マクロ世界とミクロ世界をつなぐ学問「統計力学」

基幹理工学部4年 御子柴 匡矩
基幹理工学部3年 岡 右里恵

 

 私たちが生活しているこの世界は、ミクロなものからマクロなものまで、さまざまなサイズのものが階層構造をなして存在している。例えばミクロなものとしては、原子や分子などがある。それらは生体内でさまざまな物質やDNA、タンパク質などを作り上げている。またそれらが巧みに集合することで細胞を構成し、細胞が集まって生物ができている。さらに生物が集まることで自然や社会といった環境ができていく。地球もこれらの環境の集まりであり、他の惑星と共に太陽系を構成する。またその太陽系は銀河系の一部であり、銀河系は銀河群の構成要素として宇宙の階層構造の一部をなす。

 宇宙誕生より自発的に形成されたこの階層構造の神秘にせまり、マクロな世界とミクロな世界とをつなぐ理論的な架け橋となる学問が「統計力学」なのである。

 そこで統計力学の授業では、私たちが目にする巨視的世界のさまざまな現象を、原子や分子のスケールの微視的世界の力学法則の観点から、シンプルにより深く理解することを目指す。具体的には、物質の平衡状態を記述する各種の統計分布の理論を学び、さまざまな物性の理解へとつなげる。さらに応用編では、非平衡系の統計力学への入門として、ブラウン運動の理論の基礎を学ぶ。

 担当の柳尾朋洋先生の説明はわかりやすく、また先生がつくられた授業資料は、毎回の授業内容を的確により詳しくあらわしている。さらにその資料には、授業で扱った各分野における多彩な名著の紹介もあり、先生の人柄、学問に対する柔軟かつ真摯な姿勢が存分に表れている。以上のことから、科学に興味がある方はもちろん、人生の視野を広げたい方にもおすすめの授業である。



▲原子から宇宙までの大きさを長さのスケールでまとめた図
 

安彦先生の一言にハッとすることも多い
▲原子〜 太陽系まで。奥深い統計力学の世界を分かりやすく説明してくれる柳尾先生

子どもの「今」を知る多くの資料が配付される
▲自然の階層構造を示す図。小さい系は大きい系の中に調和的に埋め込まれて、宇宙全体が「入れ子」構造になっている




1259号 2011年10月27日掲載