わせだかいわい 

原点は早大生時代の襖張り
早稲田ホームサービスグループ

早稲田大学ホーム・サービスグループ誕生
 『ふすまキャラバンー出合いを求めて―』(昭和63年連衆館発行)という1冊の本がある。この本は「早稲田大学ホーム・サービスグループ」(昭和48年創設。後に「早稲田ホームサービスグループ」に屋号変更)の学生たちが、日本各地で襖張りをしながら旅する異例の人生修行「ふすまキャラバン」の記録をまとめたものだ。  当初、グループの活動内容は、早稲田の街を中心とした一般家庭の襖・壁紙の張り替え・ペンキ塗装だった。しかし、1979(昭和54)年、襖張りの仕事が縁で当時私設の塾を営んでいた故・堀越正人先生と知り合い、先生の「学問と仕事は一体である」という教えに影響を受け、活動内容が変化した。その1つが「ふすまキャラバン」である。この活動は襖張りの注文を取りながら、人との絆を深め、人間的成長を目指すのを目的としている。

 『ふすまキャラバンー出合いを求めてー』は、人間的成長を果たすため、単身で無銭旅行に旅立った人たちの軌跡である。鈴木信一さん(昭和62年第二文学部卒業)も1981(昭和56)年8月、暑い夏の日、ひとり東北を目指した。

ふすまキャラバン~出会いを求めて、襖張り
 鈴木さんは、おにぎりと襖張りの道具、野宿の荷物(約33㎏)を担ぎ、旅に出た。お金は定期連絡用の電話代10円のみ。「とにかく都内では何十軒まわっても不審に思われて、中々仕事を貰えなくて」。数日に渡る断食生活、たったひとりで旅する不安と孤独、野宿の途中で突然台風にも見舞われた。「何よりも、窮地のときに見ず知らずの学生を家族同様に扱ってくれた人たちの温もりは忘れられません」。旅に出たメンバーの中には、地方在住の早大OBや早大生のご家族に助けられ、仕事を貰った人もいた。「稲門」の絆は固い。

 現在も早稲田ホーム・サービスグループで働いている鈴木さんは、堀越先生を人生の師と仰ぐ。堀越先生は、襖張りのことだけをしていたグループに、人生で大切なことを教えてくれた。同じくグループで働く原孝之(昭和58年第一文学部卒業)さんは「仕事もして、勉強会もして、毎日が本当に大変でした」と、早大生時代を懐かしく振り返る。

 学生時代に築いた早稲田界隈の顧客からも、今でも変わらず注文が入る。襖張りの需要は減ったが、原点は学生時代の襖張り。堀越先生の教えを信じ、「学問と仕事は一体である」という心を継承している。

右から鈴木さん、堀越先生の奥様、原さん
▲右から鈴木さん、堀越先生の奥様、原さん

襖キャラバンに旅立つ前に仲間と撮った写真。左が鈴木さん、中央は堀越先生
▲襖キャラバンに旅立つ前に仲間と撮った写真。
左が鈴木さん、中央は堀越先生


自費出版した『ふすまキャラバン』は2000部印刷し、全て完売した
▲自費出版した『ふすまキャラバン』は2000部印刷し、全て完売した

早稲田ホームサービスグループ
東京都新宿区西早稲田2-13-2 連衆館
【TEL・FAX】03-3203-1458


 
1247号 2011年6月23日掲載