えび茶ゾーン

えび茶ゾーンの原稿は、全学の教員が交替で執筆しています。

 最難関の国家試験のひとつへの合格を目指す学生を多く抱えている私の所属箇所では、当該試験の最終合格発表が行われるこの時期、我々教員も学生たちと喜び・悲しみを分かち合うこととなる。苦労が報われ、合格を勝ち取った学生たちと喜びを共有できるのは私たちの特権だが、努力が報われなかった学生たちを励ますため、彼らの心に届くようにと慎重に言葉を選び取るのは、我々の責務とはいえ身を切られるような営みである。また、どれだけ彼らの心に寄り添おうとしても、上滑りするような言葉しかかけられない自分の無力さに落胆する時期でもある。

 国家資格に挑戦し始めるのは容易だが、首尾良い結果が得られなかった時の「引き際」を見極めるのは困難である。最終的には本人の「納得感」が何よりも重要であるから、受験を続けようとする学生たちに対する安易な助言は差し控えているが、「意地や面子、プライドよりも大事なものがあるのではないか」と言いたくなるケースは多い。むしろ国家資格の取得が当人にとって必須と感じられるケースの方が少ない。

 中学時代の恩師が語っていた「今からでも遅くない(やり直しはいつでもできる)」が思い出される。個人的な体験からも「本人の心がけ次第で失敗さえもやがて糧となる」は普遍的な真理といえそうである。これらの言葉を努力が報われなかった所属箇所の学生たちのみならず、今進路に悩んでいる読者のすべてに捧げたい。

(M.Y.)

 
1267号 2012年1月12日掲載