NO.890 Jan.6,2000
特集・広がるネットワーク〜国内協定校との学生交流〜


 近年、国立大学間や私立大学間での単位互換制度(他大学の講義を受講して取得した単位が、所属大学の単位として認定される制度)を導入する大学が増えている。本学は、一九九六年に同志社大学と交流協定を締結し、翌年度より日本初の「留学型」大学間学生交流制度を導入。本学学生に多様な学習機会を提供することを目的としたこの制度、現在では学生の選択肢の一つとして定着し、四月には第四期生が誕生する(本紙二面参照。募集要項・体験談等は教務部ホームページ参照)。
 この特集では、本学の学生交流協定について詳しく取材。新しい学びの選択肢を、ご紹介したい。

◆広がるネットワーク〜「聴講型」学生交流制度導入

 昨年七月、本学と日本女子大学が学生交流協定を締結したことにより、二〇〇〇年四月から「特別聴講学生」として同校の講義を年間八単位まで履修することができるようになる。
 本学と同校との関係は、古く大隈重信と同校創立者・成瀬仁蔵との親交に端を発する。同校開校にあたり創立委員長を務めた大隈はその後も終身評議員として尽力し、坪内逍遙他多くの本学教員が同校での講義を担当したという。現在では学生はサークル活動等を通し活発な交流を行っている。本協定の締結により今後は教学的な交流がより一層深まるであろう。
小口彦太教務部長  さらに、学習院女子大学や東京女子医科大学(学術交流)と協定を締結。まさに本学を中心としたネットワークが構築されようとしている。このような取り組みについて、小口彦太教務部長(法学部教授)は、「今後は各私大がそれぞれの特色を明確にして切磋卓磨すると共に、足りない部分を補完しつつ教学の充実を図ることが必要です。今回協定を結んだ各校は地理的にも近く、従来から交流があって学生が馴染みやすいなど、伝統的に一体感がある大学です。また、家政学系科目や医学の臨床研究など、本学にはない特色を持つ大学と協定を結ぶことで、本学の教育研究に新しい風を取り入れることができます。今回は女子大との協定ですが、男性にもぜひ利用してほしい。女子大という全く違った環境で学ぶことは、面白い体験になるか」と語る。
 「加えて、今後、地理的に近い大学とコンソーシアム的な交流を行うために現在さまざまな大学と交渉中です。日本女子大や学習院女子大とは現在一般教養的な科目を主とした交流、東京女子医大では専門分野の交流を予定しています。また、同時に、独自の持ち味のある大学として早稲田カラーを大切に維持していきたい。大学間の"競争的共存"と言えばよいでしょうか」と小口教務部長。ネットワークの広がりが、教育研究活動の活性化と学生の学習機会の多様化をもたらそうとしている。

◆ 来たれ! 早大生〜協定校からのメッセージ

協定によって広がるネットワーク  では、協定校側では今回の試みをどう受け止めているのか。日本女子大学・江澤郁子家政学部長にお話を伺った。「従来、生活に関わることは女性が中心となって担ってきましたが、昨今の社会は単身赴任や女性の社会進出など、男性も生活者として生活空間について学ぶことが必要となっています。今後、男女が各々の特質を活かして協力し、より良い世の中を作っていくためには、互いを理解することが重要です。そのためにも本学は、長年培ってきた家政学等の研究を社会に還元し、人類の福祉に貢献し、より良い社会を実現したいと考えています。今回の協定によって、大学同士が協力しあって、良いものを吸収し合えれば素晴らしいですね」
 また、本学ではあまり馴染みのない家政学については、「家政学とは生活を総合的に科学する学問。つまり生活の実践の場としての家庭を総合的に研究し、社会や生活の向上を目指す学問です。児童学科・食物学科・住居学科・被服学科・家政経済学科のいずれも、皆さんの生活に密着するものですが、今回提供する中の家政学部共通科目で、その全体像を掴んでいただけると思います。現代社会では当たり前になってしまった便利さや豊かさ。皆さんには、ぜひここで、身体とそれを取り巻く生活空間の重要性について考えてみてほしいと思います」と、江澤学部長。
 このように従来とは違う視点から物事を考えることができることこそ、協定の最大の恩恵と言えるだろう。

