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 「疲れが取れる、ダイエットできる」。そんなうたい文句でヒタヒタと近づいてくる違法薬物。「友だちが使ったことがあるらしいよ」、「合法の国もあるんだって」など誤った情報に左右されてはいけません。今回は関東信越厚生局麻薬取締部に監修いただき、検挙数が増加の一途をたどる「大麻」に関する事例をご紹介しながら違法薬物の危険性を説明します。

蔓延する大麻の恐怖
 最近の薬物乱用の傾向は、覚せい剤やシンナーから大麻や違法ドラッグに移行している。その理由は、覚せい剤やシンナーなどは健康に与えるダメージが大きく、逮捕されると厳罰に処せられ、薬理学的にも、司法上の処分についてもリスクが高いのに対し、大麻や違法ドラッグはより薬理作用が緩慢で、処罰が緩いと思われているからだ。下記グラフで示すとおり日本での大麻事犯による検挙者数は増加を続け、平成21年ついに初めて3千人を超えた。大麻事犯の特徴としては若年層の割合が高いことだ。20歳代以下の割合は61%を占めている。同年における大学生の検挙者は、82名だったが、毎年大学生が100名近く大麻取締法で検挙されている。
 大麻の乱用を助長している原因は、 「たばこやアルコールより害が少ない」、「外国では合法の国もある」 、などと誤った情報がインターネットなどで氾濫していることだ。加えて、大麻葉のマークがロゴ化され、Tシャツや自動車の芳香剤に使われており、あたかもそれがファッショナブルな印象を若者に与え、大麻に対する警戒心の垣根を低くしている状況も見られる。
 大麻は世界で最も乱用されている物質であり、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告によれば、平成21年世界中で1億2,500万人~2億3,000万人の乱用者がいると報告されている。このように世界中に蔓延している大麻だが、そもそも麻薬に関する単一条約で規制された物質であり、世界中の国はほとんど、同条約を批准していることから、世界中のほとんどの国で、規制されている物質であると言える。なお、大麻を合法化している国は存在しないものの、国内で大麻が蔓延し、事実上もはや取り締まることが出来ず、やむなく非犯罪化の政策を採用している国があることは事実である。

過去10年間の大麻事犯による検挙者の推移 資料提供:関東信越厚生局麻薬取締部

大麻売買の現実
 
  ▲摘発された室内での大麻栽培の様子
 
   
 大麻を所持したり、売買することは犯罪である。大学生の場合、大麻取締法で検挙されると、大学を退学となる場合があるばかりか、悪質と認められると服役する場合もあり、一生を棒に振ることになる。
 外国に比べて、日本での大麻の取締りは厳しいが、取締りを一旦緩めると、欧米のように薬物乱用の歯止めがかからない恐れがある。
 下の表は、何故、薬物乱用を規制する必要があるかを示すものである。
 大麻は、組織暴力団や外国人密売組織の重要な資金源となっている。薬物を売り買いすると捜査機関に察知され、逮捕される可能性が大きいので、大麻を自分で栽培する事犯が近年増加している。暴力団や外国人密売組織が、ビニールハウスや民家、マンションなどを改造し、大麻栽培工場とし、大麻を密売しているのだ。平成22年5月、麻薬取締部では、兵庫県内の家屋において、大麻草1,450本を栽培していた外国人密売グループを検挙し、密売用の乾燥大麻18kgを押収している。リスクが少ないという理由であるが、栽培する種子の取引も違法である。栽培するために大麻種子を購入した場合、栽培の予備罪で、また提供者は提供罪で罰せられることになる。
乱用の弊害
資料提供:関東信越厚生局麻薬取締部
蔓延する大麻の恐怖
 
   
 大麻は、たばこやアルコールより害が少ない、という情報は全くのウソだ。厚生労働省の依存性薬物研究班の報告では、大麻乱用事例による問題行動は「暴行障害」約29%、「器物損壊」約22%と、大麻使用の結果、粗暴行動の出現可能性が高いことが分かる。その作用は、決して気持ちよくなり、平和な気分になるものではない。大麻は、麻薬であるLSDやメスカリン同様、「精神異常発現物質」であり、幻覚作用を有するが使用した場合、幻覚の他、興奮と抑制両方の作用が現れ、運動機能の障害を引き起こし、世界中ではその結果として重大な交通事故の原因となっている。
 長期的に使用すると、知覚機能の低下、生産性の低下、無気力となり、幻覚、妄想、感覚異常を引き起こし、「大麻依存症」となる。また、大麻精神病を引き起こす。大麻中の幻覚成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)は、その割合が北海道などの野生大麻で1%余りだが、最近は外国で乱用目的で品種改良された大麻の種子が販売されており、それらの中には、THCの割合が20%近いものまで現れている。
 UNODCによる平成21年の報告では、強い効き目を持つ大麻製品の集中使用(長期高用量使用)は、精神異常の危険を増加させると警告している。タバコを吸っても、仕事の意欲は落ちにくいが、大麻を使うと幻覚や妄想を生じ、非論理的な行動をとるなど、仕事どころか常識的な行動がとれなくなり、一旦依存が生じると社会生活を営めなくなる。
違法薬物には手を出すな
ここまで大麻に関する誤った知識や使用することの危険性を紹介してきた。大麻に限らず違法薬物の多くは使用することで人生を棒に振る結果となる。友人関係や信頼等今手に入れているすべてを失うのだ。本学では違法薬物使用が発覚した学生には退学を含む厳罰をもって対処している。違法薬物は絶対に使用しないこと。学生諸君は肝に銘じてもらいたい。
1253号 2011年8月4日掲載