進路に迷ったときに読む、身近な先輩へのインタビュー

旅をすればするほど、世界は身近になっていく

作家・編集者 吉田 友和さん
ライター・編集者 松岡 絵里さん

■よしだ・ともかず
1976年生まれ。2000年、本学政治経済学部卒。妻の松岡絵里さんとまとめた『してみたい!世界一周』、会社員生活の中での海外旅行体験をつづった『仕事が忙しいあなたのための週末海外!』(共に情報センター出版局)が大きな反響を呼び、旅行作家としての活動を本格的に始める。雑誌等への寄稿および記事監修のほか、編集者として旅行ガイドの制作なども手がける。

■まつおか・えり
1976年生まれ。1999年、本学社会科学部卒。ソニーマガジンズに入社後、新婚旅行で世界一周を敢行。旅先からリアルタイム旅行記サイト「世界一周デート」を更新し、「niftyホームページグランプリ」ほか数々の賞を受賞。帰国後、『607日間ハネムーン』(トキメキパブリッシング)を刊行。フリーランスライター・編集者として旅、ライフスタイル、料理、音楽、アウトドアなど幅広く活躍。

 今回ご登場いただくのは、結婚を機に二人とも寿退社し、607日に渡る新婚旅行「世界一周デート」を敢行し、帰国後はそれぞれ作家、編集者、ライターとして活躍している吉田友和さん、松岡絵里さんご夫婦。旅をし続ける理由、後輩へのメッセージなどを伺った。



宝くじが当たらなくても行ける
「世界一周の旅」

 学生時代、同じ音楽サークルで仲の良い友人だった二人が、卒業後におつきあいするようになって、めでたく結婚することに。そこまではよくある話だが、新婚旅行の相談を始めたところから事態は急展開した。

「新婚旅行どうしようか?(松岡さん)」
「(冗談で)世界一周でもしちゃう?(吉田さん)」
「(本気)そうしよう!(松岡さん)」

 二人とも寿退社し、607日間の新婚旅行に出かけた。普通なら冗談で終わらせてしまう話を実行に移した松岡さん。子どものころに海外生活を経験し、学生時代の長期休暇はほとんど海外という根っからの旅好きだ。「旅行中に世界一周旅行をしている人に会ったことがあって、私もいつか長旅をしたいとチャンスを狙っていたんです。不安なんてまったくありませんでした!」。一方、吉田さんは初めての海外旅行が世界一周だった。にも関わらず、仕事を辞めてまで松岡さんの決定に乗った理由は何だったのだろうか。「自信過剰だったんでしょうね(笑)。帰ってきてからどうしようとか何も考えてなかったですよ。26歳と若かったですし、まあなんとかなるかなと」。

 二人によると、世界一周は意外とハードルが低い。1年間一人当たり150万円あれば、そんなに切り詰めなくても旅を続けられるそうだ。日本で暮らす生活費に比べれば安い。昔に比べれば交通網も良くなり、海外旅行はものすごく身近になった。「宝くじがあたったら世界一周したい」と妄想する人は多いが、本人さえその気になれば条件は簡単に揃う。



世界のありのままを
五感で確認する快感

 もともと出版社で編集者をしていた二人は、帰国後、自分たちの世界一周のやり方を多くの人に知ってもらいたいと、『世界一周デート トモ&エリの607日間ハネムーン』『してみたい! 世界一周』を出版。「世界一周旅行」の先駆けとしてブームを起こした。松岡さんはフリーの編集者・ライターとして活躍。吉田さんは元の職場に再就職しサラリーマンを続けながら、旅の本を書き続け、今年からフリーになった。旅にまつわる本を次々と出版する二人に、旅をテーマにする理由を聞いた。「旅が楽しいから、仲間を増やしたいという思いだけですね。旅で何かを得ようとか、旅をするべきだと押し付ける気はありません」(吉田さん)。「旅はエンターティンメント。特別なものではなく、私の中では映画や他の娯楽と変わりません。面白い世界をみんなに伝えたいだけです」(松岡さん)。

 二人を旅に誘うのは、純粋な好奇心だ。「その土地に行って、知らなかったことを知り、知っていたことを五感で確認して、納得することが楽しい。それが旅の醍醐味だと思います」(松岡さん)。「日本で国際ニュースを見ていても、行ったことがある国だと見方が違ってきます。アルジャジーラなどで現地の報道もよく見るようになりました。世界中に接点をもっと増やしたいです」(吉田さん)。



沸き上がる好奇心に
素直に従おう

 最近、海外に出る若者が減少傾向にある。長引く不況で先が見えない不安が、若者を“守り”に向かわせているという見方もある。世界一周旅行のために躊躇なく会社を辞めてしまった二人はその対極だ。後輩たちに伝えたいことを聞いた。「就職に役立つかどうかとか、損得勘定で考えていると世界が小さくなってしまいます。みんな失敗することを恐れているのではないでしょうか。成功するかどうかは、経験値がものを言うと思います。私は最近、英語でインタビューすることに挑戦していますが、それも、旅で場数を踏んだからだと思いますね」と松岡さん。「若者に元気がないと言われますが、早稲田は自由で型にはまっていない人が多いと思います。社会に出て、面白い人だなと思っていると、実は早稲田出身だったということがよくあります。守りに入っていない仲間が多いと世界が広がりますね。早稲田で過ごす学生時代を思いっきり謳歌してほしいですね」(吉田さん)。

 「大学4年間は人生の執行猶予だと思う」と松岡さん。「先のことばかり考えて保守的になるのではなく、自分の内にある好奇心に素直に従ったほうがいいと思います。私は一生“守り”には入らないと思いますよ。そのほうが楽しいですから」。

吉田友和さん 松岡絵里さん

松岡さん ▲著書『世界の市場』の取材で、フランスのマルシェへ(松岡さん)

吉田さん
▲2011年テレビ朝日のロケでシンガポールへ行ったときの一枚。最近はテレビやラジオに出演する機会も(吉田さん)

著書紹介

『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』

『スマートフォン時代の
インテリジェント旅行術』
吉田 友和 著(講談社)
スマートフォンの普及によって旅行はどう変わるのか。進化するインターネットを採り入れ、旅をもっと安く、賢く、充実したものにしよう。旅にデジタルを活用する技を紹介する。


『世界の市場』

『世界の市場』
松岡 絵里 著(国書刊行会)
旅に出掛けたら観光地だけでなく、もっと地元の人の生活が感じられる場所・市場に出掛けてみよう。世界の約100の市場を徹底ガイド。シリーズ『世界の聖地』は2011年12月発行予定。

 

 
1263号 2011年11月24日掲載