NO.877 Sep.16,1999
早稲田大学の海外留学制度


高橋圭三国際教育センター調査役  海外留学を考えたことのある学生も多数いることだろう。実際、一九九八年度本学から海外へ一年以上留学する学生は年間二百五十四人、短期留学では三百五十六人を数える。また一方で、九八年度は世界五十カ国から千人を超える外国人留学生が早稲田で学んでおり、この規模は国内私立大学で最大のものとなる。本学は海外大学との学生・学術交流協定を積極的に推進しており、九九年三月時点では世界三十二カ国百五十大学・機関と協定を結んでいる。
 そこで今回の特集では高橋圭三国際教育センター調査役やマラヤ大学への九八年度交換留学生鴨川明子さん(教研修士二年)へのインタビューも交えて本学の海外留学制度の概略についてまとめてみた。

1.留学の準備

目的を決める

 「本学の交換留学プログラムの特徴と言えば、”多様性”があるということですね。留学の目的も、語学、異文化体験、学部正規課程、大学院レベルでの留学など多彩なプログラムがあります。留学先もアメリカ、ドイツ、フランス、アジアなどさまざまです。期間も一週間から一年間までいろいろあります。その多様性ゆえにかえって選ぶ側が迷ってしまうかもしれませんが、目的に応じた留学が可能です」と高橋調査役。まず、(1)何のためか、(2)どこで何をしたいか、(3)費用はいくら準備できるか、を考えてみよう。ただ漠然と留学したいと考えていただけでは何も前進しない。そのためには"情報収集"が鍵になる。

情報を収集する

 「どういう留学にするか決める際に自分の思い込みで進めないで、春・秋に開催される留学フェア、『Study Abroad』、インフォメーションルームなどを活用してください。情報を充分に集めた上で、自分にふさわしい留学プログラムを掴みとってほしいですね」と高橋調査役。
 西早稲田キャンパス二十二号館四階には、留学業務を担当する国際教育センターがある。三階にはインフォメーションルームもあり、海外の大学のカタログや留学に関する奨学金情報等を閲覧・コピーできる。「これまで大学が蓄積してきた交換留学生の報告書からは貴重な生の声を知ることができます。また、留学の情報をどうやって調べるのかも体験できます」。
 「本学に在籍している留学生が集うインターナショナル・ラウンジ(二十二号館三階)に気軽に来て留学生と交流し、生きた情報を入手するのも貴重です。留学生との交流プログラム等の情報は国際教育センター・ニュースメーリングリストから得られます。希望者はこのリストに登録できます」。

『Study Abroad』 ■国際教育センター・ニュースメーリングリスト
【URL】http:www.waseda. ac.jp/cie/publication/mailinglist-j.html参照のこと

■留学情報が満載の『Study Abroad』
【配布場所】 国際教育センター、各学部・大学院事務所。

2.早稲田大学の交換留学プログラム

 本学の交換留学プログラムは一年間のプログラムと短期プログラムに大別される。

一年間のプログラム

 世界の百二十三の大学(アジア地域二十九大学、オセアニア地域二大学、南米地域二大学、ヨーロッパ地域二十四大学、北米地域四大学連盟六十六大学)との交換留学プログラムがある。留学中は学部を越えて自由に科目選択できる大学が多いのが特徴だ。大学院レベルの場合は、受け入れ先の指導教授の下で自分の研究テーマを中心に研究活動を行うことも可能だが、そのテーマの指導ができる教員がいることが条件となる。応募条件は大学毎に異なるので各自確認しよう。
 「新規の早稲田とアメリカの年間プログラムが来年度からスタートします。これはアメリカ・ポートランド州立大学と本学がジョイントで本学の学生のために独自に開発したプログラムです。その特徴は、(2)英語の実力を付けることも目的の一つなのでTOEFL四百八十点以上で応募資格がある、(2)学生が参加しやすいよう学期の設定は四月からとなっている、(3)これまでの早稲田・オレゴン夏期プログラムの実績と経験を踏まえているので内容的にも充実している、という点が挙げられます」と高橋調査役。興味がある人はぜひ応募しよう。

短期プログラム

○短期語学研修プログラム
 アメリカ・オレゴン州ルイス・アンド・クラーク大学、スウェーデン・ルンド大学、ドイツ・ボン大学各々の協力の下、本学学生のために用意された短期留学プログラムがある。語学研修だけでなくその国の文化・事情を勉強するカリキュラムになっている。
 この中、早稲田・オレゴンプログラムは、これまでの英語学習とは違い、国際社会で通用する真の英語力を身に付けることを願って開発したものだ。

3.留学までのステップ

 一年以上の海外留学を実現するには最低でも一年以上の準備期間が必要。交換留学プログラムへの応募を検討する際は、まず『Study Abroad』を参考にして準備を進めよう!
 特に出発前、留学中、留学終了後の何年間かのスケジュールも確認して卒業までの計画を立てることが重要で、出発時の学年が三年以上になる場合には、帰国後の計画(就職活動、ゼミ、授業の履修、卒業)を充分に考えておく必要がある。また、TOEFLについては模擬試験を利用して複数受験することを薦める。また、留学前には必ず各学部・大学院で配布している「留学願」と受入先大学等の発行する入学許可証を提出して学部・大学院の承認を受けなければならない。

