NO.888 Dec.2,1999
今どきの早大生


 個性豊かでさまざまな学生が多数集まる本学だが、平均的な早大生とは一体どんな学生なのだろうか。最新のデータとして、一九九七年度に実施した本学の「学生生活調査」(学部生、全学生数・四万二千三百八十人、標本学生数・四千二百三十二人、回収数・九百十九人、内男子・六百三十九人、女子・二百八十人)および『早稲田大学統計要覧』のデータを基に、現在の早大生(学部生)の平均像を浮き彫りにしてみた。また、これらの早大生に関する数値について、石塚博司学生担当常任理事にお話を伺った。

出身地の構成

■入学者の出身地
 地方性が薄くなったと言われている本学の学生だが、九七年度出身高等学校所在地別入学者数の構成はどうだろうか。右表を参照してほしい。
地方構成比(%)
北海道 1.6
東北 3.7
関東 63.0
中部 12.0
近畿 7.1
中国 3.8
四国 1.8
九州 6.1
外国等 0.9
 このように、やはり関東圏からの出身学生が多く、最近五年間の推移を見てもこの傾向は変わらない。この傾向について石塚常任理事は次の通り語っている。「大学としては、このような状況に危機感を抱いています。かつては全国津々浦々からの地方出身者やアジア諸国からの留学生が集う大学でした。それぞれ独自の文化や風俗を持った学生たちが混ざり合って、学園風景が雑然としていたからこそ、野性味に溢れ、広い視野を持った人材を輩出できたのだと思っています。そのような状況を再現するために、大学は地方出身学生や留学生を対象とする奨学金制度を設けたり、幾つかの学部では各都道府県からの推薦入学の枠を設けたりしており、今後もその方向性を強化したいと考えています」
 また、「近年女子学生比率が上昇し、全学生の約四分の一(約一万人)の女子学生がいます。労働人口が減少傾向にある日本の経済・社会・文化・技術など全ての面で女性の果たす役割は益々大きくなると思います。社会の第一線で活躍する女性を世の中に送り出すのも、大学の果たすべき責任の一つです。女子学生たちが学びやすく生活しやすい環境や条件を整備することにも力を注ぎたい」とも。

授業・学習環境

■授業・カリキュラム・教員との関係
 学生は、週平均四・四日来校し、授業出席率は平均七十二・一%(男子六十九・七%、女子七十七・七%)。なお、出席率百lの者は七・三%いる。
 学生のカリキュラムに対する不満足度は、六十二・六%と半数以上の数値に。この内、「不満足」は二十二%、「どちらかといえば不満足」は四十・六%。その理由としては、第一位「選択したい科目が取れない」三十一・五%、第二位「もっと専門科目を学びたい」十一・五%、第三位「少人数の科目が少ない」十・八%となっている。 
 また、授業については、「満足」二・九%、「不満足」二十三・九%。授業の仕方に不満足な理由は、第一位「熱意が感じられない」三十六・四%、第二位「授業の仕方が一方的である」二十八・六%、第三位「板書が有効に使われていない」九・七%であった。
 教員との会話については、「全くない」三十二・六%、「頻繁にある」五・三%。また、「教員と身近に話す雰囲気がある」三・七%、「ある方だと思う」二十八・三%、「ない方だと思う」四十七・六%、「全くない」二十・四%となっている。
 このように、カリキュラム、授業、教員との関係については総じて厳しい数字となっている。 
 この点に関して石塚常任理事は、「理事としても一教員としてもこの数字を厳しく受け止めています」と語っている。また「このような厳しい評価は、別の見方をすれば早稲田らしさの表れでもあると思われます。新聞などの学生満足度調査結果では、他大学と比べて到底劣るとは思われない項目についても、早稲田の学生は厳しい評価を下しているからです。もしもそうであるならば、早大生が高い要求水準、豊かな批判精神を持っているということであって、それ自体は誇らしいことだと思います」。

懐事情

 経済的にはどうなっているのか、住居費、仕送り、奨学金、アルバイトなどを見てみよう。
■住居の形態
 自宅通学者は六十・四%、自宅外通学者は三十九・六%。自宅通学者は七一年には四十九%で半数に満たなかったが、その後は徐々に増えてきている。
 この傾向は、入学者の比率が自宅から通学可能な範囲(東京、千葉、神奈川、埼玉など)の学生が年々増え、地方出身の学生が減少していることをも示している。
 なお、住居費(食費、水、光熱費を含む、自宅外通学者のみ)の月額平均額は、六万七千五百円(男子・六万五千五百円、女子・七万二千五百円)で、前回(九五年)の調査結果八万五百円より下がっている。

■家族から貰う金額(自宅外生は仕送り額)
 自宅通学者は二万六千九百八十円、自宅外通学者は十二万三百八十円を、毎月平均して家族から貰っている。自宅通学者の内「全く貰っていない」と答えた者が十四・四%いる。

■奨学金の受給者
 奨学金を受けている人は十七・九%で、内訳は、日本育英会八十三・四%、早稲田大学関係二十五・八%(複数解答可)となっている。月平均受給額は、五万六千七百九十円。

