早稲田大学総長
鎌田 薫
 
 2011年度新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 本年3月の東日本大震災は広範かつ深刻な被害をもたらしました。この場を借りて、犠牲者のご冥福をお祈りし、すべての被災者の皆さまにお見舞いを申し上げます。

 この未曾有の大震災によって、自然の力の大きさ、生命の尊さ、人の絆の有り難さなどを改めて思い知らされました。また、その後の一連の出来事は、現代社会の豊かさ快適さは極めて微妙なバランスの上に成り立っており、それが容易に崩れてしまうものであることを私たちに教えました。この大震災は、わが国の経済や社会に大打撃を与えただけでなく、温暖化対策など地球社会全体に関わることがらへも多大の影響を及ぼすことが懸念されています。

 しかし、私たちはただ悲嘆にくれて沈み込んでいるわけにはいきません。早稲田大学は、自由で独創的な研究を通じて世界の学問に裨益すること(学問の独立)、学理を学理として究めるとともに、これを実際に応用する道を開くことで社会の発展に寄与すること(学問の活用)、個性を尊重し、社会に貢献し、広く世界で活躍する人格を養成すること(模範国民の造就)こそが、新しい時代を切り拓く要であるという理念の下で創設されました。

 皆さんには、この早稲田大学建学の理念をかみしめて、自然と人との関わり方、科学技術や社会システムのあり方などについて深く考察し、進取の精神をもって、地球社会の明るい未来を構築するための歩みを牽引していく存在になることを強く期待しています。そのために必要とされる能力を、本学の優れた研究教育環境を活用して、十二分に涵養するよう努めてください。早稲田大学は、皆さんの学習・研究・課外活動等が大きな成果を上げるよう、力を尽くしてまいります。

 最後になりましたが、本学では、余震等の状況、電力や公共交通機関に対する負荷を軽減する社会的責任等を考慮して、本年度の入学式を中止し、授業期間も変更いたしました。新入生の皆さんにこうした事情をご理解のうえ、授業開始に向けてしっかりと準備をしてくださいますようお願いいたします。

1240号 2011年4月20日掲載