第898号 Apr.27,2000 


■理工学部複合領域コースで初めて、映像による卒業製作を実施・提出した

■増本淳(ますもと・じゅん)さん(左)

 1976年千葉県生まれ。2000年3月理工学部応用化学科卒業。4月から、(株)フジテレビジョン勤務。

■山本幸治(やまもと・こうじ)さん(右)

 1975年愛知県生まれ。2000年3月第一文学部文芸専修卒業。4月から、(株)フジテレビジョン勤務。

 内田種臣理工学部教授から編集室に送られてきたビデオ『私的生活空間 my life space』は、今春、フジテレビに入社した30人を取材したドキュメンタリーで、本学学生が理工学部複合領域の卒業論文として製作したものだ。

 発起人・増本淳さんは、「絵が好きで美大も考えましたが、受験科目が得意だったことと周囲の影響で応用化学科に入学。でも、合わなくて。中退を考えていた矢先に複合領域の説明会があり、ここならやりたいことができると思えたんです」。同じ頃、友人のホームページに掲載したCGが二文出身のSONYのデザイナーの目に止まり、それから一年半、PlayStationのゲームCGのデザインを経験。次第に自分の作品を作りたいという欲求が募っていった。「CGは絵が動くことから、映像に興味が沸きました。ただ、好きなものを作るには、デザイナーの立場よりもテレビのディレクターがいいと思ったんです」。そして、昨年3月、内定を獲得。同期の西坂瑞城さん(2000年政経卒)と山本幸治さんに出会った。

 テーマは山本さんが提案。彼は2、3年時にミニコミ誌の出版や自主製作映画の製作に参加。4年時には原一男文学部客員教授の自主製作映画にも携わった。「書くことが好きで、最初は小説を書いていたんですが、次第に映画がやりたくなって。でも、やってみて、僕がやりたいのはまた違うなぁと思い始めていた」。そんな時、増本さんと出会い、共同製作者として試行錯誤を重ねることになる。「当初は内定者全員でやる予定でしたが、結局ほとんど2人になってしまって、9〜11月はほぼ毎日会ってましたね。西坂君は立ち上げ時と、12月の追い込みで戦力になってくれて。印象に残っているのは、取材先まで7〜8時間車に乗って移動した道中の雰囲気。『あの人はこういう人だろうなぁ』と、わくわくしたり、気が重かったり…。最終的に900分以上の映像を90分に編集したのですが、入社式に使うという目的があったため、自分たちが責任を負えない内容は、本音でも入れないようにしました。ドキュメンタリーとしては使いたい部分が結構あったんですが…。それが残念です」

 就職先以外の共通点のない2人による作業。最初は信頼関係も、技術的な知識もなく、衝突もしばしば。「大変なことを始めてしまった…」と後悔することもあったが、最後には、卒論に相応しい結論を導き出した。「何にせよ、まずやってみることが大切。実際にカメラの勉強をし、撮ってみて自分が下手であることがよく分かった。経験したことが一番大きい」と増本さん。「実際に文を書くことよりも、どう書くべきか、書きたいのかを考えることが大事。そして、カメラに実際に収めることよりも、やろうとすること、自分が何を取りたいのかが大事なんだと思います」と山本さん。卒論は提出したが、人生の試行錯誤はまだ終わらない。これからは、社会という大きな舞台で新しい答えを模索していくことになる。2人が撮る10年後のビデオが見たい、最後にふとそう思った。


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