■アルバイト
 アルバイト経験がある人は八十五・五%。その内で「長期経験者(定職または三カ月以上)」は半数以上の六十二・四%、「授業期間中臨時アルバイトをした」は九%、「夏休み中にアルバイトをした」は三・七%、「夏休み中と授業期間中」は十・四%である。「アルバイト経験なし」は十四・五%。夏休み中以外のアルバイトの月平均日数は九・七日で、その一日当たりの平均就労時間は、男子五時間十二分、女子四時間三十八分、月平均収入は男子六・一万円、女子四・九万円。
 アルバイトの種類は、第一位「店員」三十・七%、第二位「家庭教師・塾等の教師」二十七・八%、第三位「軽労働」十五%。
 これらのデータについて石塚常任理事は、「教育費が学費負担者および学生本人にとって重荷になっていることは十分認識しています。教育はきめ細かくしようとすればするほど手作りの部分が増え、いわば労働集約的にならざるを得ないため、基本的に高コスト体質を持っています。そうは言っても教育費負担は限界に近づいていると考えますので、経費節減運動その他の合理化や制度改革に全学的に取り組んでいるところです」と語る。

■教養費
 教養費とは、教養書籍・新聞・映画・音楽などの芸術鑑賞・趣味に用いる費用を指し、月平均八千九百九十円。学年と共に上昇するが、四年生になると、減少する傾向がある。

■娯楽・嗜好品費
 嗜好・娯楽品とは、社交・レクリエーション・コンパ・煙草・酒・コーヒー代などで、月額平均一万四千円にのぼる。

■保健衛生費
 保健・衛生費とは、医療代、入浴費、散髪代などを指し、月平均三千七百円。

■身の回り費
 衣類・履物などの身の回り品の支出額は、月平均一万六百円。

日常生活

 さて、日々の学生生活におけるデータはどうなっているだろうか。飲酒の機会、喫煙、睡眠、課外活動、悩み事について見てみよう。

■お酒を飲む機会
 「ほぼ毎日飲む」四・一%、「週二、三回」十三・四%、「全く飲まない」十二・六%。一番多いのが「ときどき飲む」六十九・九%となっている。

■喫煙本数
 喫煙者は二十四・一%で、一日平均十一・六本の喫煙をしている。

■睡眠時間
 平均睡眠時間七時間。十一時間以上の者〇・四%、一〜四時間の者〇・四%。

■課外活動への参加の有無
 「参加している」が圧倒的に多く六十六・二%、「途中で止めた」二十五・六%、「参加したことがない」八・二%。
 課外活動に費やす時間は、「三時間未満/週」が一番多く三十三・八%、「三〜六時間/週」が二十八・六%で、平均六時間三十三分となっている。

■運転免許証の所有
 自動車運転免許証所有率は五十六・七%(男子六十四%、女子四十・二%)。二輪車運転免許証所有は十三・二%(男子十七・二%、女子三・九%)。両方所有している者が九・二%だそう。

■悩みごと
 学生がどんなことで悩んでいるのか、本学学生相談センター(99年12月1日より「総合健康教育センター」)のチラシの延べ来談者数を見てみよう。
 青年期における対人関係のトラブル・異性・家族関係などが一番多く六百五十三人、修学相談が二百八十九人、進路相談が六十五人、生活費やアルバイトなどの経済相談が三十一人などとなっている。
 さて、読者の皆さんは、これらの"平均的早大生"の数値についてどのようなイメージを描けたであろうか? 詳細を知りたい方は九七年度版『学生生活調査報告書』が来春発行予定なので、そちらを参考にしてほしい。
 最後に、今どきの早大生について、「卒業生、特に年配の方から、時々この頃の学生は『ツブが小さい』『だらしがない』『意欲がない』などと言われることがあります。いつの時代にも、年配者は自分の若い時の『輝かしかった』場面だけを想い出して若者を批判します。確かに茶髪やピアスの学生など従来では考えられなかったかもしれませんが、同世代の若者の約半数が大学生になっている今日、大学が社会の風潮を写し出すのは、ある意味では当たり前です。問題は、学生たちが自分の立場や責任をどう認識しているかであって、早稲田の学生は概ね健全であると考えています」と石塚常任理事は締め括った。

本紙モニター二十人に聞きました。

「今どきの早大生についてどう思いますか?」
○これといって他大学の生徒と異なるということはないと思います。それでも、さまざまな分野で自分の好きなことにのめり込んでいる人が多い(他同様五通)。
○早稲田祭がないためか 、団結力がないと思います。私たち三年生は入学してからこれまで一度も学園祭を経験していません。早大の、また早大生の評価も落ちているのではないでしょうか。早稲田祭はやるべきです(他同様一通)。
○自分のやりたいことに熱心である。あまり、おしゃれではない。
○多種多様な人がいると思う。でも、それがまた早稲田のいいところだと思う(他同様一通)。
○自分の将来に目標や希望がある人と、何も無い人とのギャップが激しいように感じる。小説家を志し熱心に本を読む人や、弁護士を目指し朝から図書館で勉強している人には、早大生が昔から持っていただろう「熱っぽさ」を感じる。逆にいつも「五月病」にかかったような無気力な学生もいる。それぞれ、目指すものがあればもっと活気ある学生生活が送れると思う。ただ、それをなかなか見出せないのが現代の学生が持つ、悩みの一つなのだろう(他同様五通)等。

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