NO.896 Apr.13,2000
特集・キャンパス向上委員会〜早稲田大学看板・ハリガミ事情〜


ハリガミイメージ  「早稲田と言えば課外活動!」と言う位、自由闊達な課外活動は本学の魅力の一つ。学生団体は2000以上、日本一の規模を誇る。皆さんの自負はもちろん、大学も重要な教育活動の一つとして認識し、活性化のために新学生会館の建設や学生団体のホームページ開設等の支援を行っている。
 本学の"名物"(?)であるハリガミと立て看板は、課外活動における学生の自己表現として欠くことのできない存在。皆さんはそれらを通じて課外活動の成果を宣伝し、自己表現を行っている。しかし、一方で「汚い」「情報の在処がわかりにくい」等、批判の声もあり、環境や清掃上の観点から改善を求められていることも事実だ。
 「制約を加えず、学生に自由で創意に富んだ課外活動に取り組んでほしい」。これは大学の永遠の願いである。しかしながら、マナー違反・ルール違反のハリガミや看板が存在する以上、何らかの改善が必要。今回は、本学の看板・ハリガミ事情を特集。自由闊達な課外活動を守り、より発展させていくためにはどうすればよいのか。景観的、広告的な観点からの考察も交え、皆さんと一緒に考えていきたい。

◆問題点はなんだろう?

 まず、問題の所在を明確にするために、学生・父母・校友・教職員等から寄せられた声をまとめてみたい。
○大量の木や紙がゴミとなって、資源の無駄遣いではないか。
○植物が傷つき、日当たりを妨げられて可愛そう。
○無責任に放置された看板やハリガミが汚れ、風化して見苦しい。ハリガミが散らばっていて、掃除が大変。
○貼ってはいけない場所に設置した看板やハリガミがある。
○あたり構わず貼られていて必要な情報が分からない。ホームページを活用してほしい。
 「作品」と言えるような素晴らしいハリガミや看板も、一部のルール違反、マナー違反のもののために批判を受けているのが現状。だからと言って、大学は規制によって自由な表現の場を奪うような無粋な真似はしたくないが、批判が繰り返されれば、社会性のある大学としては対策を考えざるを得ない。
 そこで、大学と学生が一体になって考えてこそ早稲田! ということで、皆さんへの提案も兼ねて、広告と建築を専門に研究されている先生方を取材。美観的、広告的立場からの改善案を考えてみることにした。

◆誰にでも親しまれるキャンパスを作ろう!

 キャンパスは皆のもの。誰にでも親しまれるキャンパスが理想である。そこで、まず、都市デザインを専門とする卯月盛夫専門学校教授に、美観的問題の解決方法を取材した。
 「景観は、大景観・中景観・小景観という捉え方をします。遠くから見るのが大景観、至近からが小景観です。大景観が統一性があって秩序が保たれている時、街全体が最も美しく見える。そこから近づくにつれ、次第に多様性が見えてくる。建物の個性があるからこそ街は魅力的になる。統一性だけではつまらない。しかし、今の構内は多様性だけが存在し、統一性がない。このことが、景観を損なっているだけでなく、広告効果も失う原因となっています。これでは、ハリガミも看板も本来の機能を果たしていないと言えます」
卯月盛夫専門学校教授  それでは、どう改善すればいいのだろうか? 「規制ではなく、"幅"を持ったルール作りが必要でしょうね。人の集まる交差点に辻広場を設け、その中に広告媒体を掲示する空間を設けるのも一案。また、ハリガミや立て看板を設置してよい場所といけない場所を明確に分けるのもいい。例えば本学のシンボルである大隈講堂・銅像周辺や演博前のようなシンボリックな通路には設置しない、というルールを作ると同時に、その他の通路や広場に看板やハリガミのための空間を作る。西早稲田キャンパス十四号館前広場に、ヨーロッパのような広告塔を作るのも洒落ているし、いいデザインを触発する仕組みになるかもしれない。また、南門周辺のように、ある程度の高さと幅の統一性を保ちつつ看板を立てている所は、景観を損ねているというよりも、看板が学生の活動の活気を感じさせる。あそこは柵が秩序を高セけど、構内のベンチや街灯を利用してそういう仕掛けを考えてみてはどうでしょうか。そうすれば、安全で美しく看板を設置することができる。絵画は額縁があることによって、中身が引き立つんです。ハリガミや看板を引きたてるルール作り、それが必要だと思います」
 先生はまた、こうも語る。「早稲田らしい活気を生かしつつ、秩序を作る。そして、許可を得たものだけが掲示できるような許可制、規制ではなくて、自主的に貼り替える仕組みが欲しい。こういうことをキャンパスの一部分ででもいいから、実験プロジェクト的にやってみるといい。学生の皆さんがそういうキャンパスアメニティーを向上するようなワーキンググループを作って、提案してはいかがでしょうか。キャンパスの景観改善は、学際的・実学的研究のテーマとして、非常に魅力的だと思いますよ」。
 その他、環境問題に対しては、大学の取り組みを過去の本紙特集等で掲載しているし、学生団体・環境ロドリゲスによる環境意識調査の新歓期のビラに関する早大生の意識調査と提言等が参考になる。
 広告や都市計画、設備・機械等を研究する学生が、学部の枠を越えて知恵を寄せ合って理想のキャンパスを作る。その夢を皆さんの自主的な取り組みで、ぜひ実現してほしいものだ。

