昨年秋より連載させていただいた、この「応援歌ものがたり〜稲魂のエール〜」も、最終回を迎えることになった。そこで、これまでお伝えできなかった曲の中から、筆者自身思い入れの強い2曲をご紹介して、締め括りたい。「ザ・チャンス」、「えんじの唄」の2曲である。共に稲門七夕会により企画され、昭和55年10月の「第28回稲穂祭」で発表された。
「ザ・チャンス」は、本学出身のタレント、タモリ氏(本名・森田一義)が初めて手掛けた応援歌。歌詞をご覧になればおわかりと思うが、応援歌にしては珍しく「早稲田」の文字が一度も登場しない。ところが、そのスケールの大きさ、躍動感溢れる歌詞からヴィヴィッドに思い浮かぶのは、アグレッシブなワセダマンの姿である。安易に校名を連呼しなかったことで、逆に強く「早稲田」を意識させる内容になった。さらに、一大学の応援歌に止まらず、歌う者すべてを鼓舞できるという点で、まさに「応援歌の中の応援歌」と言えるのではないだろうか。
「えんじの唄」は、女性の視点から、優しく暖かく男の世界をとらえたワルツ。ワセダマンの誰もが味わうであろう青春の、苦く懐かしい香りに満ちており、せつなく、涙を誘う。だが、同時に「強く生きよ」と背中を押されているような気分にもさせてくれる。校歌が心の父であるとしたら、「えんじの唄」は、母親のように我々のことを見守ってくれている。 (終)
「ザ・チャンス」
作詞・森田一義
作曲・岸田 哲
(ウォー ウォー)
一
今来たぞ 沸き上がるこの時が
空気をふるわせ やって来た
大空狭しと 声高らかに
時のすきまに くさびうて
二
今来たぞ つきぬけるこの時が
名乗りをあげよと やって来た
顔をそむけず 風受けとめて
前を見すえよ 立ちむかえ
(ウォー ウォー)
三
今来たぞ共にふるえるこの時が
我らの前に やって来た
大地ふみしめ ひびけとばかり声のかぎりに 歌うたえ
「えんじの唄」
作詞・多門 冴子
作曲・藤田雄次郎
一
男は心で 涙を流して
こみ上げるもの かみしめん
えんじの旗に じんわりと
滲んだ汗の さわやかさ
咲くのも散るのもただ潔ぎよく
天下に恥じぬ 花であれ
二
煌くひと時 自己を忘れて
闘志をもやし 尽くすだけ
方組み合えば しみじみと
母校に誓う 男意気
はためく校旗よ いざ栄光を
えんじの唄よ 永遠にあれ
永遠にあれ