とっておきの話 

グリーンなサプリのすすめ

理工学術院 教授
平沢 泉

 気がつけば57歳です。社会人として企業に10年、大学で23年過ごしています。
 若い頃から数年前まで、暴飲暴食や喫煙と、健康にはまったく配慮せず、あくせく、余裕のない人生を送ってきました。実は、3年前、生まれて初めて、2週間の入院を伴う病気になり、回復後は、「医者に第2の人生をもらったつもりで、過ごしなさい」と言われました。カロリー制限の入院生活で、煙草をやめ、また新鮮な食物を噛みしめる喜びをあらためて感じました。
 実は、もともと好きなことの一つに、散歩や、自然に触れることがあり、ひらめくと俳句も作っています。家が多摩川、仙川や野川のそばにあることもあり、朝、昼、晩と食後に、時間さえあれば、万歩計をつけて歩いています。無理せず、景色や自然を五感で感じながら、1日15,000歩を目標にしています。このことは、もう3年続けています。
 四季の移り変わりで、道端の草木も日々変化し、また鳥のさえずりも多様です。特に、自然の織りなす壮大なショー、たとえば、朝日の昇るのを見ていると、色の変化が絶妙で、同じ変化は2度とありません。陽の沈むのも同様です。陽の沈んだ後は、月や星の共演です。最近、年のせいでしょうか、こんなすばらしい景色を見ていると涙がこぼれます。この健全な涙が、ストレスや、いやなことを吹き飛ばしてくれます。市販のサプリメントは買いませんが、旬のものを味わい、散歩するのが私のサプリです。
 実は、この原稿は、ドイツ(旧東独)のハレという町で、早起きして書いています。ドイツの皆さんは早起きで、早朝、駅などに散歩しますと午前5時ごろから通勤の人の流れを見ることができ、焼き立てパンの匂い、ホットコーヒーの香りを味わうことができます。海外に滞在しますと、日本とは異なる景色や、空気を味わうことができるのも小さな幸せの一つです。見知らぬ街を散歩するのも、グリーンなサプリメントではありませんか。



太陽が昇り、風景に「色」がついてゆく
▲太陽が昇り、風景に「色」がついてゆく

市場にはフレッシュな野菜果物が並ぶ
▲市場にはフレッシュな野菜果物が並ぶ

 
1255号 2011年9月29日掲載