◆伝わる看板、目立つハリガミとは?

 また、効果的な看板、ハリガミの掲出方法とは? 一般に学問として扱う広告は、あるスペースを契約して広告物を掲出する場合を指し、厳密には構内のハリガミや看板とは異なるそうだが、嶋村和恵商学部助教授(広告論)からいろいろとアドバイスをいただくことができた。
 「ハリガミや立看板に類するものとして、ネオンや看板、ポスターなどの屋外広告があります。実は屋外広告は都市景観の観点や安全性から、さまざまな規制が設けられているんです。特に東京都は厳しい。皆さんの中には、構内に留まらず近隣の電柱等に掲出している団体もあるようなので、東京都のルールは知っていなくてはいけません。構内をバーチャルで社会を体験する場と捉えると、学生の自主ルールがあってもいいのかもしれませんね」
 また、効果的な広告の方法としては、「一般的な手法として、さまざまな媒体を組み合わせるメディアミックスがあります。タイミングを考えて、多様な媒体に広告を出稿する。皆さんも工夫のしがいがあるのではないでしょうか。また、到達度と頻度、という観点からすると、大量にあるというのは理に適ったことなんですよね。でも、質という意味では、一考の余地がある。今のように情報が氾濫する中では、差別化を図ることが必要。例えば、アイデンティティーの問題。いつも同じ場所に出したり、必ず同じロゴを使ったりすると、一見してどこの団体の看板かが明確になります。新聞やテレビを見て、『あ、あそこのCMだ』とすぐ分かることってありますよね。広告であれば広告主、主体がいつも分かることが、広告を印象付けるためには有効です。また、それは掲載責任のの回収責任が問題となっている今、少々耳の痛い話ではある。
 「それと、これは単なるアイデアなんですが、学生による広告コンテストを開催して、毎年のベストハリガミ・看板を決めるというのも面白そうですよね。クリエイターの腕を競う場として位置付け、各サークルが自信作を応募。それに学生が投票。最優秀作は、翌年、最もいい場所に掲載することができる、とかいいですよね」とにこやかに笑う先生。
 卯月先生も、嶋村先生も、ルールを守って掲出することと同時に、多いに技術を競い合う場として活用することを提案されている。現在は単なる無秩序の塊として見なされがちなこの構内。積極的に、学生デザインの競作の場として活用してはどうだろうか。それが登竜門となって、未来のアーティストの誕生に繋がったら、まさに、夢の実現と言えるだろう。


 以上、編集室なりにキャンパスの未来を考えてみた。果たしてこれからはどうあるべきか。結論を出すのは皆さん一人ひとり。知恵を絞って、創意工夫に富んだ新しい方法を模索してはいかがだろうか。
 本学のキャンパスが、まさしく学生の夢を実現する場であるために、皆さんの斬新なアイデアを期待したい。


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