◆ 広がる早大生の学び〜聴講可能科目紹介

学習院女子大学の門をくぐれる!  最後に具体的な履修可能科目を紹介しよう。今回、協定を結んだ三校の内、学部学生が履修できるのは日本女子大と学習院女子大。現時点での提供予定科目を表にまとめた(※WEB版では省略。紙面参照のこと)。家政学部のない本学には見られない科目がずらり。さらに社会、文化、自然等を扱う科目も、各大学の長い伝統と利点を活かし、本学で培われた教育研究とはまた違った持ち味のある講義ばかりだ。
 科目登録方法は、三月以降、募集要項や教務部ホームページによって紹介されるが、基本的に本学で登録手続きができる。教務部では、科目登録方法として新方式の導入も検討中とのことだ。他学部聴講をする気分で気軽に利用できる大学間学生交流制度。関心のある人は、今後の広報に注目し、チャンスを活用しよう!
■教務部ホームページ
【URL】http://www.waseda.jp/kyomubu/

 「法改正によって、六十単位まで他大学の講義などで単位を認定することができるようになりました。理論的には一年間同志社大に留学し、残り三年は本学と近隣大学で単位を取得することも可能。全学部オープン科目によって学内の選択肢が増え、協定によって大学の枠を超えた選択が実現します。これらの機会を皆さんにどんどん活用してほしいと思います」と小口部長。
 早稲田の地から広がる人的交流や物的ネットワークによって、空間に捕われないキャンパスが今、まさに実現しつつある。それによってもたらされる多様な価値観から、皆さんは何を学び、身に付けていくのだろうか。

特派員:12/1日本女子大学
「潜入! 日本女子大学 食物学科・五関正江先生講義総合科目(教理・自然)「硬組織の科学」聴講&キャンパス探訪」

五関正江先生  四月から、男性も女子大に通えるようになるが、新勧や学園祭時ならいざ知らず、普段の講義となると少し気後れする人もいるのでは? そこで、皆さんに先駆けて本紙男性記者が日本女子大に潜入! その模様をレポートする。

 門を入ると、木々や建物に囲まれた落ち着いて静寂なキャンパスが広がる。小ぢんまりとして、本学とは全く異なる雰囲気。当然、男性はほとんどいない。階段や廊下、生協も食堂も、構内は女性ばかりでとても賑やか。心なしか道行く女子大生の注目を集めているような…。嬉しいような恥ずかしいような複雑な気分を胸に教室へ向かった。
 キャンパス奥の香雪館四階。同校では最大級の三百五十人教室に一歩足を踏み入れると女子学生がずらり。行く前は、「女子大? いいな〜」と羨望を浴びつつ出発したが、いざとなると覚悟はしていたが、やはり少し緊張する。何せ、この広い教室に男は唯一人なんだから…。
黒1点!少々緊張気味・・・  講義は五関正江先生の総合科目(数理・自然)「硬組織の科学−骨って不思議?−」。白衣に身を包み、笑顔の素敵な先生だ。講義内容は「骨形成と骨吸収のバランスが壊れたとき−骨粗鬆症」。最近、増えている骨粗鬆症に関する専門的な解説を聞くことになった。骨粗鬆症は、身体の骨量の減少によって骨折等が起こりやすくなる病気で、加齢に伴って増加。女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって起こりやすくなるため、中高年の女性に特に多いという。それならあまり身近じゃないな…と思いつつ聞いていると、「今日は男性がいますから、男性ホルモン(アンドロゲン)の話もしましょう」と先生。そこで骨粗鬆症は女性に多いが、男性でも起こると聞いてびっくり。面白いことに、納豆に多いビタミンKが予防に有効だそうだ。さらに、インスタント食品が良くないと聞き、自分の食生活を見直す必要性を感じた。
 五関先生は「文系の方にも分かりやすい講義を心掛けています。来年度は"遺伝子の科学"という講義が皆さんに提供されます。早稲田の方、もちろん男性にもぜひ参加していただきたいですね」と語る。日頃、本学ではあまり触れることのない栄養学や生理学の知識が盛り込まれていたが、逆にそれが新鮮で、新しい知識が刺激となって視野が広がったような気がした。帰る頃には、慣れれば時たま違った環境で授業を受けるのもいいな、と余裕も芽生え、束の間の女子大体験を終了した。
(ま)

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