4.奨学金について

 本学の交換留学プログラムは、ほとんどのものが留学先大学の学費が免除または減免される。さらに、交換留学生として次の大学に留学する者には、協定により奨学金が支給される。
北京大学、復旦大学、南開大学、ボン大学、リヨン商科大学、ジョージタウン大学(二人に学費の半額の奨学金)
 これ以外の大学に交換留学する場合は、「短期留学推進制度による奨学金」、「早稲田大学学生交流奨学金」に応募することができる。また、日本政府・外国政府・財団等による海外派遣制度(教員および学生が対象となるもの)もあるが、大学院生以上が対象になるものがほとんどで、学部学生の採用は厳しい。これらについての詳細は『Study Abroad』を参照のこと。
 高橋調査役から「留学のための経費調達は大変ですが、学生時代の留学経験は貴重ですから、奨学金、学費免除、もしくはローンを積極的に活用しましょう。資格がある奨学金にできる限り貪欲に申し込みましょう」とのアドバイスがあった。

5.双方向の交流を目指して

「九八年度は本学から海外へ留学した者は、在学生の約一・四パーセントという少ない数です。また、早稲田に来ている留学生の八割程がアジアからですが、早稲田からは八割が欧米に留学し、欧米の学生はと言えば、相当数がアジアへ行っています。本学にはアジアの協定校も多数ありますが、学生がなかなか行かないのが残念ですね。アジアの各国では現地の言葉だけでなく英語で行われる教育プログラムもかなり増えてきています。二十一世紀には、アジアの国々と日本の関係は益々強くなっていくことは必至です。アジアに精通した新しい世代が必要です」 「若いうちに日本以外の社会を見たり、体験することは後の人生で大きな意味を持ちます。自分と日本以外の社会の接点をみつけましょう」。 さぁ、皆さんも留学への一歩を踏み出してみよう!

マレーシア・マラヤ大学に一年間留学した 鴨川明子さん

鴨川明子さん ◆留学の準備
 交換留学生なので、留学手続きでは国際教育センターに相談しながら進めることができましたので助かりました。勉強面では、語学の勉強はちゃんとしておけってことですかね(笑)。私の行った大学では、授業は英語よりマレー語の方が多かったので苦労しましたね。私は早稲田で英語しかやっていませんでした。マレー語は知り合いのマレーシア人に頼んで教えてもらいました。私の場合は、土壇場になって準備をしたために、あちらで余分な時間を割かなければならないことが多かった気がします。準備は早ければ早いほうが良いことは確かですね。

◆生活
 生活費は寮費込みで五万円くらいですかね。五万円あれば普通より良い生活ができました。大学の授業は、早稲田とあまり変りませんが、授業の講義科目プラスゼミが一時間、どの科目にもついていました。大変でしたが充実した内容で非常に良かったと思います。プライベートでは、いろいろな場所に連れていってもらいました。戦争に興味があったので、教科書に載っていないことも知ることができたので、とても勉強になりました。

ハリ・ラヤ・プアサ(断食明けの祭)の日 ◆苦労
 言葉と食事には苦労しました。向こうの寮のルームメイトがマレー人でした。マレー系の人たちは英語が苦手なんですよ。日常生活ではマレー語を使っていました。最初はとても苦労しました。食事面は、寮でこてこてのマレーシア料理が出て、耐えられなくなり、こっそり日本食のレストランに行ったりもしました

◆感想
 行ってみて一番思ったことは、実はアジアは遅れていないぞ、ってことです。「遅れている」とか「向上の余地がたくさんある」とか、私たちが欧米の目で見てしまっているというのは、学問でもよく言われていることですが、自分の持っていたイメージとはぜんぜん違うと思いました。アジアこそ行かなければならないところだと思います。特にもっと戦争を通じたアジアの国との繋がりを知らなければならないと思います。こういったことは、一、二週間の観光では分かりにくいですよね。アジアに留学して、その国の言葉を使って、さまざまな人に話を聞くことが重要だと思いますね。ですから、留学を考えている人には、欧米だけではなく、アジアの国も選択肢の一つとして考えてほしいです。一年間という時間は、短いと思いました。語学も、日常生活で普通に喋れる程度になって、”これから”という時に帰らなければならなかったんです。しかし、帰ってきて、日本でもっと勉強して、「今度はこういったことについてやりたい」というのを見つけて、再度留学することができればベストだと思いますね。

■かもがわ・あきこ
1974年愛媛県生まれ。社会科学部から教育学研究科に進む。昨年度、マレーシアのマラヤ大学に1年間留学。比較教育・ジェンダー論専攻。来年3月にクアラルンプールで開かれる「Global knowledge 2−経済発展と情報化−」に参加予定。
【E-mail】akita_112@hotomeil.com

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