えび茶ゾーン

えび茶ゾーンの原稿は、全学の教員が交替で執筆しています。

 カンニングやレポートの丸写しはなぜいけないのか。教育上の理由はいろいろあるだろうが、大きな理由のひとつは自分で考えることを放棄する罪である。これは日本を滅ぼしかねないのである。

 福島の原発で、日本最初の原子炉を設計した元技師の告白によれば、日本に設計ノウハウがなく、米国製の原子炉の設計をそのままデッドコピーしたそうだ。当時の米国ではハリケーン対策が主流で、地震と津波は想定されていなかった。そのためハリケーンには強いが津波に弱いところが随所にあったそうだ。たとえば地下に非常用電源を置いたのはハリケーン対策であり、津波には弱い。日本の状況に合わせてその当時しっかり考えていればここまでひどいことにはならなかったかもしれないと後悔しているとのことだ。

 自分で考えること、それも批判的に考えることを学生の間にぜひ身につけて欲しい。ここでいう「批判すること」は「非難すること」ではない。他人の欠点を責めるのではなく、自身の状況に照らしてその妥当性を考えるのである。

 表紙まで他人の名前のレポートを平気で提出したり、インターネットで検索して授業内容とは相容れない文をコピペすることをやっていたのでは批判的思考は身につかない。こういう学生は概して卒業研究がなかなか進まない。研究には解がまだない。どこにもない解を探索する行為から自分で考えることに移れないと卒研はできない。だから卒研が終わるとたいていどの学生も一皮むけるのである。

(ST)

 
1268号 2012年1月19日掲載