第916号 Nov.9,2000 


■シドニーオリンピック百メートル背泳ぎ五位入賞

■稲田法子(いなだ・のりこ)さん

 1978年埼玉県生まれ。教育学部教育学科社会教育学専修4年。早稲田大学水泳部、セントラルスポーツ所属。92年バルセロナオリンピックで100メートル背泳ぎ12位、その後、幾度も日本記録を更新。2000年のミッションビエホ国際大会は同種目優勝、200メートルで2位。100メートルのベストタイムは1分01秒06。シドニーでは1分01秒14とそれに迫る力泳を見せた。

 「学校大好きです!」。早稲田への憧れと先輩の体験談で進学を決意したという稲田さんの毎日は、2時間の朝練に始まり、夜練に終わる。「授業はほとんど出てますよ。授業後食事に行こう、という時行けないのが残念ですが、水泳とは全く関係ない友達と出会えたことが何より嬉しい。練習ばかりでは、気持ちの切り替えもできないですしね。シドニーでも、友達からの手紙やFAXが支えてくれました」

 辛かった大会直前。「練習自体は試合前の調整ですから身体的にはきつくはないんですけど、なかなか記録が伸びなくて、自分で思う通りにならないのが精神的に辛かった。そんな時は友達の応援やコーチのアドバイスが効きました」。レースを待つ間に否が応でも高まる緊張。「今回は、しょっぱなでしたから、それも何だか嫌でしたね。自分だけ決勝に行けなかったらどうしよう…そんなことを考えたり、緊張しました。だから、終わった時は、良かったーって、心からホッとしましたね」

 何も分からないまま出場したバルセロナ。そして次のアトランタでは代表に漏れ、抜け殻のようになった。「辞めるに辞められなくて。当時は高校生が競技のピークでしたから、あぁ、もう終わったなぁと目標もなくただ泳いでいる状態でしたね。それが中大に進学した皆が、大学生でも記録を更新しているじゃないですか。それで、自分でもできるのかな、と。そして、コーチがぽつりと言った『そんな風にやってても面白くないだろう』、この言葉に、2年位前、もう1度駄目でもいいからやってみようと思ったんです」。そしてシドニー代表の座に輝く。「オリンピックは特別、意識はしなかった。できるところまで、やれるだけやってみよう、そう思ったら代表に。さすがに開催が近づくと取材が盛り上がって。ただ、ちゃんと練習ができていて調子がそこそこなら、それなりに答えられるんですけど、良くないときには悪いです、とも言えなくて言葉に詰まりました」

 水泳は好きだけど辛い。「生活の一部ですからね。シドニーで終わろうと思っていたんですが、1カ月休んだ今は続けるか、少し悩んでいます。やるからにはちゃんとやってしまうから、きっと辛いですよね。11月には練習が始まるし、3月には卒業ですから結論は出さなくちゃいけないんですが」。今はオリンピックの経験も加え、"生涯スポーツ"に関する卒業論文に取りかかっているという稲田さん。「シドニー後、全国の水泳教室で、子供やお年寄りに教えたりする機会が増えて、とても楽しいです」。水泳を通して、また新しい世界が広がっていく。


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