職員、卒業生等からも寄せられた。プライバシー保護の観点から具体的な情報開示はできないが、全体の概要は報告書からもうかがえる。
 相談の半数は、苦情処理まで進まなかった。きちんと話を聞いてもらえたことで恐れや不安が軽減し、気持ちが落ち着いたのかもしれない。専門家の中には、「入口がきちんと機能すれば七十%は相談だけで解決する」と言っている人もいるくらいだ。
 苦情処理に進んだものもケースごとにできる限りの方策をとり、今年度に持ち越したものを含め、既にほとんどが終了している。
 内容的には、思いのほかストーカー関係の問題が多く、本学の対応のみでは解決が難しいものもかなりある。また、例えば教員が学生を執拗に食事に誘ったりすることが、教員の立場として妥当ではなく、かつ学生に対し強度の心理的圧迫となっていることを自覚していないと判断される場合も見られた。

インテーカーってどんな人?

 公正な相談を保証するため、インテーカーの詳しい情報は公開しないことになっているが、今本学でお願いしているのは、外部の専門家二人で、それぞれ週四日ずつの勤務。臨床心理学を専攻し、教育関係や女性の心理相談を受けてきた経験豊富な女性。安心して相談してほしい。
インテーカーから一言
「相談に来るには勇気がいるかもしれませんが、気軽に連絡をしてください。相談についてはご本人の意思を尊重し、無理な進め方は致しません。プライバシーを守ることを大切にしております。他の相談者と重ならず、落ち着いて相談いただくために、相談にみえる前に電話での予約をお願いします」

◆今後の活動予定

 二年目に入り、相談のための部屋を一つ増設したり、女性の精神科医を新規に調整委員として加える予定というように、活動の体制はさらに強化されつつある。
 しかし、今までの催しの参加者数からみても、まだまだ本学における意識は低いと言わざるをえない。セクシュアル・ハラスメントは、その組織の風土が強く影響する。「自分には関係ない」と思っている人たちへのアプローチが、今後の焦点の一つとなろう。情報提供の場として、資料紹介等も含めてホームページのリニューアルも検討中である。
 さらに、ストーカー対策については、学内だけの解決は困難であるため、警察等も含めた外部機関との連携も考えていかねばならない。
 また、昨年秋に学部学生対象のパイロット調査をしたが、今秋には大学院生を対象に実施する予定である。この調査は、現在の態勢では一部の学生のみを対象とせざるをえない。しかし、本学におけるセクシュアル・ハラスメント防止のため、広く読者の皆さんからもさらに忌憚のない提案や意見が寄せられることを期待している。

さらに理解を深めるために…

「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント:調査・分析・対策」渡辺和子他編 啓文社 1997(詳細なアンケート分析,具体事例の解説から対策提案まで。分厚いが基本図書)
「キャンパス性差別事情:ストップ・ザ・アカハラ」上野千鶴子編 三省堂 1997(セクシュアル・ハラスメントに限らず書名通りキャンパスにおける性差別にメス)
「セクシュアル・ハラスメントのない世界へ:理解、対策、解決」東京女性財団編 有斐閣(発売) 2000(マンガ、解説、情報で考えるわかりやすい入門書)
「セクシュアル・ハラスメント(新版)」福島瑞穂他著 有斐閣 1998(日本の職場における特徴を中心に、裁判、均等法、労働省のガイドラインをわかりやすく解説)

『1999年度早稲田大学セクシュアルハラスメント情報委員会活動報告書』 ■相談窓口
セクシュアル・ハラスメント情報委員会室 〒169-8050新宿区戸塚町1-104早稲田大学24-8号館2階
開室時間:月〜金 9:00〜17:00 土 9:00〜14:00 *来室前に必ず電話をすること。
TEL:03(5286)9824 *留守番電話機能つき
FAX:03(5286)9825
【E-mail】harass110@list.waseda.ac.jp
【URL】http://www.waseda.jp/student/harass/harass-index.html
※学部・大学院等の事務所にも、相談窓口への取り次ぎ役として担当者が置かれている。専門家ではないので詳細な相談は受けないが、緊急の場合や 相談窓口に行けない場合などには利用しよう。

(早稲田大学セクシュアル・ハラスメント情報委員会広報部会)

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